心電図
Online ISSN : 1884-2437
Print ISSN : 0285-1660
ISSN-L : 0285-1660
15 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 中山 仁
    1995 年 15 巻 2 号 p. 99-105
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    電位依存性イオンチャネルのいくつかが相次いでクローニングされたことが引き金となって, 精力的な研究が展開された.その結果, チャネル分子の機能をその構造から論じることが可能になりつつある.「膜電位に依存したチャネルの開閉によって, 特定のイオンが選択的に膜を透過する」と特徴づけられる電位依存性イオンチャネルの基本機能は, 電位センサー部, 活性化ゲート部, 不活性化ゲート部, およびイオン選択性フィルター部によって担われると考えられるが, これらの構造部がどんなものか, 次第に明らかになってきた.またこれらの構造部の一部は, Ca拮抗薬や神経毒の結合部位と密接なつながりをもつこともわかってきた.この分野の進歩のようすを概説する.
  • 久保 義弘, Eitan Reuveny, Paul A Slesinger, Timothy J Baldwin, Yuh Nung Ja ...
    1995 年 15 巻 2 号 p. 106-113
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    力エル卵母細胞を用いた機能発現法により, 内向き整流性K+チャネルのCDNA (IRK1) を, また, IRK1とのホモロジーにより, Gタンパク質により活性化される内向き整流性K+チャネルである, ムスカリニックK+チャネルのcDNA (GIRK1) を単離した.これまでによく知られてきた, 膜電位依存性ファミリーに属するK+チャネルは, 膜電位センサーであるS4部位を含む6つの膜貫通部位と, K+選択性の穴 (ポア) であるH5部位を持つ.これに対し, 内向き整流性ファミリーに属するK+チャネルは, 膜貫通部位を2つしか持たず, S4部位はみられなかった.2つの膜貫通部位の間には, H5部位に相当する部分が存在した.内向き整流性K+チャネルファミリーは, 膜電位依存性K+チャネルファミリーの内核部分に相当すると考えられる.
  • 山根 禎一, 古川 哲史, 平岡 昌和
    1995 年 15 巻 2 号 p. 114-123
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ラット心筋からパッチクランプ法で得られるK+電流と, クローニングされたチャネル遺伝子を発現させたK+電流との機能相関について, 4-Aminopyridine (4-AP) の作用機序 (チャネル状態親和性) を中心に検討した.ラット心房筋のIkd電流とKV1.5クローン電流とは電流電圧特性が近似し, 4-APの作用においても, チャネルの開口状態に親和性を有することで一致し, 良い相関が得られた.一方ラット心室筋のlto電流とKv1.4クローンは電流記録上は近似するが, 4-APチャネル親和性はltoでは閉口状態 (安静状態) , KV1.4では開口状態と異なっていた.KV1.5とKV1.4の異種4量体を作成したところ, 不活1生化からの回復過程は生理的電流 (lto) に近似したが, 4-APのチャネル親和性は主に開口状態であり, 閉口状態での親和性を示すItoとの相関は得られなかった.クローンチャネルがnativeのチャネルとの相関を得るにはさらに別の種類のサブユニットや未知の細胞内機構等の関与等が必要と推測された.
  • 石井 邦明
    1995 年 15 巻 2 号 p. 124-129
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ラットの心筋からクローニングしたShakerサブファミリーに属する2種類のK+チャネル (Kv1.2とKv1.4) に対する抗不整脈薬および外液pHの影響について検討した.Kv1.2を卵母細胞に発現させると遅延整流型の電流が観察され, Kv1.4では―過性の外向き電流が観察されたが, Kv1.2電流 (Ikv1.2) Kv1.4電流 (Ikv1.4) とも代表的な第III群抗不整脈薬によってなんら影響を受けなかった.その他検討した抗不整脈薬の中にはIkv1.2, Ikv1.4を抑制するものもあったが心筋細胞固有のK+電流を抑制する濃度と比較すると非常な高濃度が必要であった.また, 外液PHの低下によりIkv1.2, Ikv1.4はともに抑制されたが, その程度には差が認められKv1.4のほうがpHの変化に対し感受性が高かった.Kv1.2とKv1.4のキメラおよびKv1.4の点変異体を作製して検討することによって, 外液pHに対する高い感受性に大きく関与しているアミノ酸を同定した.
  • 松原 弘明, 森 泰清, 稲田 満夫
    1995 年 15 巻 2 号 p. 130-138
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心筋電位依存性K+チャネルは心筋膜電位維持および活動電位保持に重要である.発現量の豊富なKv1.5とKv1.4チャネルの発現調節機構が検討された.Kv1.5遺伝子は上流域にcAMP応答配列 (CRE) が存在し心筋細胞内cAMP濃度上昇はKv1.5mRNA量を増加させた.この作用はOREを介し転写レベルで調節されていた.一方, 下垂体細胞ではcAMPはCREを介してmRNA量を減少させた.Kv1.4遺伝子はcAMPでは発現調節を受けず細胞内Ca2+上昇とPKO活性化によりmRNA量は増加した.Kv1.4とKv1.5は成長段階で異なる発現調節をうけていた.心肥大ではKv1.5mRNA量は著減しておりKv1.4mRNA量は増加していた.このようにKv1.4とKv1.5は同じShaker型K+チャネルに属するがその発現調節はまったく異なり病態心でのK+チャネルタンパクの構成は正常と異なる可能性が示唆された.
