心電図
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12 巻, 6 号
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  • 鈴木 賢治, 榊原 有作, 杉浦 正佳, 佐伯 知昭, 山田 彰
    1992 年 12 巻 6 号 p. 713-723
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    新規I群抗不整脈薬pilsicainideの上室性不整脈に対する抑制機序を調べるため, 家兎房室結節に及ぼす本剤の電気生理学的作用を検討した.本剤20μMは房室結節のCa2+チャネルおよびK+チャネルのカイネティクスに影響することなく, これらのコンダクタンスを抑制した.Ca2+チャネルに対して本剤20μMは15%の静止時ブロックを生じ, 活性化状態よりも不活性化状態に強い親和性を有することから, 頻度および使用依存性にCa2+電流を遮断した.Ca2+チャネルの不活性化からの回復過程は, 本剤により遅延した.
    Ca2+電流とK+電流の遮断効果は房室結節自発活動電流において, 最大脱分極速度の減少と活動電位持続時間の延長として発現した.以上, pilsicainideは房室結節伝導を抑制し, さらに不応期を延長することにより, 上室性頻脈性不整脈に対して抑制的に作用すると考えられた.
  • 碓井 雅博, 郭 宗徳, 井上 博, 杉本 恒明
    1992 年 12 巻 6 号 p. 724-731
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Moracizineは, OAST報告で心筋梗塞後の死亡を増力口するとされたIC群のflecainideやencainideに比べて抗不整脈作用では劣るが, 催不整脈作用や心不全の誘発は少ないとざれている.Moracizineの電気生理学的作用と3種類の測定法による心室細動閾値 (VFT) に及ぼす効果を麻酔開胸犬で検討した.健常心で, moracizineは拡張期興奮閾値, 伝導時間を増加したが, 不応期を延長せず, 50Hz持続電気刺激法によるVFTを上昇させなかった.Proteaseによる局所的出血性壊死心において, moracizineは連続期外刺激法によるVFTを上昇させなかったが, トレイン刺激法によるVFTを上昇させた.今回の結果より, moracizineは一発の心室期外収縮から心室細動になる場合において予防効果が期待される.
  • 白井 徹郎, 末武 裕美子, 井上 清
    1992 年 12 巻 6 号 p. 732-738
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Holter心電図にて認められるST下降が虚血性か否かを鑑別するための新しい方法につき検討した.対象は近接した時期にHolterおよびtreadmill負荷心電図, CAGを施行し得た27例である.全例Holter心電図では従来の虚血性とする1mm以上かつ1分間以上持続する水平型あるいは下降型ST下降を認め, treadmill負荷にても有意なST下降を認めた.ST下降の評価は心拍数とST下降レベルの関係の経時的変化から得られるHR-STループの回転方向により行った.症状の有無にかかわらず14例は時計方向回転 (CR) , 13例は反時計方向回転 (CCR) を示した.CRを示した14例は, 全例treadmill負荷時にもCRを示し, CAG上有意狭窄病変を有していた.一方, CCRを示した13例中11例ではtreadmill負荷時にもCCRとなり, CAG上有意狭窄は認められなかった.
    HR-STループは, Hotter心電図におけるST下降が虚血性か否かの鑑別に有用と考えられた.
  • ―Prostaglandinsの関与―
    小森 貞嘉, 長田 満, 佐野 壮一, 石原 司, 沢登 貴雄, 桜林 耐, 井尻 裕, 渡辺 雄一郎, 斉藤 勇三, 田村 康二
    1992 年 12 巻 6 号 p. 739-745
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    雄Sprague-Dawleyラットを用いて, 心筋梗塞発症前の短時間の心筋虚血 (preconditioning) が心筋梗塞急性期の心室性不整脈を抑制することをすでに報告した.この抗不整脈機序に, adenosineおよびprostaglandinsが関与しているか否かを検討した.Adenosine reoeptorをブロックするためaminophylline (4mg/kg) を, cyclooxygenaseをブロックするためaspirin (4mg/kg) を前投与して, preconditioningの抗不整脈作用の変化を観察した.Adenosine receptorをブロック後も抗不整脈作用は変化なかったのに対し, cyclooxygenaseをブロックした後, 抗不整脈作用は消失した.したがって, preconditioningの抗不整脈作用機序にはprostaglandinsが関与していると考えられる
  • 井上 美穂, 井上 大介, 坂井 龍太, 白山 武司, 大森 斎, 松本 高士, 山原 康裕, 朝山 純, 中川 雅夫
    1992 年 12 巻 6 号 p. 746-755
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    発作性心房細動の既往を有し, 高位右房 (HRA) 刺激時の高位右房電位の検討において心房受攻性 (AV) が過少評価される症例に対し, 冠状静脈洞 (CS) 刺激によりAVの再評価を行った.心房早期刺激法を用いて得られる%maximum atrial fragmentation (%MAF) , fragmented atrial activity zone (FAZ) , τ, repetitive atrial response (RAR) をAVの指標とし, AV亢進基準は%MAF≧150%orFAZ>0msec, τ≧65msec, RAR陽性のいずれか一つを認める場合とした.その結果, HRA刺激時にはどの基準も満たさず, AV非亢進と評価された20例 (I群) の90%がOS刺激時にはAV亢進と判定された.また, HRA刺激時に全例AV亢進と判定される12例 (II群) においても, 75%がCS刺激よりAV亢進と判定された.CS刺激により測定されたAV諸指標のsensitivity, specificity, positive predictive valueはI, II両群とも高率であり, 心房受攻性評価における有用性が示唆された.
