急性心筋梗塞症例における加算平均心電図 (SAE) 所見の経時的変化について, 発症後24時間以内の初回急性心筋梗塞症34例 (前壁19, 下壁15) を対象として梗塞部位別に検討した.発症後24時間以内, 48時間後, 1週後, 2週後, 3週後, 4週後の時点でSAEを記録した.SAE各指標は時間経過とともに変動し, 同一症例でも発症24時間以内では, total filterd QRS duration (TFD) , low amplitude signal duration under 40μV (LAS
40) は長く, root mean square voltage for last 40mseo (RMS
40) は低かった.発症2週以降ではSAE各指標は比較的安定していた.また下壁梗塞症は前壁梗塞症に比し, TFD, LAS
40は長く, RMS
40は低い傾向にあった.LP陽性例は24時間以内では8例であったが, 48時間後では4例と減少した.2週以降の時点でLPが陽1生であった5例中1例で, 持続性心室頻拍が発現した.SAEを心筋梗塞後の評価に用いる場合, 梗塞部位, 記録時期について考慮する必要があると考えられた.
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