心電図
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21 巻, 3 号
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  • 有田 眞
    2001 年 21 巻 3 号 p. 239-240
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 安保 泰宏, 横井 博厚, 古田 敏也, 藤原 稚也, 近藤 貴久, 森 紳, 渡邉 佳彦
    2001 年 21 巻 3 号 p. 241-250
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞患者と冠動脈形成術を施行した狭心症患者を対象に, 心電図所見による責任冠動脈病変の診断能を検討した.前壁誘導の心電図所見による左冠動脈前下行枝の中枢部病変に対する診断能 (感度, 特異度, 陽性予測値) において, I, aVLのST上昇はそれぞれ89, 58, 62%, V1のQS波は62, 83, 72%であった.後壁誘導では, V1のR/S>1は左冠動脈回旋枝の診断に対して50, 90, 50%であった.下壁誘導では, II, III, aVFのST上昇かつaVLの陰性T波は右冠動脈の診断に対して90, 83, 95%であった.右室誘導では, 体表面電位図のV4Rに相当する誘導のST上昇は, 右室梗塞の診断に対し100, 93, 91%であった.診断能には, 第1対角枝の分岐, 後下行枝の優位性, 正常亜型, 自然再開通の有無が関与すると考えられた.また, 高位側壁の誘導としてV4の1肋間上方, 後壁誘導にはV6の1肋間下方の誘導点を追加することで, 責任冠動脈病変部位の診断精度の上昇の可能性が示唆された.
  • 鎌倉 史郎, 清水 渉, 田口 敦史, 須山 和弘, 栗田 隆志, 相原 直彦
    2001 年 21 巻 3 号 p. 251-257
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心筋壊死が生じる心室分画と, 心電図変化としてそれが反映される体表面領域との対応関係を, カテーテルアブレーション (CA) で限局性壊死が作成された症例を用いて検討した, 対象は頻拍のために左室または右室にCAを施行した118例.全例でCA前と後10日以内に体表面電位図を洞調律時に記録し, QRS等電位図のSubtraction map (S-map) を1msecごとに作成した.左室を前壁, 側壁, 後壁, 前部中隔, 後部中隔のそれぞれ基部, 中央部と心尖部の計11ヵ所に, 右室を流出路部中隔, 流出路部自由壁, 中央部中隔, 中央部自由壁, 下壁基部および心尖部の計6ヵ所に分類し, 焼灼 (壊死) 分画とS-map上で電位低下の生じた体表面領域との関係を検討した.S-map上118例中96例で0.05mV以上の電位低下がCA後に認められた.その出現時相は局所が興奮する時相にほぼ一致していた.左室心尖部焼灼例では左前胸部中央やや下方で電位が低下し, 基部焼灼例ではそれを取り囲むような体表面領域 (後壁例: 背部下方, 側壁例: 背部上方, 前壁例: 左前胸部上方, 前部中隔例: そのやや右方, 後部中隔例: 右前胸部下方) で低下し, 中央部焼灼例では基部と心尖部の中間領域で電位が低下した, 一方, 右室流出路部中隔焼灼例では前胸部中央上方で, 流出路部自由壁例ではその右方, 中央部中隔と自由壁例では前胸部中央やや上方, 下壁基部例では右前胸部下方で電位が低下した, 本研究で得られた心室分画一体表面領域の対応関係に基づいて, 心筋梗塞部位や冠動脈病変部位を心電図から詳細に診断できると考えられた.
