2012年1月19日にApple社は「教育にデジタル革命をもたらす」と主張するiBooks Author、iTunes U、iBooks 2といった3つのアプリケーションソフトを発表した。iBooks AuthorはMac向けのインタラクティブな電子教科書を作成するためのソフトであり、iTunes UおよびiBooks2はiOS(主にiPad)向けのカリキュラム・講座内容を配布するためのアプリケーションとiBooks Authorなどで作成した電子書籍を閲覧するためのビューアである。
学習者にテキストとともにジェスチャー・視覚・聴覚を一体化するインタラクティブ要素を1つのまとまった形式で提供できるという点は外国語教育に携わるものにとって、従来の重要な課題を解決へ導くものであり、よりよくかつ効率的な学習への道を開拓すると思われる。
本発表では2013年4月からプライベート講座として実施された早稲田大学オープン教育センターの『イタリア語入門』のiTunes U講座を実例として、まず次世代の外国語教科書が満たすべき条件について述べる。次にそれがiBooks Authorで作成された場合どのように実現できるか、および現時点での限界について説明する。殊に、ウィジェットによる語学学習向けの有効な練習問題集とコンテンツの作成に焦点を絞り、具体的な例を紹介しながら論じる。最後に、近い将来におけるiBooks Authorによるデジタル教材の展望と期待について考察を加えたいと思う。
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