日本透析療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-6211
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26 巻, 11 号
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  • 第38回総会ビデオシンポジウム-1 (ブラッドアクセス) を終えて
    大平 整爾, 小野 慶治
    1993 年 26 巻 11 号 p. 1653-1658
    発行日: 1993/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 山内 立行, 矢内 充, 木下 靖子, 菊池 史, 久野 勉, 奈倉 勇爾, 上松瀬 勝男, 高橋 進
    1993 年 26 巻 11 号 p. 1659-1664
    発行日: 1993/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    CAPD施行中の慢性腎不全患者に対するAztreonam (AZT) の薬物動態を動脈内投与と腹腔内投与の両面より検討し, その臨床応用も併せて検討した. 1) CAPD施行中の6例を対象とし, 非腹膜炎時にAZTを1g静注 (I群, n=3), および腹腔内1g投与 (II群, n=3) に分類し, 経時的に採血し血漿中AZT濃度をHPLC法により測定し, I群は2コンパートメントモデル, II群は3コンパートメントモデルを用い各種薬物動態学的パラメータを求めた. また, 2) 腹膜炎を併発した患者6名に対し, AZTを腹膜内反復投与を行い血漿中AZT濃度を経時的にモニターした. I群のT1/2は平均7.40±2.57hrと延長が認められ, 投与量もしくは投与間隔の調節が必要であると考えられた. II群においてはTmax 4.28±0.72hrであり, 比較的速やかに血中に移行することが示された. 腹膜炎時の反復投与では6症例のうち尿量0の1症例のみが, 120時間後においてAZT濃度の高値を示したが, 他の5症例では, 蓄積性は認められなかった. CAPDにおけるAZTの薬物動態は残存腎機能の影響を受けることが示唆され, 投与量補正の際には残存腎機能に対する配慮が望まれる.
  • 安森 亮吉, 柴田 龍二郎, 田所 正人, 田浦 幸一, 白石 和孝, 柴田 哲雄, 大園 恵幸, 原田 孝司, 原 耕平
    1993 年 26 巻 11 号 p. 1665-1670
    発行日: 1993/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    1981年より1990年までの10年間にクレアチニン8mg/dl未満で血液透析に導入された男性43例, 女性67例の計110例を対象に, 透析導入時の問題点について検討した. 原疾患の内訳は, 糖尿病が37例と最も多く, 次いで腎硬化症32例, 慢性腎炎23例, アミロイドーシス9例, SLE 3例, その他6例であった.
    導入時の臨床症状としては, 心不全, 乏尿, 高カリウム血症, 全身浮腫, アシドーシス, 食思不振などのため, 透析に導入されていたが, 臨床症状が比較的軽度でクレアチニン8mg/dl未満で透析に導入された症例は26例であった. 導入後1か月以内に22例が死亡し, 透析継続は80例で, 中止が8例あった. しかし, 1年後には59例が死亡した. 導入後1か月以内に死亡した例については, 障害臓器数が増加するほど多数みられ, 多臓器障害や重篤な感染症, 凝固障害などを有したものは, 特に予後不良であった. しかし, 障害臓器を有しない例では1か月以内の死亡例を認めなかった.
    これらの成績より, クレアチニン8mg/dl未満であっても, 臨床症状を加味して十分検討し, 臓器の障害が出現する以前から早期に透析に導入することが, 予後の上で重要であると考えられた.
  • 栗山 哲, 友成 治夫, 松本 博, 宇都宮 保典, 松井 香與子, 浜口 明彦, 木下 訓光, 酒井 紀
    1993 年 26 巻 11 号 p. 1671-1675
    発行日: 1993/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性透析患者では, ドライウェイト (DW) の設定等を含めた体液量管理に心房性Na利尿ペプチド (ANP) が有用である可能性が示されている. しかし, 糖尿病 (DM) 性腎不全の血液透析 (HD) 患者においての, ANP測定の体液量管理における臨床的有用性は検討されていない. そこで, この点を明らかにする目的でDM性腎不全HD患者において, ANPの動態を検討し以下の結果を得た.
    1) DM群および非糖尿病 (non-DM) 性腎不全HD患者の両群において, HD前ANP値, HD後ANP値, またHD前後のANPの低下率には差を認めない. 2) non-DM群において, HDによる体重減少率 (ΔBW) とANPの低下率 (ΔANP) との間に良好な相関を認めた (r=0.887, n=12 p<0.001). 一方, DM群においてはこの関係は認められなかった. また, non-DM群において, ΔBWとANPの減少値 (絶対値) との間にも良好な相関を認めた (r=0.886, n=12 p<0.001). 一方, DM群においてはこの関係は認められなかった.