  • 李 鍾大, 中野 顯, 清水 寛正, 宇隨 弘泰, 上田 孝典
    2001 年 21 巻 3 号 p. 258-262
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    運動負荷誘発ST上昇に伴う対側性ST下降の意義について検討した, 心筋梗塞慢性期 (>1month) のトレッドミル運動負荷心電図 (Modified Bruce法) で, 異常Q波のある2誘導以上で0.1mVを超えるST上昇 (J点より80msec) を認め, 梗塞責任血管以外に有意狭窄のない30例 (平均67歳) を対側誘導での0.1mV以上 (J点より80msec) のST下降を認めた16例 (平均65±9歳: A群) と認めなかった14例 (平均69±9歳: B群) に分類した.同時期に左心室造影 (LVG) ・NH3/FDG dual PETも行い, NH3-PETでの血流低下領域におけるFDG集積亢進をischemic but viableの指標とした.梗塞発症からの経過日数 (75±49日vs74±52日) , 運動負荷時間, rate pressure product, 運動誘発ST上昇の程度, 左室壁運動異常の程度には両群間で差はなかった.梗塞責任血管完全閉塞はA群8例, B群5例に認めた.残り17例の梗塞責任血管は, A群45±21%, B群48±25%の残余狭窄を残して開存していた.NH3/FDG-PETにより, A群全例とB群3例 (21%) でviabilityの残存ありと判定された.残存心筋viability検出における対側性ST下降の感度・特異度・正確度はそれぞれ84%・100%・90%であった.対側性ST下降の有無により梗塞部位の残存心筋viabilityを評価できる可能性がある.
  • 草間 芳樹, 馬渕 浩輔, 酒井 俊太, 本間 博, 岸田 浩, 高野 照夫
    2001 年 21 巻 3 号 p. 263-269
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    梗塞領域誘導で認められる運動誘発ST上昇の成因に心筋虚血が関与しているかを, 運動誘発ST上昇パターンの分析により心筋虚血の関与が判別可能かを検討した, 〔検討1〕Q波心筋梗塞患者で運動誘発ST上昇を示し, 梗塞責任冠動脈に対するPTCAに成功した21例を対象とした.PTCAにより運動時間が延長 (490±148→619±162sec, p<0.01) .運動誘発ST上昇の総和は減少した (3.2±2.0→1.8±1.5mV, p<0.01) .ドブタミン負荷心エコーでの壁運動変化は, 梗塞領域分画の壁運動指数総和 (壁運動改善により指数減少) が, PTCA前には負荷前8.9±3.5, 低用量DOB負荷4.9±4, 6, 高用量DOB負荷9, 6±3.6とbiphagic responseを示し梗塞領域の心筋虚血が認められた.PTCA後には負荷前7.8±3.9, 低用量DOB負荷4.2±5.0, 高用量DOB負荷4.4±4.1であり心筋虚血の改善が認められ, 運動誘発ST上昇への梗塞領域心筋虚血の関与が示された、〔検討2〕Q波心筋梗塞患者で運動誘発ST上昇を示した71例を対象とした.ST上昇パターンを凹型と凸型に分類し, 2群の冠動脈造影, ドブタミン負荷心エコー所見を比較した.梗塞責任冠動脈の有意病変を有する55例では凹型/凸型の比が45/10, 有意病変のない16例では7/9であった (p<0.05) , ドブタミン負荷心エコーを施行した40例中, 梗塞領域心筋虚血が陽性であった24例では, 凹型/凸型の比が21/3例, 虚血陰性16例では7/9例であった (p<0.05) .このように凹型ST上昇を示す例では, 凸型ST上昇を示す例に比べ梗塞領域の心筋虚血を認める場合が多いことが示された.
