心電図
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15 巻, 3 号
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  • 今西 愿, 梶田 潤一郎, 迫 秀則, 有田 眞
    1995 年 15 巻 3 号 p. 179-186
    発行日: 1995/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心臓手術時に得た摘出ヒト心房筋の静止膜電位は脱分極しているものが多い (平均-44.1mV) .その原因を解明する目的で, 二連式KならびにNaイオン選択性微小電極を用い検討した.その結果, 静止膜電位 (Vm) =-44.1±6.2mV.細胞内K+活性 (a1k) =99.8±1.2mM, 細胞内Na+活性 (a1Na) =6.9±1.7mMの値が得られた.これらの値を, 生理的条件下で他動物の心筋から実測された値と比較すると, Vmは著しい減少がみられるものの, a1kとa1Naはともに生理的範囲内に維持されていることが判明した.これらの事実は, 当標本においてNa-Kポンプはほぼ正常に作動していることを示し, 当標本の脱分極が少なくともNa-Kポンプの障害によるものでなく, また膜のNa+透過性の増加に起因するものとも考え難い.他方, Vmは外液のCl-とCa2+濃度を変化しても有意な変化がみられなかった.以上の結果から, ヒト心房筋静止膜脱分極の主たる原因は膜のK+透過性の減少によると考えられた.
  • 古川 泰司, 榊原 有作, J Andrew Wasserstrom
    1995 年 15 巻 3 号 p. 187-197
    発行日: 1995/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    種々の基礎疾患により開心術を行なった生後2日より85歳までの137症例より心房筋または心室筋標本を得, 酵素処理により単一心筋細胞を作成, 細胞全膜電位固定法を用いてナトリウム電流を測定した.はじめに, 生後2日より63歳までの心臓移植11症例より, 同一個体よりの心房, 心室筋細胞のナトリウム電流を測定したところ, 単位膜容量あたりの電流値はそれぞれ, 1.3±0.2nA/pF, 1.7±0.3nA/pFと有意な差がなかった.チャネルカイネティクスならびにリドカインの作用にも, 心房筋, 心室筋の間で有意差を認めなかった.つぎに, すべての症例より得た測定値につき, 患者の種々の要因とナトリウムチャネルの性質との関係を検討した.膜容量, 最大内向き電流値, 最大コンダクタンス, 活性化ならびに不活性化の電位依存性を示すパラメーターと, 組織 (心房筋か心室筋か) , 性別, 年齢, 基礎疾患との関係を統計処理によって検討したところ, 膜容量, 最大内向き電流値と50%不活性化を示す電位のみが, 患者の年齢と関連を持つことが示された (n=137, p<0.05) .
  • 佐藤 良一, 小海 信一, JA Wasserstrom, 香取 瞭
    1995 年 15 巻 3 号 p. 198-199
    発行日: 1995/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 小海 信一, 佐藤 良一, JA Wasserstrom, 早川 弘一
    1995 年 15 巻 3 号 p. 200-201
    発行日: 1995/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 西村 昌雄, 佐川 俊世, 長汐 美江子, Donald H Singer
    1995 年 15 巻 3 号 p. 202-210
    発行日: 1995/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    単一吸引電極法を用いて, ヒト心房筋細胞のCa電流を記録した.L型のCa電流は-30mVで活性化され, 0mVで最大振幅の0.92±0.32nAを呈し, その電流密度は7.3±2.6μA/cm2と推定された (n=13) .本電流はCa電流遮断剤であるD-600で抑制され, β受容体作動薬であるepinephrineで増強した.不活性化の時間経過の電位依存性はU字型を示し, -20mVで遅く, 0mVで最も速く, 陽性電位域で再び遅くなり, Ca誘発性のCaチャネルの不活性化と一致する所見であった.Ca電流の利用度曲線は, 条件電位が50msecの場合にはU字型の, 条件電位が300msec以上ではS字型の電位依存性を示した.不活性化からの回復過程は, -40mVで時定数183±16msecの単一指数関数で表された.保持電位-90~-40mVへの脱分極によりT型のCa電流が活性化され, その不活性化はL型Ca電流よりも4倍速かった.
    以上より (1) ヒト心房筋にはL型とT型の2種類のCa電流が存在する, (2) ヒトL型Ca電流の動態と薬物感受性は他の動物種の心筋L型Ca電流と同じであるが, (3) その電流密度は, 他の動物種よりも減少していた.これは種差, あるいは加齢, 病気と関連した変化であろう.