    以上から, HDのDW設定などの体液量管理の臨床的指標の一つとしてANPを用いることは, non-DM患者においては有用であるが, DM患者では不適切であると考えられた.
  • 秋岡 祐子, 長田 道夫, 久保田 玲子, 武田 優美子, 泉 達郎, 伊藤 克己
    1993 年 26 巻 11 号 p. 1677-1681
    発行日: 1993/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    通常のバルプロ酸普通製剤 (C-VPA) では痙攣発作を抑制できなかった1例を含む, 徐放性バルプロ酸ナトリウム (SR-VPA) が有効だった血液透析施行中の3症例について, 血中濃度の動態を知る目的で, 透析前, 透析中 (1, 2, 4時間), 透析後4時間の総VPA濃度 (T-VPA), 遊離型VPA濃度 (F-VPA), 遊離型分画 (FF) を測定し, C-VPAと比較検討した.
    その結果, SR-VPAのFF値の変動は20.2±3.7%であり従来報告されているC-VPAのFF値と同様に高値を示した. FF値は, 透析開始後さらに上昇し終了とともに急激に低下したが, SR-VPAではT-VPAの透析中の変動幅が小さいため, 透析終了後のF-VPAはFF値の急激な低下にも拘わらず有効治療域を維持していた.
    以上の結果から, SR-VPAは血液透析患者に対して, C-VPAの問題点であった透析後のF-VPAの低下を解消し, 透析後の痙攣発作の抑制に有効と考えられた.
  • 日台 英雄, 千葉 哲男, 高木 裕, 呉 幹純, 竹林 茂生
    1993 年 26 巻 11 号 p. 1683-1689
    発行日: 1993/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析腎には腎細胞癌を合併しやすいことから, 超音波診断やCTスキャンによる定期画像診断が行われているが, 発見された腎腫瘤について血管撮影により診断すべきか否かに関しては意見が異なり, また得られた所見や合併症などについてのまとまった報告はみられていない. 我々は横浜第一病院および7サテライトクリニックで透析中の600例に画像診断スクリーニングを行い, 14例の腎細胞癌を発見し, 腎摘除術を行った.
    これらの症例中11例に血管撮影を行い, それぞれの例で強弱の差はあれ腫瘍血管像または腫瘍濃染像を認め, 腫痛診断および腎摘出術におけるmappingにあたって有用な情報が得られた. ただし, 同時に行われた選択的腎動脈撮影と大動脈撮影を比較すると, 大動脈撮影のみでは診断しえなかった例があったことから, 大動脈撮影のみに頼るべきではない.
    萎縮腎や多発性嚢胞に発生したT1またはT2の腎細胞癌であっても熟練した撮影者が行えば安全にして有用な情報を得ることができ, ことに通常の造影CTスキャンでの造影効果がはっきりしない腫瘍で診断的価値が高い.
  • dual energy X-ray absorptiometry (DEXA) による骨塩量測定
    野村 芳雄, 溝口 裕昭, 中川 昌之, 奈須 伸吉, 西田 勉, 塚川 光直, 工藤 寛昭, 猿渡 研一, 内田 乾爾, 国東 公明, 高 ...
    1993 年 26 巻 11 号 p. 1691-1696
    発行日: 1993/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者に合併する腎性骨異栄養症61例 (男32, 女29例, 平均年齢51.1±12.8歳, 透析歴10.4±4.4年) を対象に, 合成ウナギカルシトニン (エルカトニン) 40単位を透析毎に12か月間投与し, その効果を骨塩量の変化を中心に検討した. 骨塩量測定はX線骨密度測定装置 (米国HOLOGIC社, QDR-1000/W) を用いdual energy X-ray absorptiometry (DEXA) 法により頭頂骨および第3腰椎について測定した. エルカトニン投与により皮質骨である頭頂骨骨塩量には増加傾向がみられたが, 海綿骨である腰椎には明らかな変化は認められなかった. 骨塩量の変化を投与前後の変化率で検討すると, とくに頭頂骨において投与前の骨塩量減少が高度の群, PTH値が高値の群において有意の骨塩量変化率の上昇が認められたが透析歴別の変化率については有意の変動は認められなかった. またエルカトニン投与によりALP, OH-Pro値に有意の減少がみられたがPTH, ALPisoには有意の変化はみられなかった. 以上の成績より透析患者の骨塩量変化は皮質骨にみられやすい傾向が示唆され, さらにエルカトニンによる骨吸収抑制効果ないし骨塩量増加作用が示唆された.
