日本透析療法学会雑誌
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最新号
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  • 黒川 清
    1993 年 26 巻 12 号 p. 1741-1744
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 恭彦, 鈴木 高志, 水野 正司, 森田 良樹, 市田 静憲, 宮川 幸一郎, 松尾 清一
    1993 年 26 巻 12 号 p. 1745-1750
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    脊髄損傷 (脊損) 患者にとって腎障害は致命的な合併症であり重要な問題のひとつである. 今回, 脊損腎不全患者8名における腎不全の特徴, 透析上の問題点を検討した.
    透析導入までの期間は, 16.4年であった. 導入時平均クレアチニン値は7.2±2.5mg/dlと低値でありクレアチニンクリアランスとの解離を認める症例が存在し, 導入時期決定に注意を要する. 導入時HCO3-は平均10.9mEq/l, Naは122.1mEq/lと高度の体液異常を認めることが特徴である. 導入理由として消化器症状が全例に, 高度体液異常を5例に, 心不全を3例に認め, 緊急導入となることが多い. 導入前後を通じて褥創手術を5名が経験しており, 3例は菌血症に陥っている. 導入期に肺炎を2名が併発しており尿路感染症とともに感染症対策が重要である. 導入期は, 体液異常, 感染症, 栄養不良等の理由から死亡率が高く導入期はより慎重な対応が必要となる. VURは2例3腎に見るのみであったが, 水腎は6例11腎に認めた. 神経因性膀胱による尿路障害とこれに伴う尿路感染症が脊髄損傷, 慢性腎不全の原因・増悪因子となるが, 全例に蛋白尿を認め糸球体障害の合併が疑われ, 剖検例ではVURの有無にかかわらず巣状糸球体硬化病変を認めた.
    脊髄損傷腎不全患者は特異な疾患群といえこれらの特徴を認識して対応する必要がある.
  • 中山 泰徳, 田畑 勉, 岸本 博至, 内本 定彦, 津村 圭, 西沢 良記, 井上 隆, 森井 浩世
    1993 年 26 巻 12 号 p. 1751-1755
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    維持血液透析患者において透析後のANPは血液循環量を反映していると考えられ, 至適体重の決定に有用であると考えられてきた. しかし心不全患者においてANPが高値を示し心機能と密接な関係があることが知られている. また透析患者において心収縮能が正常であるにもかかわらず, ANP高値例も散見される. このためANPについては体液貯留状態以外に心機能, 特に心拡張能の関与を検討する必要があると考えるため, 透析後の血中ANP正常群, 高値群の2群に分け心エコー所見, 心機能を評価した.
    血液透析後の血中ANP値により, 正常群 (<=75pg/ml) と高値群 (>75pg/ml) の2群に分け心エコー所見, 心機能, 平均血圧 (MBP), 左室心筋重量 (LVmass) について比較検討した.
    心エコー所見では, 高値群は左室後壁厚 (PWT) 11.5±0.5mm, 心室中隔厚 (IVST) 11.5±0.6mm, 左室収縮末期径 (LVDs) 37.4±1.2mm, IRT (isovolumic relaxation time) 108±0.9msecと正常群のPWT 10.1±0.2mm, IVST 10.2±0.3mm, LVDs 32.9±1.0mm, IRT 82±3.3msecに比し有意な高値を示した. 一方左室拡張末期径 (LVDd), PEP/ET (pre-ejection phase/ejection time) はともに両群間には有意な差は認められなかった. 心エコーより算出した左室心筋重量は, 高値群269.6±18gと, 正常群219.1±12gに比し有意な高値を示した. 平均血圧, 除水率には両群間に有意な差は認められなかった.
    以上の結果よりANP高値群においてIRTは有意な高値を認めたため血液透析後血中ANPが正常域に達しない透析患者では心収縮能よりむしろ心拡張能がより低下していることが示唆された. この拡張能の低下は左室肥大によるものであり, その結果左室および心房内圧が上昇しANP分泌が亢進していると考えられた.
  • 堀川 聖三郎, 稲垣 王子, 日和佐 真名, 中谷 真士, 松岡 泰子, 中西 裕治, 中川 清彦, 平岡 敬介, 高光 義博
    1993 年 26 巻 12 号 p. 1757-1761
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    1978年から1991年までの14年間に, 血液透析へ導入された糖尿病性腎症を原疾患とする透析患者, 男性72例, 女性34例の計106例を対象として, 結核症の合併について検討した. 年齢は58±10歳, 透析導入までの糖尿病歴は16±8年, インスリン使用例は56例であった. 菌排出, 生検, 剖検により結核症と確定診断した5例と, ツベルクリン反応陽性, 赤沈亢進, 炎症反応, 不明熱を認め, 抗結核剤投与により症状改善を認めた疑診例10例, 計15例 (14.4%) を結核合併症とし, 結核非合併症91例との比較を行った. 年齢, 糖尿病歴, インスリン使用例, 糖尿病合併症等には両群間に差はなかった. 結核症合併例15例中9例に結核既往歴が認められ, 非合併例の91例中10例よりも高頻度に認められた. また, 結核症合併例15例中13例は透析導入後6月以内に発症した.