  • 高瀬 凡平, 辻本 哲也, 里村 公生, 秋間 崇, 浜部 晃, 西岡 利彦, 上畑 昭美, 五十嶋 一成, 大鈴 文孝, 栗田 明
    2001 年 21 巻 3 号 p. 270-279
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    経皮的冠動脈形成術 (PTCA) 後の再狭窄の心電図診断で一般的なものは運動負荷心電図である.またQT dispersion (QTD) がPTCAによる心筋虚血の診断に有用であると報告されている.そこで, 運動負荷心電図およびQTDの再狭窄評価につき検討した.方法および結果: 研究1; 連続約350症例のPTCA成功例よりPTCA前, 1カ月後, および冠動脈造影による再狭窄評価直前に症候限界性トレッドミル運動負荷試験 (ETT) を施行し得た40症例を対象とした, PTCAの成功は完全な血行再建術とし, 再狭窄の定義は拡張した血管径の50%以上の狭小化, 狭窄度が70%以上に達した時とした.非再狭窄症例19例 (52±9歳) および再狭窄症例21例 (56±9歳) で, 非再狭窄症例ではPTCA前ETT時最大ST降下度 (J, 80msec) は-1.8±0.5mmであったが, 1カ月後, 再狭窄評価直前ではそれぞれ-1.0±0.6, -1.0±0.8mmと有意の改善が認められた, しかし再狭窄症例では有意の改善は認められなかった.非再狭窄症例では再狭窄評価直前のETTにおいて狭心痛誘発頻度が有意に低率で, 虚血閾値の改善を認めた, PTCAの再狭窄予測にETT時の心電図は有用である可能性が示唆された, 研究2: 待機的PTCAを施行した連続41症例のうち, 陳旧性心筋梗塞非合併例24例 (69±10歳) と合併例17例 (61±11歳) にわけ検討した.再狭窄症例のQTDの変化も検討した, QTDの計測は標準12誘導心電図よりPTCAの前後に施行した.QTDは通常のごとくmaximum QT-minimum QTとして求めた.陳旧性心筋梗塞非合併例ではPTCAによりQTDは73±35msecから51±18msecへと有意に低下したが, 陳旧性心筋梗塞合併例ではPTCA前QTDは73±25msecからPTCA後69±22msecへの変化にとどまり有意ではなかった.PTCA再狭窄評価直前のQTDを検討すると, 再狭窄をきたした症例ではQTDは78±8msecへと再増加が認められた.PTCAによりQTDは有意に改善するが, 陳旧性心筋梗塞合併例では影響が少なく, PTCA再狭窄によりQTDは有意に増加しPTCA再狭窄診断においてQTDが有用である可能性が示唆された.結論; PTCA再狭窄診断における運動負荷心電図および, 標準12誘導心電図より求めたQTDの有用性が示唆される.しかし, QTDの評価には陳旧性心筋梗塞合併等の影響も考慮すべきである.
  • 八巻 通安
    2001 年 21 巻 3 号 p. 280-285
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    運動負荷心電図による狭心症の判定は通常ST低下からなされる.診断精度は対象によって変わるためさまざまな報告があるが, 58試験11, 691例を集計した成績によると, 運動負荷心電図ST低下が虚血性心疾患を診断する感度は67%, 特異度は72%とされている.一方, 心拍数130/分以上の運動負荷時のR波増高は心筋虚血の反映と考えられている, その診断精度は感度67%, 特異度79%と報告されていて, ST低下による診断を補強できる.しかしこの所見は心拍数130/分以下では診断価値はない.運動負荷によって出現する陰性U波は冠動脈疾患診断において特異度が高く, かつ高度の冠狭窄を反映するので重要な心電図所見である.自験例ではこの所見が冠動脈疾患を診断する感度は37%にとどまるが, 特異度は100%であり陰性U波の出現は冠動脈疾患の存在を強く示唆するものである, 以上からST低下所見にR波増高や陰性U波の出現などを加えることで冠動脈疾患の診断精度は向上できる.
  • 小出 靖, 四倉 正之, 吉野 秀朗, 石川 恭三
    2001 年 21 巻 3 号 p. 286-292
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    再灌流療法時代における長期予後の推測のための, 退院時トレッドミル運動負荷心電図の有用性について検討した.対象は退院時に症候限界性のトレッドミル運動負荷心電図と心エコーが施行された, 心筋梗塞症例連続834例 (平均年齢60±10歳, 男性675例, 女性159例) である.心臓死発生の有無を予測しうる独立した指標を比例ハザードモデルを用いて抽出した, 平均4.5±2.7年間の追跡期間中, 心臓死は75例 (9%) に発生した.単変量解析から長期予後の推測のための有意な因子であることが判明した指標を組み込んだ比例ハザードモデルによる検討から, 年齢, 最大creatine phosphokinase (CPK) の値, 急性期経皮的冠動脈形成術, 左室駆出率, ならびに運動負荷終了直後のQT dispersionの5因子が, 長期予後に関する有意な因子で, 調節した後も独立した推測因子であることが判明した, 再灌流療法時代における長期予後の推測のための退院時トレッドミル運動負荷心電図の指標として, 運動負荷終了直後のQT dispersionが有用である.
