日本透析療法学会雑誌
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25 巻, 8 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 坂本 直哉, 佐藤 千史
    1992 年 25 巻 8 号 p. 847-851
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • Classical Pathwayの変動
    有本 保文, 坪井 一彦, 西尾 晃
    1992 年 25 巻 8 号 p. 853-858
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性透析患者 (HD患者) の補体動態について, classical pathway (CP) の立場から検討した.
    すなわち, 慢性糸球体腎炎に基づくHD患者28名, 健常者 (N) 28名を対象に, CPの活性化を反映するC1rC1s-C1 Inhibitor complex (C1r-In) を中心に, 補体成分CH50, C3, C4, 補体分解産物C3dおよび, 補体活性化因子として循環免疫複合体 (CIC) を測定し, CP活性化面から検討した.
    その結果, HD患者群ではC1r-In, CIC共にN群に比し有意に高値を示し, さらにC1r-InとCIC間にr=0.7157 (P<0.001) の有意な正の相関がみられた他, C1r-InとCH50間に有意な負の相関が, C1r-InとC3d/C3間に有意な正の相関が認められた. また, CICとC3, C4間に有意な負の相関が, CICとC3d/C3間に有意な正の相関が認められた.
    これらのことより, HD患者ではCICに基づく補体系, CPの活性亢進が示唆され, 今後, HD患者の病態, 合併症を考える上で重要であると思われた.
  • 小野 満也, 山口 博, 佐藤 博司, 近藤 良明, 渡辺 俊一
    1992 年 25 巻 8 号 p. 859-863
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    当院CAPD患者17例中, 開腹術既往のある患者5例, 腹膜炎既往のある患者5例, 両者の既往のない患者7例について, 超音波による腸間膜の厚さの測定, 超音波および腹部X線CTによる腹膜癒着の検索を行った. 開腹術既往のある患者6例にCAPDを試み, 緑膿菌の腹膜炎により強度の腹膜癒着を認めた1例を除いた5例でCAPD導入が可能であり, 開腹術既往例でもCAPDの適応になりうると考えられた. 腸間膜の厚さは開腹群で平均4.8±1.9mm, 腹膜炎群で2.6±0.8mm, 非開腹かつ非腹膜炎群で2.9±1.0mmであり, 有意差はないが開腹群で腹膜が肥厚していた. 腹膜癒着の陽性率は超音波上, 開腹群で40.0%, 腹膜炎群で40.0%, 非開腹かつ非腹膜炎群で42.9%, X線CT上では, 開腹群で25.0%, 腹膜炎群で0%, 非開腹かつ非腹膜炎群で40.0%であり, 超音波, X線CTともに明らかな傾向を認めなかった.
  • 小倉 三津雄, 中村 佳子, 浜本 真, 中川 成之輔, 井上 剛輔, 一瀬 邦弘, 田中 邦明
    1992 年 25 巻 8 号 p. 865-868
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析導入期の患者6例に, リコンビナントエリスロポエチン (rHuEPO) を使用し, 貧血の改善に伴う脳血流量の変化について検討した. rHuEPOは1,500Uを週2回から3回使用し, 約3か月-5か月の経過の後, Ht 28%以上を治療改善の目安とし, 治療前後で131I-IMPを用いたSPECT法により脳血流量を測定した.
    6例中5例においてHt 28%以上の改善を認めた. Htが改善した5例の検討では, 前頭部脳血流量は, 84.64±21.91 (ml/100g/min) から75.74±20.28へと低下傾向が認められ, 後頭部のそれは, 98.42±24.52から86.34±23.69へと有意の低下が認められた (p<0.05). 全脳血流量としては, 91.53±24.53から81.05±21.55へと有意の低下が認められた (p<0.05). 本研究から, rHuEPOによる貧血治療によって, 後頭部脳血流量, 全脳における脳血流量が有意に低下することが明らかとなった. これは, 貧血状態によって増加した脳血流量が改善したものと考えられた.
  • 中村 義雄, 保井 明泰
    1992 年 25 巻 8 号 p. 869-873
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    CAPD療法に伴う腹膜の形態学的な変化を非観血的に把握するために, 超音波検査によって腸間膜の観察を行った. 対象はCAPD患者30名 (男性18名, 女性12名) であり, CAPD歴は1-86か月 (平均38か月) であった. 腸間膜は, 腸間膜起始部と小腸付着部の中点でその厚さを測定し, これに及ぼす因子について検討した. CAPD歴が5年以上の患者は, 5年未満の患者と比べて腸間膜は有意に肥厚していた. 1日平均使用透析液dextrose濃度が2.5%未満の患者と2.5%以上の患者で比べると2.5%以上使用者では有意に肥厚しており, 4.25%液使用老では高度に肥厚していた. 腸間膜厚と肥満度 (body mass index) との間には有意な相関関係を認めなかった (r=0.170, NS). 腸間膜厚と除水能 (1日除水量/1日平均使用透析液dextrose濃度) との間には有意な負の相関関係を認めた (r=-0.620, p<0.01). 超音波検査による腸間膜の観察は腹膜の病態把握に非侵襲的で簡便な方法であり, CAPD患者の管理において, 今後, 広く活用されるものと思われる.