  • 田中 敏博, 永井 良三
    1995 年 15 巻 2 号 p. 139-143
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Romano-Ward症候群は常染色体優性の形式で遺伝する潜在的に致死的な不整脈疾患である.連鎖解析によって現在までに11p15.5に強く連鎖する家系とそうでない家系が報告されている.連鎖解析が可能であった日本人の13家系に対し, 11p15.5に存在するHRAS, D11S922にて連鎖解析を行なった.D11S922では, 連鎖を示す家系と組み換えを示す家系が認められ, HRASにても同様の結果が得られた.D11S922では, 全13家系の最大ロッドスコアはθ=0.11で3.91であった.同質性の検定にては危険率2.5%で遺伝的異質性が有意であるとの結果が得られた.QT延長症候群の原因遺伝子は単一でない可能性が日本人においても示唆されたが, 単一遺伝子であると仮定した場合もなお有意なロッドスコアが得られた.連鎖するかどうか判定できない小さな家系について上記のDNAマーカーを発症前診断等に用いるのは現時点では適当でない.
  • 鷲塚 隆, 相沢 義房, 鈴木 啓介, 樋口 幸太郎, 広野 暁, 北沢 仁, 内山 博英, 池主 雅臣, 草野 頼子, 内藤 直木, 宮島 ...
    1995 年 15 巻 2 号 p. 144-151
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    先天性QT延長症候群のGタンパクとの関連を知る目的で, ヒト血小板中のGタンパクの機能を測定し, 先天性QT延長症候群7例と正常対照群10例とで比較検討した.クエン酸化血より得られた多血小板血漿をIBMXにて処理し, 血小板c-AMP濃度を, 無刺激時 (A群) , PGE1刺激時 (B群) , PGE1およびアドレナリン刺激時 (C群) の3条件下でラジオイムノアッセイ法を用いて測定し, A群の値を基礎値, B/AをGsタンパクの機能, (B-C) /BをGiタンパクの機能とした.基礎値はQT延長群で有意に小であった (p<0.01) .Gsタンパクの機能は正常群6.0±1.7, QT延長群5.7±1.4と有意差は認められなかった.Giタンパクの機能は正常群0.38±0.16, QT延長群0.17±0.12で有意の低下 (p<0.05) を認めた.本検討における血小板中のGiタンパクの機能低下は本症における病態と関連する可能性が示唆された.
  • 八木 哲夫, 伊藤 明一, 三上 雅人, 小田倉 弘典, 滑川 明男, 大友 淳, 尾形 和則, 石田 明彦, 鈴木 彦之
    1995 年 15 巻 2 号 p. 152-161
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    72歳男性, 陳旧性下壁梗塞に心室頻拍 (VT) を合併した.VTは左軸偏位を伴う右脚ブロック波形で, VT中の通電部位からの電位はQRSより50msec先行してプレポテンシャルがみられた.115/分のVTに対し同部から高頻度心室刺激を行ない頻度を5/分ずつ増すと, S-QRS間隔は徐々に延長し, QRS波形は135/分まではVTと同じであったが, 140/分でS-QRS間隔の35msecの延長とともに変化し, 155/分まで異なるQRS波型が不変のままでS-QRS間隔は徐々に延長した.この現象は, 緩徐伝導部位 (SCA) の途中に伝導時間が長く不応期が短いSCAが接続され, 高頻度では遠位部のブロックが出現し, 他方のSCAを伝播し興奮の出口が変化することを想定させた.同部でVT中に通電を行なうと, 2拍のVT後に洞調律となり, 30秒の通電中VTと同型の頻脈性心室調律が7拍出現した.2週後の心臓電気生理検査, 16カ月の追跡期間でVTはみられていない.アブレーション部位に関する検討を加え報告する.
  • 渡辺 一郎, 小島 利明, 高橋 義和, 國本 聡, 神田 章弘, 近藤 一彦, 梶田 潤一郎, 斉藤 頴, 小沢 友紀雄, 上松瀬 勝男
    1995 年 15 巻 2 号 p. 162-169
    発行日: 1995/03/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ヒスープルキンエ系伝導能のオーバードライブサプレッション (ODS) については, いくつかの報告がみられるが, 房室副伝導路の伝導能に関するODSについての報告は少ない.ケント束順伝導の不応期が比較的長く (360msec, 280msec) , 逆伝導の不応期が短い (230msec以下, 230msec) A型WPW症候群の2症例において著者らは心房および心室高頻度ぺーシング後, 一過性にデルタ波が消失するケント束順伝導のODSあるいは疲労現象を観察しえた.2症例ともにケント束順伝導のODSの持続時間は刺激頻度および刺激時間に依存し, また30秒間のぺーシングでは心室ペーシングに比較し, 心房ペーシングの方が抑制の程度が大きかった.
feedback
Top