心電図
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14 巻, 2 号
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  • 飯沼 宏之, 山本 真千子, 佐藤 広, 福田 恵津子, 田中 志保, 傅 隆泰, 伊東 春樹, 相良 耕一, 加藤 和三
    1994 年 14 巻 2 号 p. 73-77
    発行日: 1994/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    慢性孤立性心房細動例の心拍数調整にジギタリス (D) , β遮断薬 (B) , Ca拮抗薬 (Oa) , およびそれらの併用投与を行ない, ホルター心電図, 運動負荷心電図上の諸パラメーターの変化を比較し次の結果を得た.
    (1) Dはmax HR, 運動時HR, mean HRを有意に減少したが, min HR, 夜間HRも同時に減少させ, max RRを延長した.
    (2) Bはmax HR, 運動時HR, mean HRを減少させたが, min HRはあまり減少させずmax RRの延長も比較的少なかった.
    (3) Caは量的に不足だったが, 傾向としてはBと同様と思われた.
    (4) 2剤併用により強力なmax HR, mean HRの減少効果が得られたが, 徐拍化も著しく注意が必要と思われた.
    (5) SDーRR, CVについてはD, B, Caとも著変を生じなかった.
  • 福並 正剛
    1994 年 14 巻 2 号 p. 78-83
    発行日: 1994/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心房細動患者連続201例の左房内血栓 (LAT) 検出頻度と塞栓発症率を後向きに調査した.
    経胸壁心エコー法によるLAT検出率は11%と低いが, その32%に塞栓症を発症しており, LATの存在も塞栓発症要因と考えられた.また, 疾患別検討ではLATは弁膜疾患に多く検出されたが, 塞栓発症については差がなく孤立性心房細動でも27%と高率であった.LAT検出例で血小板シンチ陽性像を呈したのは1/4しかなかったが, 陽性シンチ像の定量値 (%IE) やローダイマー値の高い例や, %IEの割にローダイマー低値の凝固優位例に多く塞栓発症がみられており, 血栓活動性の評価も可能であった.平均3.5年観察での年間塞栓発症率は, 無投薬群で6.4%, ワーファリン投与群で2.5%, チクロピジン投与群で4.9%であり, 抗血栓薬は塞栓発症予防に有用と考えられた.
    以上より, 心房細動患者においては, その基礎疾患にかかわらず, 血栓活動性を評価しつつ抗血栓薬の投与を考慮すべきである.
  • 岩瀬 正嗣
    1994 年 14 巻 2 号 p. 84-88
    発行日: 1994/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    慢性孤立性心房細動患者の運動時の過大な心拍応答が運動機能に及ぼす影響について検討した.基礎心疾患のない慢性孤立性心房細動患者10名 (男8名, 女2名, 年齢46~71歳, 平均55歳) であり, 同年齢の健常人22名 (男12名, 女10名, 年齢40~69歳, 平均52歳) を正常対照として用いた.トレッドミル運動時に, 連続波ドプラ法を用いて上行大動脈血流を記録し, 心係数を求めた.心拍数は心房細動患者では健常人より安静時, 運動時とも有意に大であり, diltiazem投与後有意な減少は得られたものの, 健常人よりは有意に大であった.一方, 心係数は心房細動患者ではdiltiazem投与前後とも健常人と有意な差を認めなかった.
    以上の結果から, 安静時の心機能が正常な孤立性心房細動患者であれば, 心房細動による運動時の過剰な心拍応答が運動時の心拍出量増加に及ぼす悪影響はほとんどなく, 運動時の頻拍を抑制する必要性も低いと考えられた.
  • 藤木 明
    1994 年 14 巻 2 号 p. 89-92
    発行日: 1994/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    I群抗不整脈薬の除細動効果の電気生理学的機序を明らかにする目的で, 心房細動に対する除細動効果を器質的心疾患を有しない36例を対象に検討した.除細動された23例 (64%) を除細動 (+) 群として除細動 (-) 群との間の特徴を比較した.年齢, 性, 発作頻度, 左房径, 洞不全症候群の頻度には両群間で差がなかったが, 心房早期刺激による反復性心房応答 (1秒以上の持続) の誘発は, 除細動 (+) 群で15例 (65%) と除細動 (-) 群3例 (23%) より有意に高率であった.心房有効不応期は除細動 (+) 群で215±30msec (Mean±SD) と除細動 (-) 群の238±25msecより有意に短縮し, またI群薬は短縮した不応期を有意に延長した.平均30カ月の長期経過観察で除細動 (+) 群の5例 (22%) と除細動 (-) の2例 (15%) が慢性心房細動に移行した.I群薬の除細動効果は心房不応期の短縮した心房受攻性亢進例で高く, 発生要因との関連が示唆された.また除細動効果の有無から心房細動の慢性化は必ずしも予測できなかった.
  • 新 博次, 野村 敦宣, 遠藤 康実, 小野寺 威夫, 斎藤 寛和, 井野 威, 早川 弘一
    1994 年 14 巻 2 号 p. 93-99
    発行日: 1994/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    発作性心房細動の停止効果ならびにその臨床像と慢性化につき検討した.Disopyramide静注により発作性心房細動81例中55例 (68%) が静注終了後30分以内に停止し, 発作持続時間7日以内のものは66例中52例 (78.8%) であったのに対し, 8日以上のものは15例中3例 (20%) のみであり, 発作持続時間の短い例では高い停止効果をみた.また, 抗不整脈薬 (pilsicainide, pirmenol) 単回経口投与による発作停止効果を検討した結果, pilsicainideで10例中6例, pirmenol 9例中6例で薬剤服用後90分以内に発作は停止した.
