心電図
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11 巻, 6 号
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  • 三上 雅人, 三国 谷淳, 福士 智久, 村山 晋, 佐々木 直裕, 佐々木 正則, 東山 明弘, 藤野 安弘, 小野寺 庚午, 大池 弥三 ...
    1991 年 11 巻 6 号 p. 715-723
    発行日: 1991/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心室性期外収縮 (VPC) 単発時と連発時の各連結時間の比較からその機序を推定する方法について検討した.持続性心室性頻拍 (SVT) 症の患者21例を電気生理学的検査所見からreentry群 (Re群: 13例) , triggered activity群 (TA群3例) , 機序不明群 (5例) の3群に分類し, ホルター心電図でSVTと同一波形と考えられるVPCの連発が24時間記録で10回以上認められた14例のVPC単発時と連発時の連結時間ならびに先行洞周期を測定した.Re群 (7例) の連結時間は単発時の594.8±207.3msecから連発時には613.9±218.3msecと延長し (p<0.01) , TA群 (n=3) では単発時の589.0±70.3msecから連発時には541.2±80.3msecと短縮した (p<0.01) .各症例の検討でもRe群は連発時には連結時間が長い症例が多く, TA群では短い症例が多かった.また, 機序不明群には長い症例, 短い症例が存在した.
    以上より, VPC単発時と連発時の連結時間からVPC発生機序の推定が可能と考えられた.
  • 川久保 清, 柳堀 朗子, 青木 和夫, 郡司 篤晃, 野崎 彰, 大城 雅也, 井上 博, 杉本 恒明, 坂本 静男
    1991 年 11 巻 6 号 p. 724-728
    発行日: 1991/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心疾患の既往のない一般成人におけるメディカルチェックとしての運動負荷試験の適応基準を設定する目的で, 運動時ST下降と冠危険因子の有無との関連について検討した.対象は運動型健康増進施設にてトレッドミルによる運動負荷試験を行なった男性246例 (平均年齢43.4歳) と女性347例 (平均年齢44.5歳) とした.検討した冠危険因子は年齢, 安静時心電図軽度異常, 高血圧症, 高コレステロール, 高中性脂肪, 高尿酸, 高血糖, 肥満であった.運動負荷時ST下降は男性9.8%, 女性10.1%にみられた.ST下降の有無と関連のあった危険因子は男性では年齢40歳以上と安静時軽度心電図異常, 女性では年齢40歳以上であった.40歳以上例において, 冠危険因子保有個数とST下降の頻度には関連がみられなかった.スクリーニングとしての運動負荷試験の適応は年齢 (40歳) で設定する必要があるものと結論された.
  • 杼木 秀高, 宗 武彦, 南家 俊彦, 原 正壽, 中村 俊香, 中沢 潔, 佐藤 忠一, 村山 正博, 須階 二朗, 白川 修, 日高 昭 ...
    1991 年 11 巻 6 号 p. 729-737
    発行日: 1991/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    遅延電位 (LP) の検出に用いられる加算平均心電図 (SAE) は, 加算に伴う時相ずれや瀘波に伴う過渡現象, 個々の心電波形の揺らぎなどにより, LPの波形が不明瞭となる可能性がある.これらの限界に対し, 1心拍のLPを検出可能なSubtraction法をディジタルフィルタで実現し, 心拍ごとのLPを実時間で記録できるリアルタイム高周波心電図 (リアルタイムーHFE) を開発した.リアルタイムーHFEとSAEのQRS幅の比較ではリアルタイムーHFEのほうが長い傾向を示した.リアルタイムーHFEにおけるLPは標準偏差でdurationが0.9~6.6msec, voltageが0.44~2.24μVの変動を認めた.リアルタイムーHFEとSAEのLP判定の比較では27例中26例が一致したが, SAEでLP陰性の1例はリアルタイムーHFEでLP陽性であった.本法により, 心拍ごとのLPの検出が可能であり, LPの性状や持続時間は心拍ごとに揺らぎが認められた.また, 従来のSAEでは記録不可能な短時間内のLPの変動を検出することが可能であった.
