心電図
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16 巻, 6 号
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  • 浅見 光一, 鈴木 文男, 芦川 英信, 寺井 知子, 石原 直子, 縄田 浩子, 平尾 見三, 川良 徳弘, 比江嶋 一昌
    1996 年 16 巻 6 号 p. 687-705
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    左側の副伝導路 (AP) が関与するorthodromic typeの房室回帰性頻拍 (AVRT) 20例に対し, 頻拍中に冠静脈洞 (CS) 近位部あるいは遠位部より頻回刺激を行ない, エントレインメント現象を観察した.後壁のAPを介する8例では, 右心耳 (RAA) における最終刺激スパイク直後の後続周期 (OL1) は, 刺激部位・刺激周期 (PCL) に関わらす常に頻拍周期 (TOL) より延長していた.一方, 前壁のAPを介する12例では, CL1は刺激部位・PCLに依存して (1) CL1=POL, (2) PCL<CL1<TOL, (3) CL1≧TCLと異なる3つの反応パターンを示した.CL1=PCLという反応は, CS近位部から頻回刺激を試みた10例でのみ認められた.これらの10症例では, PCLの短縮に伴いOS近位部 (刺激部位) からRAA電極 (記録部位) への興奮伝播様式の変化 (伝導時間の短縮) が観察されたが, その際, RAA電位波形に有意な変化はなかった.今回示された現象は, AVRTおよび他のリエントリー性不整脈におけるエントレインメント現象のメ力ニズムを理解するうえで考慮すべき重要な所見と考えられた.
  • 大平 晃司, 相沢 義房, 池主 雅臣, 北沢 仁, 高橋 和義, 鷲塚 隆, 阿部 晃, 柴田 昭
    1996 年 16 巻 6 号 p. 706-714
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心室頻回刺激は持続性心室頻拍 (VT) を高率に停止させることができ, 抗頻拍ペーシング治療に重要な役割を果たしている.一方VT中に頻回刺激を加え, エントレインメント現象を確認しつつ, ペーシング周期長を順次短縮するとVTを停止させる最長の周期長であるブロック周期長が得られる.このブロック周期長はレートの増加や心室細動への移行を伴わずにVTを停止させうる最も安全なペーシング周期長と考えられる.抗頻拍ペーシングによるVTの停止を想定し, 1群抗不整脈薬によるブロック周期長のVT周期長に対する比率を検討し, 薬剤治療後のブロック周期長が予測できるかを検討した.9例における11回のVTでプロカインアミドおよびメキシレチン投与前後で同一波形のVTが誘発され, 頻回刺激にてブロック周期長が得られた.VT周期長及びブロック周期長はプロカインアミド, メキシレチン投与後いずれも有意に延長した.しかし, ブロック周期長のVT周期長に対する比率の変化は症例によって異なっており, 投薬後のブロック周期長は正確に予想することはできなかった.また比率を検討することにより開始時のペーシング周期長の選択 (平均80%) 及び過度に短いペーシング周期長 (約60%) の回避に役立つ可能性が示唆された.
  • 中里 祐二, 中田 八洲郎, 岩 亨, 小林 正, 江波戸 美緒, 真島 三郎, 諸江 一男, 広木 忠行
    1996 年 16 巻 6 号 p. 715-722
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    加算平均心電図における周波数解析法 (FFT) の正常値を検討する目的で, 健常成人200名 (男女各100名, 平均年齢30歳および27歳) を対象に, 加算平均心電図を記録後FFTを施行した.FFTは120ms幅のBlackman-Harris windowを用い, 開始点はQRS終点より20ms内側とし, arearatio (AR=20-50Hz/10-50Hz×103) を算出した.X, Y, Zの各誘導およびその平均より求めたARは正規分布を示さず, 対数変換により正規化された.ARはいずれの誘導においても, 男性より女性で有意に大であった.身長, 体重, 体表面積, 年齢は男性群が有意に大であった.対象全例ではこれらの体格指標とZ誘導を除く各誘導とAR間には負の相関を認めたが, 男女別ではこれを認めなかった.年齢とARにはいずれの誘導でも相関は認めなかった.FFTにおけるARの正常値設定に際しては, 性差が認められることに留意するのみならず, その要因となる因子を明らかにする必要性が示唆された.