  • 桑原 道雄, 秋葉 隆, 河辺 満彦, 栗原 怜, 米島 秀夫, 丸茂 文昭
    1992 年 25 巻 8 号 p. 875-880
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者の腎性骨異栄養症 (ROD) に対する副甲状腺摘出術 (PTX) の効果についての報告は, PTX後2年以内の比較的短期間のものが多く, これ以上長期に経過したPTX後の骨所見に関する報告は少ない. 今回我々は, PTXの長期的効果を明らかにするため, PTXおよび前腕への自家移植術を施行後43-56か月 (平均50か月) の患者8名において骨の生化学的指標と骨塩量を測定し, 対照群18名および二次性副甲状腺機能亢進症 (2°HPT) 群14名と比較検討するという横断的検索を行った.
    オステオカルシン, C-PTH, Intact-PTHは対照群とPTX群の間で有意な差がなかったが, 2°HPT群ではこれらの2群より明らかに高かった. Ca, P, AI-P, カルシトニン, 酒石酸抵抗性Ac-P, アルミニウムは3群で有意差が認められなかった. Dual-energy X-ray absorptiometry法にて測定したLean body massに対する全身骨塩量の比 (%) は, 2°HPT群が対照群より有意に低かった. その他, 全身, 頭部, 腰椎, 体幹, 左・右上肢, 下肢の骨塩量も2°HPT群では対照群と比べて同様ないしは低値を示した. 一方, PTX群と2°HPT群の間では, 骨塩量比・骨塩量の値に一定の傾向はなく, 有意差が認められなかった.
    以上より, 透析患者の2°HPTを伴ったRODでは, PTX後に骨の生化学的指標は正常化するが, PTX後50か月の時点でみると骨塩量は必ずしも増加していない可能性が示唆された. 今後は縦断的検索も加えた検討が必要と考えられる.
  • 森 忠三, 海江田 浩之, 竹内 正気
    1992 年 25 巻 8 号 p. 881-885
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    現行の透析条件下透析液カルシウム濃度 ([D]Ca) 3.0-3.5mEq/l, CaCO3使用では, 1α(OH)D3(1αD3) は減量せざるを得ない.
    50例の維持透析患者を対象とし, [D]Caと, CaCO3, 1α D3投与条件とで分類した各群で, 血中のCa・骨代謝のparameterの変化をretrospectiveに調べ, 1α D3減量が2°HPT発症に及ぼす影響を検討した.
    結果は, 1α D3投与量により, C-PTH抑制のための血清Ca濃度が異なり, 0.75-1.0μg/日投与群では血清Ca値が平均9.6mg/dlで, また, 1α D3投与量が0.5μg/日以下の群では血清Ca値が平均10.0mg/dlでそれぞれC-PTHが抑制された.
    1α D3投与量が少ない場合, 2°HPT予防のためには, 血清Ca値は高く維持することが必要と考えられるが, CaCO3使用例では血清リン (P) 値の増加の認められる例もあり, 異所性石灰化の発症が懸念される. したがって, 通常の血清Caレベルで2°HPTの発症を予防するためには, 1α D3投与量は, 0.75-1.0μg/日が必要と考えられ, そのための透析条件の改善が望まれる.
  • 弓田 滋, 野月 満, 上田 仁, 藤倉 良裕, 関野 宏
    1992 年 25 巻 8 号 p. 887-891
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    Ursodeoxycholic acid (UDCA) は脂溶性ビタミンの吸収を改善するとされ, 実際に腸切除後の症例において血中25(OH)Dを上昇させることが報告されている. 今回我々は1α(OH)D3投与中の維持血液透析症例の血中vitamin D metabolitesの値に及ぼすUDCAの効果を検討した. 1.0μg/日の1α(OH)D3, が投与されている維持血液透析患者16例を対象とし, 10例には体重kg当り1日10mgのUDCAを, 6例には同量のplaceboを昼夜の2回に分けて投与した. UDCA投与1か月後, 血清胆汁酸中のUDCAの比率および脂肪酸には有意の上昇が認められた. UDCA投与群では25(OH)Dは有意に上昇したが (P<0.005), 1,25(OH)2Dは逆に有意に減少した (P<0.005). Placebo投与群では両者に有意の変動は認められなかった. 以上の結果より1α(OH)D3投与中の慢性腎不全の症例に対するUDCAの投与は血中1,25(OH)2Dを低下させることがあり, 注意を要する.
  • 大中 玄彦, 小野 孝彦, 一戸 辰夫, 陶山 勝郎, 上田 恵, 松尾 孝彦, 桑原 隆
    1992 年 25 巻 8 号 p. 893-896
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析中の異常高血圧は重篤な合併症の原因となりうる. 今回我々は経口降圧剤およびニフェジピンの舌下投与では調節不良の, 透析中に異常高血圧 (収縮期血圧200mmHg以上) を呈する慢性腎不全患者6症例に対し, 塩酸ニカルジピン注射薬の透析中持続静注を試みその降圧効果および副作用について検討した. その結果6症例中全症例において収縮期血圧 (mean±SD) 216.2±17.2mmHgから1時間後152.5±26.6mmHgへと有意な血圧低下 (P<0.05) を認め, 透析終了まで安定した血圧の維持が可能であった. 副作用として1症例に頭痛が認められた. 本薬の持続静脈内投与は透析中の異常高血圧の調節に有効であると考えられた.
