日本透析療法学会雑誌
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26 巻, 9 号
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  • 横田 眞二, 熊野 和雄, 酒井 糾, 南部 正人
    1993 年 26 巻 9 号 p. 1475-1482
    発行日: 1993/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    Endotoxin (ET) フラグメントあるいはcytokine-inducing substances (CIS, サイトカイン誘導物質) がhigh-flux膜ダイアライザーを生物活性を有した形で通過し, 末梢血単球を刺激するかどうかについてin vitroでの基礎的検討を行った.
    透析液供給システム内重炭酸ソーダ原液タンクより分離同定されたPseudomonas (P.) aeruginosa臨床株を用いて, ET濃度621pg/ml, 100ng/ml, 8.92μg/mlのET汚染培養液を準備した. 臨床環境で生じ得るようなET汚染濃度 (621pg/ml) 培養液については, 3種類のhigh-flux膜ダイアライザー (EVAL, PAN, PMMA) 内を灌流させ, backfiltrateを採取. 高濃度 (100ng/mlおよび8.92μg/ml) ET汚染培養液については, PAN膜ダイアライザーからのbackfiltrateを用いて, 単球からのサイトカイン (IL-1β, IL-6とTNFα) 産生刺激を測定した. ET濃度621pg/mlの培養液では, どの種のダイアライザーからのbackfiltrateにおいても単球サイトカイン産生亢進は起こらなかったし, ET濃度100ng/ml培養液のPAN膜ダイアライザーからのbackfiltrateにおいても, サイトカイン産生刺激は認められなかった. 極端な高濃度 (8.92μg/ml) ET汚染液のPAN膜ダイアライザーからのbackfiltrateでは, 有意に単球からのサイトカイン産生を亢進させており, 何らかのCISがhigh-flux membraneを通過していることが証明された.
    一方, 末梢血の体外循環回路 (PAN膜ダイアライザー) との接触だけでは, 単球からのサイトカイン産生亢進は認められなかった. また, 活性化補体成分でアナフィラトキシンであるC5a (100ng/ml) の存在だけでは, 単球サイトカイン産生亢進を生じないが, lipopolysaccharide (LPS) との共存下で, サイトカイン産生が相乗的に刺激された.
    今回のin vitroでの基礎的検討からは, 臨床の現場では起こり得ないようなET汚染 (μg/ml以上の高濃度) の場合に限ってCISがPAN膜ダイアライザーを通過することが証明されたが, 実際の臨床の場で想定されるET汚染 (600pg/ml-100ng/ml) の場合には, CISが透析膜を通過していることは証明されなかった. 透析液の浄化がどの程度必要なのか, 再検討の余地があると思われる.
  • 寺山 百合子, 森田 秀, 本村 文一, 二川原 和男, 舟生 富寿
    1993 年 26 巻 9 号 p. 1483-1485
    発行日: 1993/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    HD患者におけるrHuEPO治療時の血圧変化の実態を明らかにするために, rHuEPO治療した99例について治療前の血圧により4群に分けて血圧変化を観察した. I群 (収縮期圧<140, 拡張期圧<90mmHg) では29例中15例, II群 (≧140, <90) では13例中5例, III群 (≧140, ≧90) では20例中9例, IV群 (降圧療法中) では37例中19例に血圧上昇を認めた. 他の例は4群とも血圧低下または不変であった. 全例では48.5%に血圧上昇が認められた.
    以上から, rHuEPO治療時には投与前の血圧に拘わらず血圧上昇例が高頻度にみられるので, 血圧変化に十分注意すべきと思われた.
  • 石光 俊彦, 河口 達仁, 太尾 泰雄, 小野 英彦, 鈴木 一史, 杉山 睦, 西川 哲司, 丸山 尊久, 浅川 洋, 久米井 和彦, 大 ...