  • 萩原 誠久, 坂井 理映子, 松田 直樹, 笠貫 宏, 細田 瑳一, 八田 光弘, 星野 修一, 今井 康晴, 小柳 仁
    1995 年 15 巻 3 号 p. 211-215
    発行日: 1995/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    近年, 各種抗不整脈剤の開発に伴い, ヒト心筋細胞の活動電位を構成するイオン電流の役割がより注目されるようになった.心筋細胞におけるクロール (Cl) 電流は, 特に活動電位の再分極相を形成する電流として重要であると考えられているが, ヒト心筋細胞において, どのようなCl電流が存在するか, 否かの報告はいまだに認められない.今回はヒト心房筋細胞にパッチクランプ法を応用して, Cl流の解析を行った.この結果, ヒト心房筋細胞には, モルモットや家兎心室筋細胞で認められるcyclic-AMP依存性Cl電流や細胞内Ca依存性Cl電流は認められず, 細胞腫大や伸展に伴って活性化されるCl電流のみが存在することが示唆された.
  • 小田倉 弘典, 伊藤 明一, 滑川 明男, 八木 哲夫, 尾形 和則, 大友 淳, 石田 明彦
    1995 年 15 巻 3 号 p. 216-222
    発行日: 1995/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心房粗動 (AF) の誘発に及ぼす抗不整脈薬の影響について検討した.対象はジソピラミド (DP) 2mg/kg投与前後で, 右房高位刺激により通常型AFの誘発予防効果が検討できた15例.投与後誘発不能となったのは5例で誘発帯縮小は2例であり, これら7例をE群, 投与後のみ誘発された2例と誘発帯拡大例6例をN群とした.E群はN群に比し, 右房有効不応期 (ERP) の延長比は有意に大で (p<0.01) , 周期300msecでの心房間伝導時間 (TACT) の延長比は有意に小であった (p<0.005) .IAOTの延長比に対するERPの延長比の割合は, N群 (0.74±0.11) は全例1以下でE群 (0.96±0.19) に比し有意に小 (P<0.05) であった.DP投与によるAFの誘発抑制には不応期延長が大きく関与した.DPにより不応期延長を上まわる伝導遅延が生じれば, 興奮間隙の拡大によりAFは誘発されやすくなることが臨床例でも示された.
  • 戸兵 雄子, 中沢 潔, 小沢 敦, 田中 修, 綿貫 麻里子, 高木 明彦, 赤城 格, 桝井 良裕, 松本 直樹, 三宅 良彦, 村山 ...
    1995 年 15 巻 3 号 p. 223-226
    発行日: 1995/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    目的: 1992年, Brugadaらは特発性心室細動群の中に心電図上, 右脚ブロックパターンにST上昇 (RB-ST) を伴う一群のあることを報告した.この心電図波形が, 心室細動を予知する情報になる可能性があるとして, 現在注目されている.しかし, この心電図所見の疫学的情報はなく, 本報告が世界で初めての報告である.対象: 健康診断の目的で心電図を記録した小, 中学生 (9, 569人) と成人 (4, 092人) , および当科受診者 (8, 366人) の計22, 027人を対象に疫学調査を行なった.結果: (1) RB-ST型心電図は, 小, 中学生の0.01% (1人) , 成人の0.07% (3人) , 受診者の0.09% (8人) , 全体の口.05% (12人) であった. (2) RB-ST型はいずれも男性で, 年齢は14~71歳と層が広く, 明らかな基礎心疾患はなかった. (3) 失神の既往は12人中4人 (33%) で内3例は心室細動 (Vf) を認め, 1例は原因不明であり, Vfと診断し得た例は全例40歳以下であった.総括: RB-ST型心電図はきわめてまれであるが, 広い年齢層に認められ, また, 男性に多く, Vfとの関連は比較的若年者に見られた.
  • 谷口 泰, 飯沼 宏之, 関口 昭子, 加藤 和三
    1995 年 15 巻 3 号 p. 227-234
    発行日: 1995/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ジギタリス誘発性心室性不整脈に対するMgSO4 (Mg) の効果を生体心にて検討した.方法: 麻酔犬17頭にウアバイン投与後, 刺激間隔 (SI) 200~300msecの連続心室刺激を加えrepetitive ventricular response (RVR) を誘発, RVRのfirst postpacing interval (FPI: 刺激最終拍~RVR1拍目間隔) を測定, FPI-SI関係, およびMg30mg/kg静注後のFPIを検討した.FPIの再現性, 安定性確認のためFPIの2回連続計測, 15, 30分後の計測を行なった.19頭でウアバイン大量投与による自発性持続型心室頻拍に対するMgの停止効果を検討した.結果: FPI-SIは正相関し, FPIの再現性, 安定性は良好だった.MgはFPI (SI=220msec) を359±28msecから378±36msecへ有意に延長した.Mgの心室頻拍に対する効果は, 停止3例16%, arrhythmia ratioの低下3例16%であった.総括: Mgは生体心にてジギタリス誘発性心室性不整脈に抑制的に作用した.
