心電図
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17 巻, 1 号
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  • 武村 珠子, 相原 直彦, 伊達 裕, 和田 光代, 勝木 桂子, 鎌倉 史郎, 下村 克朗
    1997 年 17 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    加算平均心電図spectral turbulence analysis (STA) 法による陳旧性心筋梗塞 (OMI) 例の持続性心室頻拍 (SVT) 発生の予知に対する有用性について検討した.対象を標準12誘導心電図QRS幅が120msec未満の正常幅例 (N群) と120msec以上の心室内伝導障害例 (W群) の2群に分け, STA法の各指標 (LSCR, ISCSD, ISCM, SE) のSVTの有無に対する感度と特異性を時系列解析法と比較検討した.N群ではSTA法は時系列解析法と同程度の有用な感度と特異性を得ることができた.W群ではSTA法は4指標のうち, SEのみで感度と特異性を求めることが可能であったのに対し, 時系列解析法では全3指標を用いた従来の判定法で有用な感度と特異性を得ることができた.以上より, OMI例におけるSVT発生の予知に対するSTA法の有用性は, N群に対して時系列解析法と同程度であるが, W群に対しては時系列解析法が優れていると考えられた.
  • 近藤 政彦, 堤 健, 真島 三郎
    1997 年 17 巻 1 号 p. 10-20
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    E-4031, d-ソタロールによる心筋活動電位持続時間 (APD) の頻度依存性延長効果ならびに同薬剤誘発の早期後脱分極 (EAD) に対するKチャネル開口薬 (ニコランジル, Y-26763) の作用について検討した.雑種成犬より心室筋付着プルキンエ標本を作製し, E-4031 (1μM) 灌流下に刺激頻度依存性のプルキンエ線維APD変化を観察後, ニコランジルの添加灌流によるAPDに与える影響を記録した.次にE-4031 (10μM) , d-ソタロール (1μM) 灌流下に出現するEADに対する, ニコランジルおよびY-26763の作用を観察した.その結果E-4031によるAPD延長作用は, ニコランジルにより濃度依存性に抑制された.またE-4031, d-ソタロール誘発のEADは, ニコランジルまたはY-X6763の添加灌流により, 発火頻度が減少した後消失した.以上より, Kチャネル開口薬は, III群抗不整脈薬 (E-4031, d-ソタロール) の有する催不整脈を抑制し得ることが示唆された.
  • 武者 春樹, 中村 俊香, 國島 友之, 村山 正博, 太田 壽城, 大津 文雄, 川久保 清, 岸田 浩, 久保田 功, 外畑 巌, 平井 ...
    1997 年 17 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    全国107施設の運動負荷試験に関するアンケート調査により, 推定累積運動負荷試験1, 779, 352件 (マスター2階段試験951, 512件, エルゴメーター法215, 972件, トレッドミル法611, 868件) における事故について検討を行った.死亡事故6件, 入院を要する重篤事故37件であり, 検査10, 000件当たりの事故率は, 死亡0.034, 心筋梗塞発症0.129であった.死亡を含む重篤事故の基礎疾患が明らかであったのは31件であり, 内訳としては心筋梗塞13%, 不安定狭心症13%, 狭心症32%であり, 肥大型心筋症, 拡張型心筋症, 弁膜症などその他が42%であった.事故の内容 (総数40件) は, 心筋梗塞発症57.5%, 不安定狭心症12.5%, 持続性ST上昇10%, その他20%であった.事故の原因としては, 報告のあった33件の中で過度の虚血6%, 過度の負荷15%, 不安定狭心症に負荷を行った6%, その他15%であり, 原因不明が58%を占めた.過去に事故の経験の有無による運動中止基準の比較では, 運動中止心拍数および収縮期血圧が事故の経験ある施設において年齢別推定最大心拍数85%以上や収縮期血圧250mmHg以上の設定など中止基準の設定が高い傾向を認めたが, 運動中止STレベルには差を認めなかった.本邦における運動負荷試験に伴う事故の発生頻度は, 過去の諸外国の報告よりは少ない傾向であったが, 事故の原因として不安定狭心症に負荷を行った例や過剰負荷の例が認められ, 事故の防止のため負荷試験の適応と禁忌, 運動中止基準の遵守がより必要と考えられた.
