透析患者の腎性骨異栄養症 (ROD) に対する副甲状腺摘出術 (PTX) の効果についての報告は, PTX後2年以内の比較的短期間のものが多く, これ以上長期に経過したPTX後の骨所見に関する報告は少ない. 今回我々は, PTXの長期的効果を明らかにするため, PTXおよび前腕への自家移植術を施行後43-56か月 (平均50か月) の患者8名において骨の生化学的指標と骨塩量を測定し, 対照群18名および二次性副甲状腺機能亢進症 (2°HPT) 群14名と比較検討するという横断的検索を行った.
オステオカルシン, C-PTH, Intact-PTHは対照群とPTX群の間で有意な差がなかったが, 2°HPT群ではこれらの2群より明らかに高かった. Ca, P, AI-P, カルシトニン, 酒石酸抵抗性Ac-P, アルミニウムは3群で有意差が認められなかった. Dual-energy X-ray absorptiometry法にて測定したLean body massに対する全身骨塩量の比 (%) は, 2°HPT群が対照群より有意に低かった. その他, 全身, 頭部, 腰椎, 体幹, 左・右上肢, 下肢の骨塩量も2°HPT群では対照群と比べて同様ないしは低値を示した. 一方, PTX群と2°HPT群の間では, 骨塩量比・骨塩量の値に一定の傾向はなく, 有意差が認められなかった.
以上より, 透析患者の2°HPTを伴ったRODでは, PTX後に骨の生化学的指標は正常化するが, PTX後50か月の時点でみると骨塩量は必ずしも増加していない可能性が示唆された. 今後は縦断的検索も加えた検討が必要と考えられる.
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