  • 中澤 了一, 長谷川 真二, 小林 政美, 佐々木 正明, 浜 成司, 渋谷 泰史, 今井 裕二, 中村 誠, 松金 隆夫, 小金沢 修, ...
    1993 年 26 巻 12 号 p. 1763-1770
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析関連アミロイド症の治療法の開発は, 焦眉の急である. 前駆蛋白であるβ2-microglobulin (β2-MG) 除去のためさまざまな血液浄化法が試みられてきたが, その除去量は依然として不十分である. 1986年以来, β2-MG選択的吸着体ならびに, その吸着体を充填した直接血液灌流 (DHP) 型吸着器 (BM-01) を開発してきた. この吸着器は長鎖アルキル化合物を粒径約500μmの多孔質セルロースビーズに固定したもので, カラム容量は350mlである. In vitroでこの吸着体は1-2.1mg/mlゲルの吸着除去能力を持つ. BM-01はPANあるいはPMMA膜透析器と連結して, 週3回併用し, その安全性, 有効性を検討した. 使用症例は1週間, 11例; 4週間, 9例; 6か月間, 1例; 12か月間, 2例の計23例で, いずれも10年以上の長期透析歴をもつ. BM-01使用で特に異常・副作用をみなかった. 4週間以下の短期実施例でのβ2-MG除去率は全例64%以上であった. 6か月以上の長期実施3例では, 2例に関節痛の軽減, 関節可動域の拡大, 眼底の白斑像の減少等の臨床的改善がみられた. その3例のβ2-MG除去率 (%) は76.5±4.9, 73.5±5.7, 72.2±6.2で, 各治療session後のβ2-MG濃度は, 3例とも10mg/l以下を示し, 最も低値は3.4mg/lであった. β2-MG除去総量 (mg/session) は各々, 172.5±22.3, 257.0±75.6, 157.6±32.2であり, 最大除去量は429.8 (BM-01部分では371.9) であった. 本治療法は透析関連アミロイド症の進行を遅らせる可能性があり, より多面的・長期的な臨床的検討が望まれる.
  • 黒山 政一, 朝長 文弥, 熊野 和雄, 酒井 糾, 中山 幸子, 深沢 英雄
    1993 年 26 巻 12 号 p. 1771-1775
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    活性型ビタミンD3であるcalcitriolの蛋白結合率を, 健常人および慢性腎不全患者各6名の血清を用いて比較検討した.
    薬物濃度50pg/mlにおけるcalcitriolの蛋白結合率は, 健常人で97.93±0.18%, 保存期患者で98.03±0.25%, HD施行患者で97.30±0.19%であった. 薬物濃度200pg/mlにおけるcalcitriolの蛋白結合率は, 健常人で96.11±0.56%, 保存期患者で96.28±0.42%, HD施行患者で95.11±0.89%であった. Calcitriol濃度200pg/mlにおけるその蛋白結合率は, 50pg/mlにおける蛋白結合率より若干低値を示したが, 健常人および保存期, HD施行の慢性腎不全患者の蛋白結合率は, calcitriol濃度50pg/mlおよび200pg/mlにおいて顕著な差は認められなかった.
    血液透析前後における検討において, 薬物濃度50pg/mlにおけるcalcitriolの蛋白結合率は, 透析開始直前で97.30±0.19%, 透析終了直後で97.27±0.59%で, 薬物濃度200pg/mlにおけるその蛋白結合率は, 透析開始直前で95.11±0.89%, 透析終了直後で95.10±0.47%で, いずれも有意な差は認められなかった.
    通常, 薬物の体内動態の検討に際しては, その蛋白結合率の変動に関しても十分留意する必要がある. しかし, calcitriolの蛋白結合率は健常人および慢性腎不全患老で殆ど変化しないため, 慢性腎不全患者におけるcalcitriolの体内動態の検討に際しては, その蛋白結合率の変動はあまり考慮する必要はなく, 総calcitriol濃度を指標とすれば良いと考えられた.