  • 長谷川 みどり, 川村 直人, 勝又 秀樹, 村上 和隆, 山下 浩, 富田 亮, 柳井 利之, 小島 邦義, 鹿野 昌彦, 水野 雅夫, ...
    1992 年 25 巻 8 号 p. 897-900
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    アミロイド構成蛋白の一つであるserum amyloin P-component (SAP) の臨床的意義, 特にacute phase protein (APP) として血液透析患者でどのように変動するか, また透析膜との関係についても検討した. 1. 血液透析患者 (n=70) のSAPは10.7±3.7mg/dlであり, 正常者 (n=69) 7.5±2.6mg/dlに比し有意に高値であった. 2. SAPとα1-AT, C4, CH50との間に有意の相関が認められた. 3. 血液透析前後のSAPを比較すると, Cu膜では, 14.4±5.2から13.2±5.9へ, CTA膜では14.1±8.6から13.2±7.7へ, PS膜では15.7±3.3から13.1±3.4へ, PAN膜では12.7±3.1から10.7±2.2へと各々血液透析後に低下した. 吸着実験より, Cu膜, PS膜, PAN膜へのSAPの吸着が示唆され, 透析後にSAPが低下した-因は吸着であると考えられた.
  • 高井 一郎, 新里 高弘, 中井 滋, 小早川 裕之, 森田 博之, 藤田 芳郎, 井上 達, 前田 憲志
    1992 年 25 巻 8 号 p. 901-905
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    我々は, 高能率の間欠的な短時間透析を行うとともに, その間の期間に装着型人工腎臓を用いたcontinuous ambulatory hemofiltration (CAHF) を行うことにより, 患者を連続的に治療した. CAHFでは, 小型のhemofilter (0.1m2) の膜素材に, 小分子蛋白質に対するsieving coefficientの高いhigh-flux membraneを用いた. さらに, CAHFのreplacement volumeを増やすために, 短時間透析の間には除水を行わずに, 逆に体重の3%にあたる量の生理食塩水を投与し, さらに毎食後には回路をとおして1lのbuffer溶液を投与した. したがって, CAHF中には経口的に摂取された水分の量と, 上記の点滴の量との合計量に相当する体液置換が行われた. 従来の間欠治療から, この新しい組み合わせによる連続治療に変更後には, 間欠的に施行される透析中の血圧の安定と, time-averaged body weight, time-averaged BUN level, およびtime-averaged β2-microglobulin levelの低下が認められた.
  • Hydrocortisoneの腹膜機能に及ぼす影響
    田村 奈緒子, 公文 義雄, 安岡 伸和, 川田 益意, 吉田 健三, 末廣 正, 山野 利尚, 橋本 浩三
    1992 年 25 巻 8 号 p. 907-911
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    糖尿病性腎症にてCAPD施行中に出現した左突発性難聴に対しhydrocortisone投与後, 除水量減少をきたした53歳, 男性例を報告した.
    この除水量減少は, hydrocortisone投与直後からみられ, 約2週間持続し, より高浸透圧のCAPD灌流液を使用することにより容易に改善した. この要因を探る目的で, hydrocortisone 250mg投与による除水量, 腹膜機能としての電解質および溶質クリアランスの変化を検討した. その結果, 同剤投与直後より体重の急激な増加と共に, Na, Clクリアランスは負となった. すなわち, hydrocortisone投与後, 灌流液中のNaとClに伴い水が体内へ吸収され, 除水量減少をきたしたものと考えられた. この現象の原因は不明であるが, 腹膜透析患者においては, hydrocortisone投与後除水不良をきたす可能性があり, また, この除水不良の治療には, 高浸透圧のCAPD灌流液が有用である.
  • 三浦 洋, 福井 博義, 早野 恵子, 中川 敬一, 木村 みゆき, 高浜 美奈子, 福島 純, 嶋田 英剛
    1992 年 25 巻 8 号 p. 913-916
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    維持透析中に発症した急性髄膜炎の1例を報告する. 髄液中よりリステリア菌が検出され, 抗生剤に反応して良好な経過を辿った. リステリア菌による感染症は重篤な基礎疾患を有する患者の日和見感染症として重要である. 特に同菌による髄膜炎は, 臨床的に他の菌による化膿性髄膜炎と鑑別し難いこと, 第三世代セフェム剤が無効なことなど注意すべき点が多い. 透析患者の髄膜炎は起炎菌にリステリア菌も考慮して診療にあたるべきと思われた.
  • 1992 年 25 巻 8 号 p. 917-926
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 25 巻 8 号 p. 927-939
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 25 巻 8 号 p. 940-953
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 25 巻 8 号 p. 954-964
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
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