  • ―心拍変動スペクトル解析を用いて―
    福島 研吾
    1995 年 15 巻 3 号 p. 235-244
    発行日: 1995/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    肥大型心筋症患者 (HCM) 24例の病態と自律神経機能の関係を, ホルター心電図を用いた心拍変動スペクトル解析と, チルト試験における心血管反応を中心に検討した.心室頻拍 (VT) を認めた6例は, 直前のRR間隔をスペクトル解析しVTと自律神経機能との関連を検討した.心拍変動スペクトル解析では, 低周波数成分 (0.04~0.15Hz; LF) と高周波数成分 (0.15~0.40Hz; HF) の比LF/HFは, 健常群, HCM群ともに日中が夜間に比べ高値を示したが, 日中と夜間の差 (△LF/HF) は, HCM群で小であった.HCMの肥大部位, 肥大の程度, 心機能の程度による差はなかった.チルト試験では, 起立前後の100拍RR間隔の変動係数 (CV) はHCM群で小であった.またVT直前のLF/HFは高値を示した.以上から, HCMにおいて相対的な交感神経活動の亢進状態が示唆きれ.VT出現に自律神経活動が関与している可能性が示唆きれた.
  • ―梗塞部位別の伝導障害について―
    南家 俊彦, 杼木 秀高, 原 正壽, 宗 武彦, 桜井 庸晴, 中村 俊香, 中沢 潔, 佐藤 忠一, 村山 正博
    1995 年 15 巻 3 号 p. 245-252
    発行日: 1995/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    周波数subtraction法を用い, 心筋梗塞例のQRS区間内の高周波成分を検出した.その経時的な形態変化から, 心筋梗塞に伴う伝導障害を梗塞の部位別に解析した.対象は健常者 (N群) , 前壁梗塞 (A群) , 下壁梗塞 (I群) とした.N群は初期低電位, 中期高電位, 後期低電位の3成分を形成した.A群は中期で著明な電位の低下, 持続時間の延長を示した.I群は後期で著明な電位の低下, 持続時間の延長を示した.以前の我々の研究で, QRS区間内の高周波成分は刺激伝導系を介する健常例では持続時間は短く, 電位は高値を示した.また伝導障害による心室筋内伝導では持続時間は延長し, 電位は低値を示した.本研究のA群では中期, I群では後期で著明な持続時間の延長, 電位の低下を認め, 心筋梗塞に伴う伝導障害による, 心室筋内伝導の存在が考えられた.伝播径路の変化に伴う, 心筋梗塞の部位別に異なる伝導障害がQRS区間内に存在する可能性が示唆された.
  • 姜 龍溢, 八木 洋, 杉本 賢治, 上松瀬 勝男
    1995 年 15 巻 3 号 p. 253-260
    発行日: 1995/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    本研究は抗血栓療法を施行していない, 新規の恒久型ペースメーカー植え込みを施行した患者20例について, ペースメーカー植え込み前と植え込み1カ月後で鎖骨下静脈造影, 肺血流シンチグラムを施行し, 静脈血栓, 静脈狭窄, 肺塞栓の発生頻度を調べるとともに各種凝血学的因子の測定を行ない, 血栓性合併疾患といかなる関連があるかを検討した.
    ペースメーカー植え込み1カ月後に鎖骨下静脈血栓を4例 (20%) , 高度鎖骨下静脈狭窄を2例 (10%) , 肺塞栓を1例 (5%) に認めた.静脈系血栓性疾患合併例は術前より凝血学的因子のうちFPA, β-TG, PF4, FDP-Ddimerのいずれかが異常高値を示した.
    以上のことより恒久型ペースメーカー植え込み早期より静脈系血栓性合併疾患は出現し, ペースメーカー植え込み直後からの抗血栓療法の必要性が示唆された.
  • 鈴木 文男
    1995 年 15 巻 3 号 p. 261-264
    発行日: 1995/05/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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