    1993 年 26 巻 9 号 p. 1487-1492
    発行日: 1993/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性血液透析患者98例の腎性貧血に対し, 1年間にわたりヒト遺伝子組換えエリスロポエチン (rHuEPO) を投与し, その長期的な有効性と安全性を検討した. rHuEPO投与3か月後にはヘマトクリット値は目標としたレベル (30%) となり, その効果は1年後においても持続された. 投与期間中, 収縮期血圧に有意な変動はなかったが, 拡張期血圧は軽度上昇した (3か月後: +3.9mmHg, p<0.01; 12か月後: +2.4mmHg, p<0.01). また血清クレアチニン, K, 無機リンなども, 軽度ながら有意な上昇を示した. 血清鉄は3か月後に一過性に低下したが, その後は投与前のレベルに復した. 投与が中止された副作用の発現は2例に認められ, いずれも著明な高血圧を呈したが, 投与中止後は速やかに改善した. 以上の結果より, 慢性血液透析患者に対するruEPO投与は, 長期的にも有効かつ比較的安全な治療法であると思われるが, 血圧, K, リンのコントロールや鉄補給に注意する必要があると考えられる.
  • 柴原 伸久, 岡田 茂樹, 和辻 利和, 安田 英煥, 浜田 勝生, 岩動 孝一郎
    1993 年 26 巻 9 号 p. 1493-1496
    発行日: 1993/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者に対する手術療法の適応と安全性を調べるため, 術後合併症について検討した. 対象は当科および関連施設にて維持透析を受けている患者のうち, 1987年1月から1991年12月までの5年間にblood access以外の手術を受けた120例 (124件) であった. 全身麻酔, 硬膜外麻酔での手術76件のうち28件 (37%) に術後合併症を認めた. 患者の年齢, 性別, 透析歴および術直前の透析の時期と術後合併症の発生頻度とは関連性はなかったが, 創部感染を起こした症例の腎不全の原疾患はすべて糖尿病性腎症であった. 術後合併症に起因する死亡は1例のみであった. 局所浸潤麻酔や伝達麻酔で行えるような小手術については, 術後合併症もほとんどなく安全に施行できた. 全身麻酔および硬膜外麻酔での手術については, 腎不全の原疾患が糖尿病でない限り比較的安全に行えていたが, 糖尿病の場合は術後合併症の頻度が50%と高く, 特に創部感染を併発することが多いので細心の注意を払う必要があると思われた.
  • 黒田 泰二, 金津 和郎, 関田 憲一, 高光 義博, 守殿 貞夫
    1993 年 26 巻 9 号 p. 1497-1502
    発行日: 1993/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者における末梢血好中球の遊走能をアガロース平板法にて, また貪食能をフローサイトメトリー法にて測定し, 併せて遺伝子組み換え型ヒト顆粒球コロニー刺激因子 (recombinant human granulocyte colony stimulating factor: rhG-CSF) の, これら好中球機能に及ぼす影響についてin vitroにて検討した.
    血液透析患者においては, 好中球の遊走能および貪食能はともに健常人に比し有意に低下し (p<0.01), 感染防御能が低下しているものと思われた. rhG-CSFは血液透析患者の好中球機能 (遊走能および貪食能) を有意に (p<0.01) 亢進させた. しかし, 1ng/ml, 10ng/ml, 20ng/mlの濃度間での本剤の好中球機能に及ぼす影響には有意差がなかった. これらの事実より本剤はcompromised hostとされている血液透析患者の感染防御機能の増強に寄与しうる薬剤であることが示唆された.
  • Masakazu Washio, Yuji Makita, Akinori Nagashima, Seiya Okuda, Satoru F ...
    1993 年 26 巻 9 号 p. 1503-1507
    発行日: 1993/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者462例において, オーソ社製キットを用い, C型肝炎ウイルス抗体 (HCV抗体) を測定したところ, HCV抗体陽性率は19.5% (90/462) であった. HCV抗体陽性率は, ALTとASTが共に正常 (40IU/l未満) 例では18.2%, いずれかが異常 (40IU/l以上) を示す例では40.7%で, ALT, AST異常例でHCV抗体陽性率が有意に高かった. しかし, HCV抗体陽性者の大部分 (79/90, 87.8%) は, ALT, ASTともに正常値を示し, わずか5.8%の症例のみにALTまたはASTの上昇を認めた. このことは, 透析患者ではトランスアミナーゼが必ずしも, HCV感染の適当な指標でないことを示している. 腎不全患者ではトランスアミナーゼは低値を示すことが報告されており, 健常者のトランスアミナーゼの正常値をそのまま透析患者に適用するのは適当ではないと考えられた.