  • 姚 民
    1991 年 11 巻 6 号 p. 738-748
    発行日: 1991/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    肥大型心筋症 (HCM) 40例と左室肥大を合併する高血圧 (HT) 24例を対象に, Holter心電図とergometer運動負荷心電図および負荷心筋シンチの所見を対比検討した.HCM群では40例中8例 (20%) にHolter心電図上無症候性一過性ST変化が認められ, 6例 (15%) に運動負荷心電図のST下降が認められた.HT群の24例中2例 (8.3%) に運動負荷心電図のST下降が認められたが, Holter心電図では全例一過性ST変化が認められなかった.負荷心筋シンチ陽性HCM群におけるHolter心電図の無症候性一過性ST変化の出現率は54.5% (11例中6例) であり, 負荷心筋シンチ陰性HCM群の6.9% (29例中2例) に比し有意に高率であった.また, その出現は日中に多い傾向を示したが, ST変化開始時の心拍数は発作前と差がないものが多かった.以上より, HCM群ではHolter心電図上の無症候性一過性ST変化が, 負荷心筋シンチ上の陰影欠損として示される病態と密接な関係を有すると考えられた.
  • 中込 晃, 斉藤 崇, 田村 芳一, 阿部 徹, 木村 裕, 伏見 悦子, 高橋 和人, 三浦 傅
    1991 年 11 巻 6 号 p. 749-757
    発行日: 1991/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    短時間の一過性虚血が心筋に及ぼす影響を虚血侵襲に対する心電図応答性の変化として検出するモデルを作成して, 再灌流心筋における潜在性機能変化とその成立機序を検討した.その結果, 5分冠閉塞後90分再灌流で心筋機能がほぼ完全に回復した後に新たな虚血を導入することにより, 虚血部左室心筋機能低下が対照時に比して早期に進展する現象がみられ, これに伴って心電図R波の虚血超早期における減高相早期出現と増高相への転換の遅れが検出された.これらの機序として, 壁早期伸展菲薄化によるactivation timeの短縮ならびに細胞外カリウム濃度の上昇度低下によるactivation time延長度低下が, その主因をなすことが確認された.すなわち, 再灌流心筋では, 引き続いて生じた虚血に対する心筋反応性に変化が生じており, あたかも虚血により感作されたごとき現象 (ischemia-sensitized myocardium) のみられることが明らかとなった.
  • 降旗 章子
    1991 年 11 巻 6 号 p. 758-771
    発行日: 1991/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    持続性心室頻拍症7例を含む心筋梗塞44例と狭心症6例, 失神発作11例, 弁膜症4例, 拡張型心筋症5例, 不整脈源性右室異形成症2例を対象とし体表面加算心電図 (signal-averaged electrocardiogram; SAE) および同mappingと左室内電位mappingとの対比を行ってfragmented electrogram (FE) の左室内分布様式とlate potential (LP) の体表面分布様式を検討した.さらにLPのclinical SVTおよびinduced SVT予測の感度, 特異性ならびにFEとSVT focusとの関係を検討した.SAE mappingは前胸部および背部48点について行い, filtered QRS duration (fQRS) ≧136ms, またはlast20ms area (Area20) ≦28μV・msをLP陽性と定義した.SAE mappingでのfQRS≧136ms, Area20≦28μV・msの領域のmapから左室内FEの部位推定が可能であった.SAE mappingはSAEに比べてFE検出を向上させ, LP分布からFE部位推定も可能であり, clinicalおよびinduced SVT予測の感度, 特異性も良好で臨床的に有用な方法であった.
  • 碓井 雅博, 井上 博, 山下 武志, 郭 宗徳, 野崎 彰, 杉本 恒明, 岡部 英男
    1991 年 11 巻 6 号 p. 772-778
    発行日: 1991/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は31歳女性.5歳時Fallot四徴症根治術を, 28歳時遺残VSDのpatch閉鎖術および右室流出路のpatch拡大術を受けた.術後心電図は心房粗動 (AF) , 完全右脚ブロックであった.以後, digoxinが投与されていたが, 時々動悸, 息切れが出現していた.平成元年10月16日長い動悸発作の後失神し心室頻拍 (VT) 状態で入院した.VTはlidocaine, procainamide, disopyramide, verapamil投与で停止せず, 右室心尖部刺激で停止した.電気生理学的検査時, 右室期外刺激で左脚ブロック型のVTが誘発された.Cibenzoline投与後AFによるVTのentrainment現象を認めた.VT誘発予防効果はcibenzoline, mexiletine, disopyramideにはなかったが, flecainide (200mg p.o.) で認めた.Flecainide投与中, シャワーを浴びているときにVTの出現を認めたため, β遮断薬を併用したところ以後1年間VTの再発はない.