  • 中川 芳彦, 太田 和夫, 佐藤 雄一, 村上 徹, 提嶋 淳一郎, 澤田 登起彦, 河合 達郎, 渕之上 昌平, 寺岡 慧, 阿岸 鉄三
    1993 年 26 巻 12 号 p. 1777-1782
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    我々は, 1991年1月より1992年12月までの期間中に, ブラッドアクセス作成後に当該肢全体の腫脹を呈した静脈高血圧症例を23例経験した. 症例は平均年齢55.4±10.0歳, 透析歴は平均9.7±4.8年であった. 当該肢に透析用カテーテル留置の既往のあった症例は5例で, その留置期間は平均24.5±9.0日であった. 1例は定型的乳房切断術と放射線照射の既往があり, さらに1例は, 永久的ペースメーカーを留置されていた. 他の15例 (65.2%) には上述の既往はなかった. 血管造影は14例に施行し, カテーテル留置の既往のあった3例全例に中枢側静脈の閉塞を認めた. 留置の既往のなかった11例では, 中枢側静脈の閉塞を5例に, 狭窄を5例に認め, 残りの1例はシャント静脈の拡張のみであった.
    手術は22名に施行した. 中枢側静脈閉塞8例のうち7例にシャント閉鎖術 (閉鎖術) を, 1例に吻合部修復術 (修復術) を施行した. 狭窄5例のうち1例に修復術兼バンディング術を, 2例に閉鎖術を施行した. 1例に中枢側狭窄部の経皮的血管形成術 (PTA) 兼修復術を行った. 血流過剰のみの1例には修復術兼バンディング術を施行し, 全例, 術後に腫脹は改善された. シャント血管造影を施行しなかった9例のうち7例に閉鎖術を, 2例にバンディング術を施行した.
    シャント静脈高血圧症の多くは透析用カテーテル, 完全静脈栄養用カテーテル, 永久的ペースメーカー用リードなどの長期留置が原因とされていたが, 一方で, 前述の既往が全くないにも拘わらず中枢側静脈の閉塞する症例もある. その機序は, シャント血流過剰のためにシャント静脈が拡張, 伸展し, 分岐部で乱流が生じ内膜の肥厚, 内腔の狭窄を引き起こし, 最後には分岐部で閉塞するものと思われる. 治療法としては, 症候が重度の症例では内シャント閉鎖術が必要であるが, 中等症では, 吻合部修復術, バンディング術, PTA, バイパス術なども有効である.
  • 中村 義弘, 大塚 正一, 松田 治, 出口 文佐栄, 井田 隆, 安藤 亮一, 千田 佳子, 戸村 成男
    1993 年 26 巻 12 号 p. 1783-1786
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    目的: CAPD療法が血管内皮細胞障害のマーカーとされる血漿トロンボモジュリン (TM) に与える影響を血液透析 (HD) 療法と比較・検討した. 方法: CAPD患者16名に加え, HD患者25名 (対照) を対象として採血を行い, 血管内皮細胞障害の指標としてTMを測定した. 結果: TMはHD 20±7 (SD)ng/ml, CAPD 15±3ng/mlであり, TMはHD患者で有意に高かった (p<0.01). HD, CAPD両者ともTMと透析歴との間に有意の正相関 (HD; r=0.809, CAPD; r=0.431) が認められたが, TMを縦軸に, 透析歴を横軸としたときの直線の勾配はHDで大きい傾向がみられた. 結論: CAPD療法とHD療法では, 血管内皮細胞に対する障害に差があることが示唆された.
  • 土肥 まゆみ, 戸村 成男, 安藤 亮一, 井田 隆, 千田 佳子, 大塚 正一, 篠田 俊男, 出口 文佐栄, 松田 治
    1993 年 26 巻 12 号 p. 1787-1790
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者の予後を考える上で心血管病変の評価は極めて重要である. 心エコー図法で認められる大動脈弁の輝度増強は冠動脈硬化を示唆する所見の一つと考えられている. そこで心エコー図法を用いて, 血液透析 (HD) 患者と持続性自己管理腹膜透析 (CAPD) 患者の大動脈弁輝度増強の頻度を比較し, 動脈硬化促進因子について検討した.
    対象はHD患者17例 (男性6例, 女性9例, 平均年齢48.1歳, 平均透析期間153.9か月) とCAPD患者16例 (男性10例, 女性6例, 平均年齢40.7歳, 平均透析期間49.5か月) で全員に心エコー図を施行するとともに, 血清カルシウム, リン, 総コレステロール, 中性脂肪, HDLコレステロール, β-リポ蛋白, リポ蛋白 (a) [Lp(a)] を測定した.