  • 感染対策マニュアル作成を通して
    野口 享秀, 田中 孜, 上野 勝己, 横山 仁美, 瀬川 知則, 青山 琢磨, 服部 有博, 国島 明久, 金 俊哉, 森 矩尉, 吉田 ...
    1993 年 26 巻 9 号 p. 1509-1513
    発行日: 1993/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    Compromised hostとして, 人工透析患者におけるMRSAは重要な感染症であり, その対策に苦慮しているのが現状である.
    岐阜市民病院人工透析室では平成2年11月から透析患者にMRSAが検出され, 平成4年12月までに19例のMRSA陽性者をみた.
    平成3年1月に病院全体のMRSA感染対策マニュアルが作成され, さらに透析室に合わせたMRSA感染対策マニュアルを平成4年1月に作成し, これに基づき対処したところ, 以後透析室では維持透析患者1名を除き, MRSA定期検査にて医療従事者を含め新たなる検出は認められなかった. しかし, 他病院, 他病棟からの透析依頼患者にMRSAが検出されるケースがみられ, それらの予後は著しく悪かった.
    透析室における全国レベルでのMRSA対策のマニュアル化が必要と思われる.
  • 高須 伸治, 国米 欣明, 内田 晋, 高津 成子, 小寺 正人, 塩崎 滋弘, 宮崎 雅史, 三好 和也, 田中 信一郎, 阪上 賢一, ...
    1993 年 26 巻 9 号 p. 1515-1519
    発行日: 1993/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    二次性副甲状腺機能亢進症による腎性骨異栄養症 (ROD) に対して上皮小体全摘一部自家移植術 (PTX-AT) が行われているが, 術後3年以上の遠隔期における骨代謝, 骨所見に関する報告は少ない. 過去8年で38例に, PTX-ATを施行した. このうち術後3年以上経過した27症例について骨代謝の生化学的指標と, 全身骨X線所見について検討した. 透析歴は120-235か月 (平均181.1±30.7か月), PTX-AT後36-89か月 (平均61.9±11.9か月) を経過していた. C-PTHは術直後より減少し, 術後3年で5ng/ml以下のものは22例で, 残り5例中4例は術後もほとんど減少せず, その後の検査で残存副甲状腺を確認した. 骨新生の指標となるオステオカルシンを, 術後症例 (PTX-AT群) とC-PTH 10ng/ml以上の二次性副甲状腺機能亢進症例 (2°HPT群) で比較検討すると, PTX-AT群 (n=26) は平均106.9±98.7ng/ml, 2°HPT群 (n=27) は平均230.9±157.9ng/mlで, 有意にPTX-AT群が低値を示した (p<0.005). また, PTX-AT群では100ng/ml以下のものは19例でその全例がC-PTH 5ng/ml以下であった. 100ng/ml以上の8例は, 2°HPT群と有意差を認めなかった. さらに, 両群においてオステオカルシンとC-PTHは正の相関が認められた (p=0.05). 全身骨X線所見を1. 手指骨 (Tuft resorption, TR), 2. 頭蓋骨 (Salt and pepper, SP), 3. 腰椎 (Rugger jersey, RJ) の骨吸収像に分けてPTX-AT前後で比較検討した.
    1) TR (n=23): 悪化例0, 不変例2, 改善例21, 2) SP (n=21): 悪化例0, 不変例1, 改善例20, 3) RJ (n=21): 悪化例1, 不変例10, 改善例10.
    以上より, PTX-ATにより手指骨, 頭蓋骨は著明に改善するが, 腰椎は半数が不変であり改善傾向が少なかった. また, 術後持続副甲状腺機能亢進症を呈する症例では, 骨所見改善に乏しく, 骨代謝の生化学的指標のC-PTH, オステオカルシンと骨所見は相関するものと考えられた.