  • 村松 俊哉, 塚原 玲子, 秋元 奈保子, 方 眞美, 伊藤 茂樹, 矢部 喜正
    1997 年 17 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    〈目的〉急性心筋梗塞に対する再灌流療法後の成否をホルター心電図のST変化の推移により評価した.〈方法〉発症12時間以内に血栓溶解療法を施行し, 梗塞責任冠動脈がTlMl2以上を血流改善を得た48例を再疎通成功群とした.血栓溶解療法施行直後よりホルター心電図を用いて24時間におけるST変化の推移を観察した.〈結果〉再疎通成功群の22.9%にホルター心電図上のST変化が認められた.1週間後のホルター心電図上のST変化出現率は再疎通成功群では直後22.9%から1週間後3%と減少した.ST変化のタイプをST変化無し, resolution type, transient tyaeの3群に分けて退院時左心機能を比較検討すると, ST変化無しの群では左室駆出率57.4±13.2%, resolution type ST変化群は72.4±8.8%を示し, transient type ST変化群は66.1±12.4%を示した.再閉塞はresolution type ST変化群は認めず, transient type ST変化群では25%に, reelevation type ST変化群では50%に認めた.〈結語〉血栓溶解療法後再疎通成否, 梗塞責任冠動脈の開存状況, 左心機能保持効果の推測にホルター心電図を用いたST変化推移の検討は有用であった.
  • 兼瀬 幸浩, 村川 裕二
    1997 年 17 巻 1 号 p. 37-45
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    単相性パルスと二相性パルスの除細動効率の差が通電直後の非脱分極領域に残る不応期の多寡に依存するか否かを検討した.14頭の麻酔犬において, 右室のフィールド刺激 (1~16V) により電圧勾配を作成した.心筋を直接捕捉しない最長の連結期でフィールド刺激を加え, 非脱分極領域辺縁の興奮性回復時間 (post-shook reoovery interval: PSRI) を求めた.また, 左右心室の心嚢膜に縫着したチタニウム電極を介して除細動閾値 (DFT) を測定した.8mseoの単相性パルスと4msec+4msecの二相性パルスに口FTは3.3±1.0Jと2.9±1.4Jと, 有意な差は認めなかった.しかし, 個々の心のふたつのDFTの差は, 10V以上のフィールド刺激で測定したPSRIの差に有意な逆相関を示した (10V=r=-0.62, p<0.05, 16V: r=-0.75, p<0.01) .各個体における両波形の除細動効率の差は通電直後に非脱分極領域に残る不応期に依存していると考えられた.
  • 松尾 清隆, 栗田 隆志, 田口 敦史, 清水 渉, 須山 和弘, 相原 直彦, 鎌倉 史郎, 下村 克朗
    1997 年 17 巻 1 号 p. 46-54
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    IaまたはIc群抗不整脈薬によりQRS延長に伴う多形性心室頻拍 (PVT) を生じた5症例 (男2例, 女3例, 平均52±7歳) について検討した.抗不整脈薬の内訳はピルジカイニド2例, フレカイニド, ジソピラミド, シベンゾリン各1例で, いずれも発作性心房細動および粗動に対して投与されていた.全例に基礎心疾患 (肥大型心筋症2例, 弁膜症術後2例, 拡張型心筋症1例) を認めた.投与量は通常量であったがPVT発生直後の薬剤血中濃度は中毒域を示した.PVT発生直前の調律は心房粗動または心房細動が4例, 他の1例は心房性期外収縮後にPVTが発生した.投与前, 投与後非発作時および発作時のRR間隔はそれぞれ864±93, 720±141, 404±131msecであった.同様にQRS幅はそれぞれ118±27, 162±38, 236±30msecで, 発生直前に上室性不整脈による頻脈とこれに伴うQRS幅の著明な延長を認めた.PVTの発生機序として, IaまたはIc群抗不整脈薬による頻度依存性Naチャンネル電流の過剰な抑制に伴う心室内伝導遅延の関与が示唆された.