    一方, DEXA法による骨塩量測定は腎性骨異栄養症の診断, 治療効果の把握に有用な方法と考えられた.
  • 中尾 英一, 田辺 享史, 武村 文夫, 遠藤 温子, 松本 行夫, 中島 桂子, 須賀 孝夫, 遠藤 正之, 野本 保夫, 堺 秀人
    1993 年 26 巻 11 号 p. 1697-1701
    発行日: 1993/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    末期腎不全患者に対する腹膜透析療法 (CAPD療法) は全世界的に普及しているがCAPD療法の継続を危なくする合併症の一つとしてカテーテルの先端の位置異常 (dislocation) をきたし注排液が困難になることが挙げられる.
    今回我々は当院にてCAPDを導入した100例についてカテーテルの挿入位置と位置異常の頻度について検討した.
    その結果カテーテル先端が常に骨盤腔より逸脱しているもの5%, 時々逸脱するもの19%で残りの76%は常に骨盤腔に留まっていた. カテーテル挿入部位の左右差による移動率の差異は認められなかった. また閉塞により再挿入を要した症例は3例ですべて挿入後14日以内に発生していた. カテーテル先端の移動に関して出口の方向による有意差は認めなかった.
    以上, 我々の観察ではカテーテルの先端の位置異常は一時的なものまで含めると24%にのぼるがCAPD導入後2週間以上を経たものでは大網のencasementのため注排液不能となるか外科的に再挿入を要したものはなかった.
  • 横田 武彦, 横田 欣也, 松浦 達雄, 志和 正明
    1993 年 26 巻 11 号 p. 1703-1708
    発行日: 1993/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    セファランチン (Cep) の有するサイトカイン抑制作用, 活性酸素消去作用に注目し, 血液透析時の投与が末梢白血球数, 好中球O2-産生能に及ぼす効果と, TNF-α, IL-1β, IL-8との関係について検討した.
    まずin vitroで1) recombinant human TNF-α, recombinan thuman IL-8が好中球O2-産生能を濃度依存性に亢進することと, 2) Cepがzymosan刺激による好中球TNF-α, IL-1β産生を抑制することを確認した.
    次いで臨床試験として3) Cep投与量を20mgと設定し, 透析開始時に投与. 投与前, 透析開始後15分, 4時間の各パラメータをみた.
    末梢血白血球数は15分で投与前の75.9±12.8%に減少し, 4時間で103.8%に回復していた. これは非投与群の15分76.7±5.9%, 4時間99.7±11.2%と有意差はなかった. 好中球O2-産生能は非投与群の15分が投与前の184.2±43.4%と著明に亢進, 4時間でも116.3±40.0%であったのに対し, 投与群では15分で54.3±23.1%と著明に抑制, 4時間でも70.2±29.3%とその効果は持続していた. TNF-α, IL-8, IL-1βは個々の症例によってばらつきが多く, 一定の経時的変動は確認できなかった.
    以上よりCep 20mgの静注投与では透析中の白血球数減少を抑制することはできなかったが, 透析時の好中球O2-産生を4時間にわたり抑制することが明らかとなった. その機序については血清TNF-α, IL-8, IL-1β値の推移からは説明できなかったが, in vitroにおける結果より, Cepがサイトカインによる好中球のpriming効果を抑制したものと推測された.
  • 伊藤 正典, 畠山 収一, 久慈 一英, 宮内 勉, 森 保人, 伊藤 利之, 北野 博嗣, 泊 康男
    1993 年 26 巻 11 号 p. 1709-1713
    発行日: 1993/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    胃異所性石灰化を合併した長期血液透析患者の1例を経験したので, 臨床所見と合わせ報告する.
    症例は49歳, 男性. 18年の血液透析歴をもつ長期透析患者であった. 心窩部痛の訴えがあり, 胃内視鏡を行ったところ, びらん性胃炎と診断された. さらに, 生検標本にて, 胃粘膜内に石灰化が認められ, 異所性石灰化と診断された. 骨シンチグラムでも, 胃に集積がみられた. 胃運動機能を評価する目的で, 胃排出時間を測定したが, 固形食, 液体食ともに遅延は認められなかった.