    大動脈弁輝度増強はHD患者58.5%, CAPD患者87.5%に認められ, CAPD患者の方が頻度が高かった (p<0.05). 血清カルシウム, リン, 総コレステロール, HDLコレステロール, LDLコレステロール, Lp(a) は両者間に有意差がなかった. しかし中性脂肪はHD患者109.3±68.9mg/dl, CAPD患者186.1±113.1mg/dl, β-リポ蛋白はHD患者206.8±105.1mg/dl, CAPD患者463.5±160.3mg/dlでいずれもCAPD患者の方がHD患者より有意に高かった (p<0.01). また収縮期血圧は, HD患者155±21mmHg, CAPD患者137±20mmHgでHD患者の方が有意に高かった (p<0.05). HD患者で大動脈弁輝度増強が認められた群と認められなかった群で, 平均年齢, 透析歴に有意差はなかった.
    今回の検討で, CAPD患者はHD患者に比べ透析歴が短いにも拘わらず大動脈弁輝度増強の頻度が高く, また中性脂肪とβ-リポ蛋白がHD患者より有意に高かった. 従って, これらの脂質代謝の異常が冠動脈硬化の促進因子である可能性が考えられた.
  • 多川 斉, 齋藤 肇, 西尾 恭介
    1993 年 26 巻 12 号 p. 1791-1794
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    低血圧を示す長期血液透析患者21例に新しい交感神経作動薬であるamezinium metilsulfate (Am) 1日10mgを5週間経口投与し, その有用性と安全性を検討するとともに, その昇圧機序を心臓超音波検査によって分析した. 副作用のため3例で投与を中止したが, いずれも尿閉, 頭痛など軽微な副作用であり, 投与中止によってただちに消失した. Am投与により, 平均血圧は透析開始時88.2±9.5→95.1±16.1mmHg (m±SD; p<0.05), 透析中最低値60.1±11.7→69.7±14.2 (p<0.01) と, 有意に上昇した. 左室径, 心拍数, 心拍出量などの心パラメータは不変であり, 総末梢血管抵抗係数は有意に増加した (845±267→968±230×10-4dynes・sec/cm7; p<0.05). 血圧と総末梢血管抵抗の増加量が比例することから, Amの昇圧機序が主に末梢血管収縮に基づくことが示された. 治療前の心拍出係数 (CI) が4l/min/m2未満の患者では心拍出係数がわずかではあるが有意に増加し, Amによる昇圧機序の一部が心刺激作用を介することが示唆された. また, 血圧が低い患者ほどAmの昇圧効果が大きいことは, 交感神経活性の低下が透析低血圧の主因であることを支持している.
  • 諫見 康弘, 奥田 正浩, 池田 洋, 岡本 峰夫, 豊田 高彰, 生間 敬博, 中村 英一, 藤井 正博, 白石 友邦
    1993 年 26 巻 12 号 p. 1795-1800
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    今回, 維持透析患者に発症した虚血性大腸炎 (IC) および潰瘍性大腸炎 (UC) の症例を経験したので報告する. ICの例は既往に糖尿病, 高血圧症, 心不全, 慢性便秘症を有する28歳の女性. 透析中に下腹部痛, 下血をきたしたため入院. 注腸検査にて下行結腸に区域性の狭窄像, 内視鏡にて同部位の縦走潰瘍を認め, ICと診断した. 一般的にICは心疾患や動脈硬化症を基礎に有する高齢者に発症しやすく, 若年者に認められることは稀である. しかし, 透析患者は二次性副甲状腺機能亢進症による動脈硬化の促進, 尿毒症性自律神経障害による腸管運動の低下, 慢性便秘症からくる腸管内圧の上昇, 除水操作による血圧の変動などICの誘因となり得る要素を多く有している. 従ってICの基礎疾患を併発している透析患者では, 下血をきたした場合, 年齢にとらわれることなくICの発症を念頭におき, 精査する必要がある.
    一方, UCの例は 32歳の男性で, 発熱, 腹痛, 粘血便が持続するため当科に入院. 注腸造影にて横行結腸中央部から下行結腸まで連続性に粗造な粘膜, spiculaの形成を, 内視鏡的に同部位の粘膜の浮腫, 発赤, 糜爛, 潰瘍を, 組織学的に炎症性細胞の浸潤およびcrypt abscessを認めたため活動期の左側型UCと診断した. 透析患者に発症したUCは, 検索し得た範囲では過去に2例の報告をみるのみである. 現在, 本疾患の病因は不明だが, Tリンパ系細胞の活性化が関係する免疫学的機序, 心理的要因の関与が提唱されている. 本例ではT細胞表面マーカーのCD4/CD8比は正常であり, また, 患者の仕事である学校事務の一番忙しい年度末に本症を発症していることより, 心理的要因の関与が示唆された. 透析患者に下血を認めた場合には, UCをも念頭において検査を進めていく必要がある.