  • 森谷 和徳, 宮崎 利久, 三好 俊一郎, 麻薙 美香, 古川 佳子, 三田村 秀雄, 小川 聡
    1997 年 17 巻 1 号 p. 55-61
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    急性虚血時のIII群抗不整脈薬の作用様式には不明な点が多い.そこで本研究では, MS-551のIII群作用への局所心筋虚血の影響を麻酔開胸犬において検討した.洞結節領域を挫滅し, 心房ペーシングを行った.左冠動脈前下行枝遠位部の5分間完全閉塞操作を30分間隔で反復した.心周期 (CL) を400, 600, 800msecに変化させながら虚血中心部心外膜面から単相性活動電位を記録し, 90%再分極時間 (APD90) を計測した.3回目冠閉塞前にMS-551 (0.3mg/kg静注後, 0.05mg/kg/minを持続) を投与し, 2回目冠閉塞時の変化を対照としてその作用を評価した.対照冠閉塞時APD90はいずれのCLでも有意に短縮し, 再灌流により前値に復した.MS-551は冠閉塞前のAPD90を有意に延長した.延長率はCL800 (12±5%) >600 (11±7%) >400 (6±4%) であり, CL-APD関係曲線は急峻となった.しかし, 冠閉塞後1分以降その延長作用は消失し, 5分後には対照時と同程度までAPDは短縮し, 平坦なCL-APD関係曲線となった.
    以上から, MS-551による心室再分極時間の延長作用 (逆頻度依存性) が急性虚血により減弱・消失することが示された.
  • 合屋 雅彦, 家坂 義人, 高橋 淳, 副島 洋行, 武井 秀信, 徳永 毅, 新田 順一, 雨宮 浩, 野上 昭彦, 青沼 和隆, 藤原 ...
    1997 年 17 巻 1 号 p. 62-69
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は70歳女性.主訴は動悸.平成2年より動悸を認め薬物治療中であったが服薬下にも発作頻回となり入院となった.頻拍時心電図は心拍数170/分のIongR-P型, narrow QRS頻拍を認めた.電気生理検査では頻拍時の心房興奮順序は心室ペーシング時の逆行性心房内伝導とは異なっていた.頻拍は心房プログラム刺激で誘発され, 心室期外刺激ではリセットされず, 高位右房, 冠静脈洞近傍の期外刺激でリセット可能であり, リエントリー性心房頻拍であることが示唆された.また頻拍は少量のATPおよび迷走神経刺激にて停止可能であった.低位右房前中隔の房室結節近傍にある最早期心房興奮部位における高周波通電により頻拍は停止し以後誘発不能となった.以上の所見より本頻拍は房室結節の一部あるいは結節近傍のtransitional zoneを含む心房内リエントリー性頻拍であり, 新しい心房頻拍の一治験例と考え報告する.
  • 有賀 雅和, 片桐 有一, 佐々木 康之, 須山 和弘, 酒井 龍一, 沢木 章二, 椎名 裕之, 古田 精市, 長崎 正明
    1997 年 17 巻 1 号 p. 70-77
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は66歳女性.17歳の第1子出産時に初めて動悸発作を自覚.S56年心電図にてWPW症候群と診断され近医にてジソピラミドの投与を受けるようになったが, 発作頻度は不変で緊急外来を受診し治療を受けていた.H4年12月頃より発作頻度が増加し徐脈も出現するようになった.ホルター心電図では5970msecの洞停止を認め, ジソピラミドの副作用が疑われ減量されたが改善せず, 精査加療目的でH5年5月当科入院.電気生理学的検査では右室側壁に副伝導路を認め, 同部位に対して高周波通電を施行し副伝導路の焼灼に成功した.以後, 抗不整脈薬の内服なしで頻脈性不整脈も徐脈性不整脈も認められなくなった.洞機能異常を伴ったWPW症候群の場合, 房室回帰性頻拍に対して抗不整脈薬の投与を行うと, その副作用により徐脈性不整脈の頻度が増加する.この様な症例に対して高周波力テーテルアブレーションは有効な治療方法と思われた.
  • 「ST, Tと私」
    加藤 和三
    1997 年 17 巻 1 号 p. 78-81
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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