    臓器異所性石灰化は, 尿毒症の合併症のひとつと考えられるが, 胃異所性石灰化の臨床的意義について, これまで言及した報告はない. 本例では, 内視鏡検査では出血を伴った胃粘膜のびらんが認められた. また, 胃排出時間を検討した結果では胃運動機能は障害されていなかった. しかし, この点に関しては, さらに経過観察が必要と思われる.
  • 中落 琢哉, 西田 佳史, 中筋 正人, 栗田 聡, 榎本 小弓, 佐藤 善一
    1993 年 26 巻 11 号 p. 1715-1719
    発行日: 1993/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞により, 血液浄化を必要とする腎不全に陥った場合, 心機能が低下しているため, 循環動態を悪化させない血液浄化法を選択する必要がある. 今回我々は, 糖尿病性腎症の患者が急性心筋梗塞を発症したために無尿となり, 持続血液透析 (continuous hemodialysis; CHD) および腹膜透析 (peritoneal dialysis; PD) を施行して循環動態を悪化させることなく経過した1例を経験したので報告する.
    症例は70歳の男性で, 68歳時より糖尿病, 糖尿病性腎症を指摘されていた. 今回, 急性心筋梗塞 (前壁梗塞) を発症し, それによる低心拍出量症候群 (low output syndrome; LOS) のために無尿となった. ドパミン等のカテコラミンの投与およびIABPによる循環補助によってLOSを脱したにもかかわらず, 無尿の状態は続き利尿剤にも反応しないため, 循環動態に影響を与えにくい血液浄化法として, CHDを開始した. その後, 心機能の改善とともにIABPからの離脱, カテコラミンの減量は進んだが腎機能は改善せず, 1か月にもおよぶCHDに代わる血液浄化法としてPDを開始した. PDの施行によっても循環動態は安定したままで問題なく経過し, ICUを退室した.
    心機能の非常に低下した症例の腎不全に対する血液浄化法としては, 確実な除水および溶質の除去が必要な初期にはCHDを行い, その後呼吸, 循環動態が比較的安定した時期には, PDが循環動態に影響を与えにくい方法として適していると思われる.
  • 矢崎 洋子, 中西 ひろ子, 江本 俊秀
    1993 年 26 巻 11 号 p. 1721-1724
    発行日: 1993/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は妊娠中毒症により妊娠子癇および産褥子癇を繰り返し, 急速に腎機能障害が進行して血液透析に導入となった透析歴12年の40歳の女性. 腎性貧血に対してエリスロポエチン製剤投与までの11年間は月2回の割合で200回以上の洗滌赤血球の輸血を受けていたが, この経過中に過剰の鉄が全身に沈着し, 肝障害, 糖尿病および皮膚色素沈着などが出現, 諸検査の結果, 続発性ヘモクロマトーシスと診断された.
    除鉄療法としてキレート剤であるディフェロキサミン (DFO) 1,000mgを週3回, 透析時に計40回投与するとともにDFOの透析性を考慮し, DFO投与時にはHPMダイアライザーを併用し, 諸臓器の不可逆的障害への進展阻止に努めた. その結果, 血清フェリチン値が7,800→187ng/ml,肝のCT値108.5→81.7, ヘモグロビンA1は12.5→5.6, A1C 11.2→4.6mg/dl, GOT 62→29IU, GPT 71→19IUと改善された.
    貧血のコントロールがエリスロポエチン製剤投与により可能となった現在では, 輸血後遺症としての鉄過剰症に対してDFO投与およびHPMダイアライザー併用療法が有効な手段になると考えられた.
  • 北村 雅哉, 宮永 武章, 佐藤 義基, 寺川 知良, 阪口 昇二, 津島 寿一, 幕谷 士郎, 前田 宗宏, 大道 彰
    1993 年 26 巻 11 号 p. 1725-1728
    発行日: 1993/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は56歳男性. 5年前透析導入時に鎖骨下静脈カテーテルを留置. 後縦靱帯骨化症の発症を契機にシャント側上肢の著明な浮腫, 腫張, 疼痛をきたした. 血管造影にて腕頭静脈の閉塞を認め, 同部にendovascular metallic stentを留置したところその症状は劇的に改善した.
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