  • ―加算平均心電図, T波変動解析, QT間隔解析を用いての評価―
    池田 隆徳, 川瀬 綾香, 熊谷 賢太, 酒部 宏一, 近藤 直樹, 高見 光央, 手塚 尚紀, 中江 武志, 坂田 隆夫, 野呂 眞人, ...
    2001 年 21 巻 3 号 p. 293-299
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞 (MD患者において, 微小心電信号であるIate potentials (LP) , Twave alternans (TWA) , QT dispersion (QTD) の予後規定因子としての有用性を評価し, TWAに関してはその発現機序についても評価した, プロトコール1: 対象は急性MI患者102例.不整脈事故 (持続性心室頻拍/細動の自然発症と定義) が, 前向きに調査された.LP, TWA, QTD (>65msec) の陽性率は, それぞれ21%, 49%, 20%であった, 平均13±6カ月の観察期間中15例 (15%) において不整脈事故が発生した, 3指標ともに不整脈事故と有意な関連性を示し, 多変量解析からTWAが最も有用と考えられた (相対危険率10.2) .TWAの感度 (93%) と陰性的中率 (98%) は高かったが, 一方で陽性的中率 (28%) は低かった.プロトコール2: 対象は運動負荷中にTWA測定を行った虚血性心疾患患者351例.負荷中にST低下 (0.1mV以上) を示した純狭心症 (AP) 群23例, ST低下 (+) MI群38例, ST低下 (-) MI群184例の3群に分類し, TWAとST低下との相関性を調査し, 健常者18例のデータとも対比させた, TWA陽1生率は純AP群と健常者との間で差はなかったが, 両MI群との比較では明らかに低かった.ST低下の有無によるMI群内での比較では差はなかった.統括: 1) 3指標とも不整脈事故の有用な予測指標であったが, 単独使用には限界があることも示された.2) TWAの出現は, 梗塞巣の存在 (虚血の重症度) と関連していることが示された.
  • 佐藤 俊明, 三田村 秀雄, 竹下 晃子, 品川 香, 神吉 秀明, 高月 誠司, 小川 聡
    2001 年 21 巻 3 号 p. 300-307
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    IKr遮断薬 (nifekalant) とIKr+IKs遮断薬 (azimilide) の抗心房細動効果につき比較検討した, イヌ迷走神経刺激モデルにおいて薬剤による心房細動停止と再誘発の有無を調べ, 薬剤投与前後の右房単相性活動電位持続時間 (MAPD) , 有効不応期 (ERP) , 心房内伝導速度 (CV) , 興奮波長 (WL) を測定した.NifekalantによるMAPD, ERP延長効果は低頻度刺激時に比べ高頻度刺激時には減弱したが, azimilideによる延長効果は高頻度刺激時においても保たれていた, 両薬剤はCVに影響を及ぼさず, nifekalantは低頻度刺激時においてのみWLを延長したが, azimilideは高頻度刺激時においてもWLを延長した.Azimilide投与後の心房細動再誘発率は投与後に比べ低かった (17%VS75%, p<0.05) .以上からIKr+IKs遮断薬はIKr遮断薬よりも優れた抗心房細動効果を発揮する可能性が示唆された.