  • 井上 美穂, 虎谷 彰久, 小松 須美生, 白山 武司, 井上 大介, 勝目 紘, 中川 雅夫
    1991 年 11 巻 6 号 p. 779-789
    発行日: 1991/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は37歳, 男性である.小児期より発作性上室性頻拍を伴うWPW症候群の診断を受けていた.以後, Ashner手技にて自分で発作を停止させていたが, 発作性心房細動の発症をきっかけに当科救急受診した.入院後の安静時および運動負荷心電図では, △波は間歇的に出現していた.臨床電気生理学的検査では, 左側Kent束に三重房室結節伝導路を合併しており, 計4種類の発作性上室性頻拍の誘発が可能であった.本症例では房室結節の伝導能が亢進しているenhanced AV nodal conduction (EAVNC) のため, 非常にレートの速い上室性頻拍となりうることが示唆された.また心房早期刺激法において, Kent束を介する房室伝導はある範囲の連結期でのみ可能であり, 副伝導路の過常伝導と考えられた.
  • 宮崎 利久, 野間 重孝
    1991 年 11 巻 6 号 p. 790-795
    発行日: 1991/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Long R-P'tachycardia (R-P'間隔180ms, P'-R間隔80ms) を認めた52歳男性に対し電気生理学的検査を行なった.右房早期刺激により同一レートの頻拍が誘発された.この際, 心房エコーが左房側壁 (LA') , 低位右房 (A') , 高位右房 (HRA') の順にみられ, 心房興奮はHis束を通り心室 (V) へ伝わっていることから, 左室側の潜在性Kent束を逆伝導路とする房室リエントリー性頻拍と診断した.V-LA'間隔80msに対し, V-HRA'間隔は180msと延長を示し, これはR-P'間隔に一致した.一方, A'-V間隔150msと順行性房室伝導時間は短く, enhanced AV nodal conduction (EAVNC) の基準を満たす房室伝導の亢進を認めた.以上, 房室リエントリー性頻拍例で, 従来報告された潜在性Kent束の逆伝導時問の延長によらず, EAVNCと心房内逆伝導時間の延長による局所心房興奮のおくれにより心電図上long R-P'tachycardiaパターンを呈する場合のあることを報告した.
  • 佐藤 正, 鈴木 文男, 縄田 浩子, 大友 建一郎, 山本 直人, 平尾 見三, 比江嶋 一昌
    1991 年 11 巻 6 号 p. 796-806
    発行日: 1991/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は69歳の女性で, 心電図上, P波のレート170/分の頻拍を呈し, I, aVL誘導でP波は陰性で左房起源の心房性頻拍と推定された.心内電位記録では, 冠静脈洞遠位部電位がP波に先行して出現し, 最早期興奮部位と考えられ, 食道内記録部位, 下位中隔右房, 高位右房の順に伝導した.冠静脈洞および高位右房からの頻回刺激でentrainment現象を認め, プログラム刺激でも頻拍はresetされ, 機序としてリエントリーが考えられた.冠静脈洞遠位部からの頻回刺激ではP波の波形はほぼ不変で, 刺激-P波間隔は210msと伝導遅延を認め, また近位部からの頻回刺激では, 150~170msへと短縮した.この所見は, 冠静脈洞遠位部が緩徐伝導 (slow conduction) 領域内の上流に位置することを示唆するものと考えられた、また高位中隔右房からのプログラム刺激により, 下位中隔右房の心房波が長い伝導時間で順方向性 (orthodromic) に捕捉されたことにより旋回路は右房の一部も含むマクロリエントリー路であることが推定された.
  • 西崎 光弘, 太田 剛弘, 有田 匡孝, 桜田 春水, 平岡 昌和
    1991 年 11 巻 6 号 p. 807-815
    発行日: 1991/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    右脚ブロック, 左軸偏位型のVTを有する陳旧性心筋梗塞の一例に電気生理学的検査を行った.VTはプログラム刺激のみならず, 洞調律からも生じるいわゆるincessant型を呈していた.検査時の洞調律QRS波形は検査前と異なり, 右脚ブロック, 左軸偏位型を示し, そのQRS波形はVT時のものと同一であった.洞調律時, 左室下壁心尖部側にQRSに30msec先行したfractionated electrogram (FE) が記録され, 同部位のペースドマッピング時のQRS波形も洞調律時やVT時のQRS波形とほぼ同一であった.VT中の心内膜マッピングでも同部位が最早期興奮部位であり, QRSに60msec先行したFEが記録された.
    洞調律時, QRSに先行してみられるFEの報告は我々の調べたかぎりでは認められず, 上記の所見と合わせ, FEの記録部位の伝導性の異常がVTの発生に強く関与している可能性が考えられた.
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