  • 時田 二朗, 八木 洋, 上松瀬 勝男, 梶原 長雄
    1992 年 12 巻 6 号 p. 756-765
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    洞機能正常例56例 (12~78歳) について加齢と洞機能および自律神経機能との関係を明らかにする目的で薬理学的自律神経遮断 (TAB) 前後で, 安静臥位時, 能動的坐位時に洞機能を測定した.TAB前では安静臥位時に比し能動的坐位時に洞周期 (SCL) , 全洞房伝導時間 (TSACT) , 修正洞結節回復時間 (CSRT) は有意に短縮し, 血漿ノルエピネフリン (NE) は有意に増加した.安静臥位ではTAB前に比しTAB後にSCL, TSACT, CSRTは有意に短縮した.内因性固有心拍数 (observed IHR) は力口齢と負の相関を示し, SCL, TSACT, CSRTはTAB前後とも加齢と正相関を示した.血漿NE測定, 体位変換法, TAB法にて評価した交感, 副交感神経活動度は加齢と有意な相関は認めなかった.以上のことより, 洞機能正常例における内因性洞機能 (洞自動能, 洞房伝導能) は加齢に伴い低下するが, 自律神経機能が正常に保持されるかぎり, 内因性洞機能の低下は代償され得ることが推察された.
  • 岩崎 孝一朗
    1992 年 12 巻 6 号 p. 766-771
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    再疎通療法に成功した急性心筋梗塞69例において再開通後ST再上昇の臨床的意義, 特に慢性期局所壁運動との関連より再灌流障害の指標となり得るかを検討した.ST再上昇は28%に認めた.左室壁運動とST再上昇との関係をみる目的で前壁梗塞44例にかぎってさらに検討した.ST再上昇群と非再上昇群で病変部位, 発症-再開通時間, 側副血行路に有意差がなかった.しかし慢性期局所壁運動がST再上昇群で有意に不良であった.多変量解析にて局所壁運動にST再上昇は, 病変部位・年齢・発症-再開通時間・再開通不整脈とともに有意の関与を認めた.以上より再開通後ST再上昇は再灌流障害の指標となる可能性が示唆された.
  • 尾家 伸之, 井上 智夫, 吉田 明弘, 土井 智文, 横山 光宏
    1992 年 12 巻 6 号 p. 772-780
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    9例のcommon type心房粗動 (common AF) に右房内マッピングを行い, 反時計方向のリエントリーと中位側壁右房または低位側壁右房から冠静脈洞入口部の間の伝導遅延を認めた.Ia群抗不整脈剤 (Ia薬剤) の静注投与にて粗動の停止したのは1例のみで, 8例は投与後も粗動が持続したが, 粗動周期は有意に延長した.この8例においてIa薬剤の伝導抑制効果の伝導遅延を認めた部位に対する選択性は明らかではなかった.Ia薬剤投与後, 高位右房より高頻度ペーシングを施行すると粗動周期の平均67%のペーシング周期にて8例全例の粗動が停止した.8例中7例で粗動の停止部位は伝導遅延を認めた部位と一致しており, 停止直前の数拍においてこの部位の伝導時間のみがさらに延長していた.以上よりIa薬剤投与の高位右房ペーシングによるoommon AFの停止機序は伝導遅延部位における伝導途絶によるものと考えられた.
  • 佐藤 伸之, 川村 祐一郎, 藤田 雅章, 岡本 清貴, 菅原 斉, 川嶋 栄司, 石井 良直, 山下 裕久, 飛世 克之, 小野寺 壮吉, ...
    1992 年 12 巻 6 号 p. 781-788
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    肥大型心筋症 (HCM) の不整脈発現に関与する因子を明らかにするため, HCM症例のホルター心電図所見と心血行動態諸指標および心エコー所見との関連性について検討した.対象はHCM症例40名で, 説明変数として心血行動態指標13項目, 心エコー所見4項目および心胸郭比を, 目的変数として, (1) 心房期外収縮数, (2) 心室期外収縮数, (3) 心室期外収縮連発数, (4) 心室頻拍数を用い, 4個の目的変数別の重回帰分析と正準相関分析を行った.個々の目的変数に強く関与する因子は, (1) では心室後壁厚, 肺動脈収縮期圧, 肺動脈楔入圧, (2) では心室中隔壁厚, 右室収縮期圧, 平均肺動脈圧, 心係数, (3) では肺動脈楔入圧, 心拍出量, 左室拡張期圧, (4) では右室拡張末期圧, 左室駆出率であった.以上より, HCMでは不整脈と心血行動態の重相関関係は有意であること, 不整脈の種類によって有意な偏回帰係数を示す指標は異なることが示され, 心血行動態因子が不整脈発現に関与する可能性が示唆された.
  • 1992 年 12 巻 6 号 p. 811-839
    発行日: 1992/11/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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