  • 鈴木 喜之, 赤石 誠, 吉川 勉, 三田村 秀雄, 小川 聡
    1996 年 16 巻 6 号 p. 723-732
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    慢性心房細動患者のホルター心電図記録をLorenz-plot法によって表示すると, その分布の下限から機能的不応期を視覚的に認識することが可能である.この分布の下限を最小連結時間直線と定義し, 傾きとY軸切片の変化から日常生活下の房室伝導の変化をとらえ, その意義を明らかにすることを目的とした.最小連結時間直線は全例で右上がりの直線となり, 夜間, 上方に偏位し, 傾きが緩やかになった.これは, 迷走神経の緊張によって, 房室結節の機能的不応期が単に延長しただけでなく, 先行RR間隔の変動による不応期の変化度 (facilitationの程度) が低下したことを示している.最小連結時間直線は, 非観血的に房室結節の伝導性を知り得るだけでなく, facilitctionの程度から自律神経活動の評価が可能であることが示唆されたが, 薬剤や基礎疾患による影響の様式は明らかでなく, 個体間の比較においては検討の余地があると考えられた.
  • 日鼻 靖, 堤 健, 西山 玄洋, 綱川 宏, 真島 三郎
    1996 年 16 巻 6 号 p. 733-745
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    右脚ブロック例について体表面128点の電位を記録し, これと正常平均のデータを単一双極子および二個双極子によって表現することを試みた.体内の双極子による体表電位の計算値と実測値の差を最小二乗法で近似させ, 双極子の位置と大きさを決定した.正常では単一双極子近似が比較的良好で, 双極子で表されない成分を残差とすると, 29.7%程度となった.右脚ブロックではQRS中期に残差が大きくなった.二個双極子近似を用いると, 正常では第二の双極子が小さく, 位置が心臓部を逸脱することがあった.右脚ブロックでは二個の双極子がそれぞれ左室, 右室を表し, QRS前期, 後期に優位となる.中期の残差を小さくすることができるが, 両双極子が予期されるより大きく, 反対方向を向いている形がみられた.
  • 中山 雅裕, 江波戸 美緒, 真島 三郎
    1996 年 16 巻 6 号 p. 746-752
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    加算平均心電図 (SAE) の心筋梗塞 (Ml) 後の致死性不整脈・突然死の予知に対する意義をprospectiveに検討した.1986年2月~1990年1月に急性心筋梗塞にて本院に入院した連続186例のうちSAEを記録, 分析可能であった130例について追跡調査した.平均追跡期間は4.7±2.4年間である.持続性心室頻拍・心室細動および突然死を不整脈事故と定義しその発生を調査したところ, 不整脈事故は発生は異常SAE群26例中6例 (23%) , また正常SAE群で104例中2例 (2%) と異常SAE群で有意に高率であった (P<0.01) .異常SAEの有無は左室駆出率とともに不整脈事故発生に独立して有意な予知指標であった.初回不整脈事故はすべて心筋梗塞後3年以内に生じ, その多くが2カ月以内の持続性心室頻拍であった.今後より多数の連続症例を対象とした他施設検討が望まれる.
  • 古川 佳子, 宮崎 利久, 三好 俊一郎, 森谷 和徳, 麻薙 美香, 三田村 秀雄, 小川 聡
    1996 年 16 巻 6 号 p. 753-761
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    刺激部位による心室筋局所再分極時間の相違とそのメ力ニズムを単相性活動電位 (MAP) を用いて検討した.麻酔開胸犬の心房・左室心外膜面に一定周期の電気刺激を連続的に3-5秒間ずつ行った.MAPの90%再分極時間 (APD90) および同記録部の局所心筋長 (拡張末期長: EDL) を超音波変位計により計測した.MAP近傍 (1Gm以内) の心室刺激時APD90は心房刺激時に比して有意に延長したが (205±7.2vs.191±7.5msec, n=10, p<0.01) , 遠隔部 (50m) からの刺激では延長効果は消失した (195±8.4msec) .心室刺激によりAPD90が延長した際EDLは変化せず, 局所心筋長の変化によるAPD90の変化, すなわちcontraction-excitation feedbaokの関与は否定的であった.またMAP記録部近傍の左右両側からの同時刺激ではAPD90の延長は認められなかった.以上, 生体位心の心室筋局所再分極時間が刺激部位によって変化することが示され, 近傍の心室刺激による延長は‘下流’からの電気緊張的影響によることが示唆された.