    発作性心房細動115例の調査の結果, 19例 (16.5%) が平均観察期間33±27カ月で慢性化した.発作頻度1回/週以上のものは慢性化するものが少なく (odds比0.215) , 弁膜疾患を有する場合慢性化するものが多い (odds比8.779) ことが示された.
  • 深谷 眞彦
    1994 年 14 巻 2 号 p. 100-108
    発行日: 1994/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    新規発症の心房細動患者に対しても, 短期的な治療の後では長期的な治療計画が必要である.この場合, 再発の予測, 抗不整脈薬の選択, そのための薬効評価などの方法に関する情報は少ない.臨床電気生理学的な方法による知見が得られつつあるが, 発作性心房細動例の心房筋の電気生理学的特性を検討し, 発作予知や抗不整脈薬の薬効評価の指標を得ることを試みてきた結果である.現時点でのわれわれの結果をまとめると, (1) 心房細動 (含, WPW症候群) の発作を予知するための各指標の中では, 洞調律時の右房内マッピングによる異常心房電位の検出が比較的有用性が高かった. (2) 薬剤の長期予防効果を予測する方法として, 心房期外刺激法による心房筋受攻性を指標とした薬効評価が有用と考えられた.以上のように, 臨床電気生理学的な方法から得られた知見は, 長期的治療計画を立てるうえでの臨床的有用性をもつと考えられるが, 今後の課題も残されている.
  • ―ホルター心電図RR間隔変動解析による内因性心拍数正常例と低下例との比較―
    大森 斎, 井上 大介, 坂井 龍太, 石橋 一哉, 朝山 純, 中川 雅夫
    1994 年 14 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 1994/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ホルター心電図のRR間隔解析により洞結節周期の変動性を検討した.内因性心拍数正常例 (対照群) と低下例 (IHRd群) 各10例において薬理学的自律神経遮断 (TAB) 中のホルター記録上の1分ことのRR間隔平均値とその標準偏差の比 (%SD) を算出させ, 薬剤投与後%SD<1%となった時刻と再び%SD≧1%となった時刻をおのおのTAB開始・終了時刻と定義し, 薬剤投与からTAB開始までの時間 (AT) とTAB持続時間 (DT) を求めた.なお, %SD<1%とならない症例ではAT, DTは測定不能とした.対照群のATは平均3.2分で, DTは年齢と優れた相関を示した.一方, IHRd群では4例とATとDTが測定可能で, ATは平均3.5分, DTは平均41.8分で対照群との間に差はなかった.また, %SDの経時的変化を群間比較すると, 薬剤投与後5分から25分の間, IHRa群が対照群に対し有意に大なる値を示した.以上の結果はIHRd症例の洞結節周期性の変動性の増大を臨床的に示すもので, 逆にTAB後のRR間隔解析により洞機能評価が可能と考えられた.
  • ―I 群抗不整脈薬との比較検討―
    井上 美穂, 井上 大介, 石橋 一哉, 坂井 龍太, 大森 斎, 山原 康裕, 宮崎 浩志, 朝山 純, 中川 雅夫
    1994 年 14 巻 2 号 p. 116-125
    発行日: 1994/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Langendorff法を用いて, acetylcholine投与下におけるモルモット心房筋の心房有効不応期 (ERP) , 心房間伝導時間 (AOT) , 心房細動閾値 (AFT) に及ぼすE-4031の効果を検討し, I群薬剤のそれらと比較した.E-4031, disopyramide, flecainideはERPを有意に延長したが, その効果はdisopyramideが最大で, E-4031とflecainideは同程度であった.AOTはflecainideとdisopyramideにより有意に延長したが, E-4031はAOTに影響を与えなかった.3×10-6M以上の濃度のE-4031はAFTを有意に上昇させたが, disopyramide, flecainideに比しAFTに対する上昇効果は小であった.各薬剤のAFT上昇に関与する電気生理学的要因としては, disopyramideとE-4031においては不応期延長作用, flecainideにおいては伝導抑制作用が主であると考えられた.また, AFT上昇効果の差から考えて, 50Hz高頻度心房刺激を用いたAFT測定法は, 不応期延長と伝導抑制作用の両者を反映していることが示唆された.
  • 池田 隆徳, 杉 薫, 円城寺 由久, 山下 一弘, 安部 良治, 二宮 健次, 矢吹 壮, 山口 徹, 箕輪 久, 安島 春洋
    1994 年 14 巻 2 号 p. 126-134
    発行日: 1994/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    抗不整脈薬の長期治療の中止による心室性期外収縮 (VPC) の変化をホルター心電図を用いて検討した.対象はLown分類IVa度以下のVPCを呈し, 抗不整脈薬の単独投与が有効と判断された56例である.平均観察期間は3年4カ月であった.基礎心疾患は29例 (52%) に認められた.投与された抗不整脈薬はdisopyramide (DP) 18例, mexiletine (MEX) 23例, aprindine (APR) 15例であった.薬物投与中のVPO数/日別分類では0~99が31例, 100~999が19例, 1, 000以上が8例であった.治療中止により対象群のうち5例は自覚症状が増悪し, ホルター心電図を記録できなかった.ホルター心電図記録可能例でのVPC悪化は61%の例であり, 上記5例を含めると計64%の例にVPC悪化を認めた.基礎心疾患合併例に限れば, 86%とさらに高率であった.抗不整脈薬別では, DP (78%) がAPR (33%) と比べVPC悪化例が有意に多かった.VPC数/日別分類では投与中止後各群間に悪化率に有意差を認めなかった.
    抗不整脈薬によるVPC抑制効果は長期投与後においても高いことが示唆され, また基礎心疾患合併例では薬物を中止することが比較的困難であると考えられた.
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