  • 堀見 博之, 長谷川 嗣夫, 草野 英二, 浅野 泰
    1993 年 26 巻 9 号 p. 1521-1524
    発行日: 1993/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者において内シャントの閉塞は重大な合併症のひとつである. 閉塞による再手術は患者に対し精神的, 肉体的苦痛となる.
    我々は新規血液透析導入患者でTabaciére内シャント造設を予定した2症例に対し, 術前に超音波検査で両側手根部の橈骨動脈の血流を測定し, その測定結果がシャント造設部位決定の補助的手段として有用なことを確認した.
  • SAPの関与について
    小野 慶治, 内野 文彌
    1993 年 26 巻 9 号 p. 1525-1530
    発行日: 1993/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期透析患者の骨・関節領域に沈着するβ2-ミクログロブリン (β2-MG) 由来のアミロイド (Aβ2M) の形成メカニズムはまだ十分に解明されていない. 各種のアミロイドに5-10%含まれているserum amyloid P component (SAP) やglycosaminoglycan (GAG) がAβ2Mの形成にも何らかの働きをするのではないかと考え, ヒトの尿から抽出されたβ2-MGを単独に, あるいはSAPやGAGの一種であるヒアルロン酸 (HA) やヘパラン硫酸 (HS) と混合し, microdialyzerで3種類のpH (7.4, 5.7, 4.3) を示す緩衝液で72時間, 4℃下で透析した.
    その結果, SAPが加えられたβ2-MG溶液を生理的なpH 7.4の燐酸緩衝液で透析した場合にCongo-red染色陽性, 偏光顕微鏡下で緑色に複屈折を示すアミロイド様物質が形成され, 電顕ネガティブ染色でも幅6-10nmの分枝のないアミロイド様細線維が確認された.
    この結果はin vitroでβ2-MGから短時間のうちにアミロイド様物質やアミロイド様細線維が形成されるのに, SAPが何らかの役割を演じていることを示している.
  • 大野 敦, 伊藤 久雄, 横関 一雄, 鹿島 孝, 入江 康文
    1993 年 26 巻 9 号 p. 1531-1534
    発行日: 1993/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    HbA1cは血糖コントロールの一指標として有用である. しかしながら糖尿病透析患者においては, recombinant human erythropoietin (rHuEPO) を使用開始したのち, 貧血の改善に伴いHbA1cが低下する症例を認め, 血糖コントロールの指標として評価する際に迷うことがある. そこでrHuEPO開始後のHbA1cの変動パターンを, ヘモグロビン (Hb) の動きとの関連で検討した.
    その結果rHuEPO開始後の血糖コントロールは, フルクトサミンの平均値でみるとやや増悪しているにも拘わらず, HbA1cは全症例で低下傾向を認めた. そしてHbA1cの低下は, rHuEPOによる赤血球新生の亢進と強い関連があると考えられた. またrHuEPO開始後HbA1cが最低値に達するまでの期間は, Hbが最高値に達するまでの期間と比べて, 同等ないしはより短かったが, Hbの改善度とHbA1cの低下度の間に相関はみられず, Hbの動きからHbA1cの動きを推測するのは困難であった.
  • 戸村 成男, 長野 久子, 小林 繁郎, 柴田 道子, 中村 義弘, 浅川 千秋, 皿田 敏明, 千田 佳子
    1993 年 26 巻 9 号 p. 1535-1538
    発行日: 1993/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    高齢透析患者の退院を困難にしている因子を明らかにするために, 通院透析が可能となった症例と退院できずに入院を続けている症例とを比較し, 看護面を中心に長期入院の解決法について検討を行った. 入院群と通院群では, 年齢, 原疾患, 合併症, 身体的側面 (ADL: 日常生活動作) では大きな差は認められなかった. 性格的側面, すなわち自己管理能力および意欲において, 入院群は通院群に比較し低い傾向を示した. また, 社会的側面では入院群において家族の受け入れ状況が悪く, 通院介助が不可能な例が多く認められた. そして実際に, 透析導入後, 長期入院を余儀なくされた患者が, 十分に時間をかけた患者教育・指導と家族への積極的な働きかけによって通院可能となった症例を経験した. 高齢透析患者の入院の長期化を防ぐには, 自己管理能力向上のための患者教育・指導, 細かく段階を分けた退院指導, 家族への積極的な協力・支援の要請, 看護スタッフと家族との日常的な情報交換が重要であると考えられた.