  • 諸江 一男, 広木 忠行, 岩 亨, 小林 正, 中里 祐二, 中田 八洲郎, 江波戸 美緒, 真島 三郎
    1996 年 16 巻 6 号 p. 762-768
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    本邦における加算平均心電図: 時間解析法における計測値の基準を決定すべく, 健常成人200名 (男性100名, 女性100名) を対象に加算平均心電図を記録した.時間解析はSimsonらの方法に従い40-250Hzの帯域フィルター濾波後のQRS幅 (fQRS) , 40μV以下の微小電位持続時間 (LAS) , QRS終末部40mseoの平均電位 (RMS40) を求めた.fQRSは男性が有意に長く, RMS40は男性では有意に小であった.fQRS, LASおよび対数をとったRMS40は正規分布を示し平均値±2SDから正常範囲を求めると男性と女性とではそれぞれfQRS<116.3ms (男性) , <105.7ms (女性) ; LAS<42.9ms (男性) , <44 (女性) ; RMS40>13.2μV (男性) , >12.6μV (女性) となった.さらにfQRSは体表面積と正の相関を, RMS40は体表面積と負の相関を示し, 体表面積による補正が必要と考えられた.
  • 土信田 伸夫, 鈴木 文男, 戸坂 俊雄, 浅見 光一, 芦川 英信, 縄田 浩子, 平尾 見三, 宮坂 信之, 川良 徳弘, 比江嶋 一昌 ...
    1996 年 16 巻 6 号 p. 769-781
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    デルタ波の極性と頻拍中の逆行性P波の極性の不一致より複数副伝導路の存在が推定され, アブレーションによりその存在が証明された1例を報告する.症例は房室回帰性頻拍 (1種類) を合併した顕性WPW症候群の男性である.体表心電図ではII, III, aVF誘導にて陰性デルタ波を認め, 副伝導路 (AP) は (左室) 後壁側に存在すると推定された.頻拍中の逆行性P波はII, III, aVF誘導で陽性であった.同症例に対して電気生理学的検査およびカテーテルアブレーションを施行した.頻拍中の最早期興奮部位は左室前側であり, 同部位での2回の通電により頻拍は誘発不能となり, 逆伝導は房室結節経由となったが, 陰性デルタ波は不変であった.切断された左室前側壁のAP以外に, 後壁寄りに川頁伝導のみ可能な2本目のAPの存在することが推定された.最短房室伝導時間を示す左後中隔部位での1回の通電によりデルタ波は消失し, QRS波は正常化した.体表心電図における陰性デルタ波と頻拍時の陽性P波の所見は2本の副伝導路の可能性を示唆しているものと推察された.
  • 齋藤 雄司, 相沢 義房, 古嶋 博司, 池主 雅臣, 藤田 聡, 柴田 昭
    1996 年 16 巻 6 号 p. 782-788
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例1: 40歳女性.潜在性WPW症候群の診断で電気生理学検査を施行した.副伝導路は左側に認められ, これを逆伝導する房室回帰頻拍が誘発された.頻拍中narrow QRSから左脚ブロック波形に移行したが, 頻拍周期は360mseoから280msecとむしろ短縮した.同時にAH間隔は210 msecから100 msecへと短縮し, これが左脚ブロック時の頻拍周期の短縮の原因であった.副伝導路は高周波アブレーションにより消失した.
    症例2: 46歳女性.間欠型WPW症候群の診断で電気生理学検査を施行した.房室回帰頻拍の誘発時, 左脚ブロック型QRSがnarrow QRSに移行したが, 頻拍周期はともに355 msecであった.AH間隔は160 msecから200 msecへ延長し, 左脚ブロックの消失による周期短縮効果を相殺していた.副伝導路は左室後壁で高周波アブレーションにより消失した.
    副伝導路と同側の脚ブロックが出現すると房室回帰頻拍の周期は延長するのが普通である.ここでの2症例は頻拍中に左脚ブロックを合併したが, 脚ブロックによる頻拍周期の延長効果がAH間隔短縮により相殺され, その結果として頻拍周期が不変もしくは短縮したものと考えられた.
  • 1996 年 16 巻 6 号 p. 789-795
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 小児心電図研究の歴史
    大国 真彦
    1996 年 16 巻 6 号 p. 796-798
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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