  • 檜井 孝夫, 田中 一誠, 春田 直樹, 大段 秀樹, 吉川 雅文, 中谷 玉樹, 宮本 和明, 大城 久司
    1993 年 26 巻 12 号 p. 1801-1805
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    12年来, 慢性血液透析を受けている47歳, 女性の急性脊髄硬膜外血腫 (ASEH) の1例を報告した. 患者は, 血液透析中に項背部痛で発症し, 5時間後には下肢の完全対麻痺となった. その後, Th4以下の知覚障害, 四肢麻痺, さらに肋間筋麻痺による呼吸障害へと急速に症状は悪化した. MRIによりC3-Th2のレベルでの背側のASEHと診断し, 発症後, 約10時間後に手術を開始した. C4-Th3の椎弓切開により減圧し, 血腫を可及的に除去し, 椎弓形成術を追加した. 術後の血液透析の際, 抗凝固剤は術後第7病日までNafamostat mesilate (フサン®) 20mg/hrを, それ以後はヘパリンを使用した. 術後に上肢の不全麻痺のみ改善したが, 両下肢は, 完全麻痺となった. また, 肋間筋麻痺による喀痰排出困難から左無気肺となり気管内挿管し, 人工呼吸器を一時的に必要とした. 最終的に気管切開を行い, 現在も生存中である.
    慢性血液透析患者でのASEHは, 本邦では自験例を含めて5例の報告しかない. 自験例は, 発症から最も早く手術を行い, 救命こそしたが, その神経学的予後は不良であり, 肋間筋麻痺を伴っていたため術後に呼吸管理を必要とした. この要因は, 血腫が脊柱管の比較的狭い頸椎から上部胸椎に, しかも7椎体にわたる広範囲に存在したことと, 抗凝固剤を必要とする血液透析中に発症したことが主なものと考えられた. MRIは, ASEHの診断や治療方針の決定に極めて有用であった. 早期の診断と適切な治療が, ASEHの予後改善のためには必須であり, 日頃の血液透析患者の管理において, ASEHも念頭に置く必要がある.
  • 吉富 雄治, 品川 亮, 木村 玄次郎, 小嶋 俊一, 松岡 博昭
    1993 年 26 巻 12 号 p. 1807-1810
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    我々は, 血液透析中に抗不整脈薬の催不整脈作用による心室頻拍を2度起こした症例を経験した. 症例は56歳女性. 昭和59年, 慢性糸球体腎炎のため血液透析を導入された. 平成3年頃より透析不足による体液貯留傾向が出現し, うっ血性心不全で入院となった. 入院1週間目の透析中, ジソピラミドの催不整脈作用による心室頻拍を起こし, その2か月後にはピルジカイニドの催不整脈作用による心室頻拍を起こした. いずれも電気的除細動で復帰した. 最近, 抗不整脈薬による催不整脈作用が注目されているが, 血液透析患者における報告は少なく, 慢性腎不全患者の薬物血行動態とは必ずしも一致しない. このため定期的な抗不整脈薬の血中濃度の測定は血液透析患者ではより重要であると考えた.
  • 石松 隆子, 栄本 忠俊, 橋本 淳, 進藤 亨, 平野 宏, 大澤 源吾
    1993 年 26 巻 12 号 p. 1811-1815
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    止血困難を主訴とし, びまん性骨髄腫および全身性アミロイドーシスの合併を認めた長期透析患者の1例を報告した. 40歳の男性. 1972年, 慢性糸球体腎炎による慢性腎不全のため血液透析を開始した. 1988年8月頃より誘因なく全身に紫斑, 歯肉出血等の出血症状が出現し, 1989年4月入院す. 血小板数10.1万/μl, 血小板凝集能および粘着能が著しく低下. 血清の高IgA値 (1,148mg/dl) と免疫電気泳動にてIgAλにM-bowを認め, 骨髄腫を疑った. 出血傾向に対して無ヘパリン透析および血漿交換療法を施行したが改善せず, 上部消化管出血も併発した. 骨髄腫に準じて化学療法 (cyclophosphamide, vincristine) を施行したが効果なく肝不全に陥り同年6月死亡した.
    剖検では全身性にAL型アミロイドの沈着が証明され, 骨髄は多発性骨髄腫に特徴的な形質細胞の結節性増殖は明らかではなく, 軽度異型性を持つ形質細胞がびまん性に浸潤していた.
    出血傾向の原因は, アミロイド物質の血管への沈着による血管支持組織の脆弱化によると思われる.
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