【目的】著者らは, ボルター心電図における誘導数制限の解決法としてフランクXYZ誘導から12誘導心電図の合成法を開発し, 心筋虚血の診断に応用した.本研究では, 活動時の筋電図混入, 臥床時の電極違和感の原因となるフランクY誘導を用いずに, XZ誘導からV
1~V
6の単極胸部誘導心電図 (St-PECG) に相当する合成心電図 (Syn-PECG) の記録法を開発した.【方法】健常者, 前壁梗塞, 完全左・右脚ブロックを対象として, V
1誘導のP波形態, V
1~V
6誘導のQRS波電位に対するR波電位, T波電位の比率をSt-PECGとSyn-PECGで比較した.【結果】 (1) P波形態は高率 (86%) に一致した. (2) R波電位/QRS波電位およびT波電位/QRS波電位は健常者, 前壁梗塞・脚ブロツクでも良好な近似, 相関を示した, 【結語】本法で得られたSyn-PECGは, 健常者のみでなく前壁梗塞・脚ブロックのSt-PECGとも近似した.本法を2チャネル式ディジタルホルター心電計に応用することにより, 誘導数制限の解決法になると考えられた.
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