  • 長宅 芳男, 和田 淳, 槇野 博史, 四方 賢一, 熊谷 功, 粟田 敏江, 森岡 茂, 小倉 俊郎, 太田 善介
    1993 年 26 巻 9 号 p. 1539-1542
    発行日: 1993/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血漿vetronectin (VN) 値は, 血液透析患者では低値を示すが, 透析歴が長くなるほど, より低値を示すことが知られている. そこで, 今回我々は, 同一患者に対し, regenerated cellulose (RC膜), cellulose triacetate膜 (CTA膜), polysulfone膜 (PS膜) の3種類の透析膜を順次変えて血液透析を施行し, その際の血漿VN値の変動を測定することにより, これらの透析膜で血漿VN値の変動に有意な変化があるか否かを検討した. また, 抗凝固剤としてのheparinの影響の有無を検討するため, 抗凝固剤として, heparinを使用した時とnafamostat mesilate (NM) を使用した時の, 血漿VN値の変動を比較検討した.
    その結果, すべての膜において, 透析開始前の血漿VN値は, 正常値より低値を示した. 血漿VN値の変動では, RC膜のみ有意な変化を認め, 透析開始後15分の血漿VN値が, 開始前に比べ有意に低値を示したが, CTA膜, PS膜には, 有意な変動を認めなかった. 従って, 使用している透析膜の種類により補体活性化の程度が異なり, VNの消費の程度が異なってくることが示唆された. また, 抗凝固剤による検討では, すべての膜において, heparin使用時とNM使用時とでは, 血漿VN値の変動に関し有意差を認めなかったため, VNがheparinと結合することによりVNが消費されるという説を支持する結果は得られなかった.
  • 西阪 誠泰, 夫 恩澤, 河野 学, 前川 たかし, 吉原 秀高, 和田 誠次, 安本 亮二, 岸本 武利, 淀井 省三
    1993 年 26 巻 9 号 p. 1543-1547
    発行日: 1993/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は53歳, 女性. 11年前より近医で維持透析を受けていたが, 1990年の腹部エコーとCTで偶然, 右腎腫瘤を指摘された. その後, 症状の出現もなく定期検査のもと経過観察されていたが, 1992年のCTでもやはり増大傾向はないものの同腫瘤が認められたため, 精査目的で当科入院となった. 腹部大動脈造影の結果, 中等度のhypervascularityの所見が認められ, 腎細胞癌の可能性も否定できず, 同年4月に根治的右腎摘出術が施行された. 病理組織学的には, 光顕では腫瘍は好酸性顆粒に富む細胞質を有する核異型の乏しい細胞からなり, また電顕では細胞質内にミトコンドリアが豊富に認められたことから, 腎オンコサイトーマと診断された. 本邦において, これまで維持透析患者に発生した腎オンコサイトーマの報告例はこれまでにも1例を見るのみで, 非常に稀な疾患と考えられた.
  • 井上 清明, 石黒 源之, 幾高 敏晴, 後藤 尚己, 操 潤, 皆川 太郎, 高田 信幸, 徳山 宏基, 島袋 盛一, 鈴木 典子, 平野 ...
