症例, 66歳, 女性, 1週間前より風邪様症状が出現, その後息切れ動悸が出現し増強したため外来を受診, 心不全の診断にて入院した.
外来受診時, 血清Kは4.0mEq/lと正常, 胸部X線写真でCTRが69%と心拡大を認め, 両側に胸水貯留を認めた.心電図上はQTcが0.46と軽度延長, またAPCが頻発し, couplet VPCがみられた.心不全に対しフロセミド, 抗不整脈剤としてジソピラミド, プロカインアミド, リドカインおよびメキシレチンの投与を開始した.
翌24日, 血清Kは3.3と低下, QTcは0.57と延長した.ホルター心電図ではすでにVTが出現しており, その形からTorsades de pointesと診断した.低K補正のためK製剤を投与したが効果なく, 硫酸マグネシウムの投与によりTorsades de pointesは速やかに消失した.
本症例は, 利尿剤投与によりTorsades de pointesが発生し, K投与のうえ, Mg静注が著効した.またホルター心電図にてその発生, 消失を観察し得た症例である.
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