    1993 年 26 巻 9 号 p. 1549-1552
    発行日: 1993/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    維持二重濾過血漿交換療法 (DFPP) にて心不全と貧血を7年間にわたり管理しえた原発性マクログロブリン血症の剖検例について病理学的所見を検討した. 症例は56歳の男性で原発性マクログロブリン血症のため多臓器不全を呈し, 顆粒球減少症により化学療法が困難であった. 7年間にわたり計181回のDFPPを施行したが, 心不全にて死亡した. 剖検の結果, 心臓は660gと肥大していたが, 心筋にIgM等の均一構造物質の沈着は認められず, 僧帽弁と大動脈弁の弁口径は増大していた. 主たる死因は心収縮能の低下と弁口径の拡大による心不全と考えられた.
    心臓の前負荷が増大しかつ心筋虚血を伴う本例のような心不全を呈する原発性マクログロブリン血症例においては, IgMを選択的に除去するDFPPは有用な治療法であったと考えられる.
  • 久木山 厚子, 下村 貴文, 三浦 洋, 早野 恵子, 福井 博義
    1993 年 26 巻 9 号 p. 1553-1556
    発行日: 1993/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    塩酸マニジピンによると思われるCAPD排液白濁を生じ限外濾過量の増加を示した症例を経験した. 症例は43歳男性, IgA腎症による腎不全にて平成3年8月8日よりCAPD導入. 導入後順調に経過していた. 平成4年2月頭痛のため近医受診, 高血圧を指摘され, 塩酸マニジピン20mgを夕食後に服用したところ, 翌朝著明な排液量の増加と排液の白濁をみた. この症例で塩酸マニジピンのPETに及ぼす影響をみるために, 塩酸マニジピン投与時, 非投与時にPETを施行したが, PETカーブに変化は認められなかった. よって塩酸マニジピンの除水増加の原因は透析液の糖の血中への移行の速度遅延ではなく, 血管拡張など他の原因が考えられた.
  • 繁田 直史, 川西 秀樹, 新宅 究典, 新原 亮, 山根 修治, 望月 高明, 土谷 太郎
    1993 年 26 巻 9 号 p. 1557-1560
    発行日: 1993/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期血液透析患者に合併した上腸間膜動脈 (SMA) 狭窄症に対し, 血行再建術を施行した症例を経験した.
    症例は49歳, 男性. 慢性糸球体腎炎を原疾患とし, 透析歴17年. 3年前より血液透析後にabdominal anginaを認めていた.
    上行結腸癌と診断され, 術前検査 (腹部CTおよび血管造影検査) でSMA狭窄症の合併を認めた. 腸管虚血を防ぐため, 手術は癌に対する上行結腸切除術に加えSMA狭窄症に対し自家大伏在静脈を用いた大動脈・SMAバイパス術を施行した. 術後約4年の現在までabdominal anginaは消失している.
    長期血液透析患者でabdominal anginaを呈する症例には積極的に血管造影検査を施行し, 腸間膜動脈に閉塞あるいは狭窄所見があるものに対しては, 早期に血行再建を行うべきである.
  • 柴田 哲雄, 住江 昭啓, 石井 孝典, 友 雅司, 安森 亮吉, 寺尾 英夫, 那須 勝
    1993 年 26 巻 9 号 p. 1561-1565
    発行日: 1993/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    非A非B型劇症肝炎に急性腎不全を合併し, 各種血液浄化法を用いることで救命できた症例を経験したので報告する. 症例は30歳, 男性. 全身倦怠感と高度の肝機能障害, 乏尿のため当院に入院した. 入院後肝性昏睡III度の意識障害が出現し, プロトロンビン時間13.9%と低下したため, 急性腎不全を合併した劇症肝炎と診断し, 血漿交換, CVVH, 血液透析を施行した. 計17回の血液透析の後, 約1か月後に利尿期を迎え透析を離脱, 腎機能, 肝機能は正常化した. 肝組織像では急性肝炎の回復期の所見を呈していた. 劇症肝炎に腎不全を合併した場合の予後は極めて不良であり, ことに急性腎不全を合併した非A非B型劇症肝炎の救命例の報告は稀と思われ, 文献的考察を加えて報告した.
  • 1993 年 26 巻 9 号 p. 1572a
    発行日: 1993年
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 26 巻 9 号 p. 1572b
    発行日: 1993年
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
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