  • 李 泰成, 小野 克重, 賀来 俊彦, 有田 眞
    2001 年 21 巻 3 号 p. 308-315
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ヒトの心臓にはL型およびT型という2種類の電位依存性Ca2+チャネルが存在している.このうち, T型Ca2+チャネルは主として刺激伝導系細胞に分布しており, ペースメーカー細胞の脱分極に関与していると考えられている, 1998年にCribbsらは, ヒト心臓由来のT型Ca2+チャネルα1サブユニットのcDNAをクローニングすることに成功した, そのヒト型α1サブユニット蛋白をhuman embryonic kidney (HEK) -293細胞に発現させて, 細胞全膜電流を記録した.この電流はnative T型Ca2+チャネルの特徴を呈し, T型Ca2+チャネルに選択的なCa2+拮抗薬であるmibefradilによって抑制された.50%抑制濃度 (IC50) は0.89μMであった.さらに, mibefradilによるT型Ca2+チャネル電流抑制の機序が活性化曲線および定常状態不活性化曲線を過分極方向へ偏位させることによるものであることが判明した.
  • 小松 隆, 中村 紳, 木村 正雄, 大和田 真玄, 斎藤 栄太, 小林 孝男, 蓬田 邦彦, 奥村 謙
    2001 年 21 巻 3 号 p. 316-323
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    【目的】複数のI群抗不整脈薬治療抵抗性発作性心房細動 (Paf) に対するアミオダロン (Am) の長期予防効果 (観察期間38.4±12.0カ月) を他剤I群抗不整脈薬と比較した.【方法・結果】第1 (IaあるいはIb) ならびに第2 (Icあるいはベプリジル) 選択薬後の再発性Paf55例を対象に第3選択薬をAm (A群, n=21) と他剤1群抗不整脈薬 (B群, n=34) に振り分けた, 1カ月, 3カ月, 6カ月, 9カ月, 12カ月後の経時的非再発率は, A群90.5%, 71.4%, 66.7%, 61.9%, 42.8%, B群82.4%, 64.7%, 47.1%, 26.5%, 18.6%であり, 観察期間12カ月目で有意にA群で高率で, 洞調律維持期間はA群9.0±1.7カ月, B群5.6±1.1カ月で, 有意にA群で長かった (mean±SE, p<0.05) .Paf慢性化例はA群7例 (33.3%) , B群11例 (32.4%) で有意差を認めなかったが, 慢性化までの洞調律維持期間はA群29.9±3.6カ月, B群17.6±2, 0カ月で, 有意にA群で長かった (mean±SE, p<0.05) .【結語】抗不整脈薬療法抵抗例においてAmはI群抗不整脈薬に比し長期の洞調律維持が期待される.
  • 北田 守, 田邉 晃久, 半田 俊之介
    2001 年 21 巻 3 号 p. 324-335
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    基礎心疾患の明らかでない発作性心房細動 (孤立性PAF, 男61例, 女19例) とその対照群 (男90例, 女26例) , 房室結節回帰頻拍と房室回帰頻拍 (PSVT, 男25例, 女20例) , とその対照群 (男50例, 女30例) で, 洞調律収縮末期の左房, 右房の長径と短径を心エコー四腔断面像より求めた.体表面積で補正した孤立性PAF群の左房長径は男女ともPSVT, 対照群に比べ延長を (p<0.05~0.01) , 右房長径は男性のみ対照群に比べ延長を認めた (p<0.01) .両心房の短径は男女とも孤立性PAF, PSVT, 対照群の各群間に有意差はなかった.孤立性PAF男性, 対照群男性を40~79歳で10年ごとに分けた場合, 各年代とも孤立性PAF群は対照群に比べ左房, 右房の長径は長かった (p<0.05~0.001) .短径は70~79歳群が60~69歳群に比べ延長傾向にあった (p<0.1) .PAF初回発作から1ヵ月以内例ですでに対照群に比べ左房, 右房の長径の延長を認めた (p<0.05~0.01) .PAFの総発作時間からPAF例を短 (第1群) , 中等度 (第2群) , 長 (第3群) 時間の3群に分けると, 両心房とも長径は3群間で差はなかったが, 左房の短径と容量は第3群が第1群に比べ延長していた (各p<0.05) .PSVTでは心房の長径ないし短径に異常を認めないが, 孤立性PAFでは両心房の長径の延長を認めた, この長径の延長はPAFを起こす原因であり総PAF回数の多寡の結果でないことが示唆された.
  • 林 学, 池主 雅臣, 福永 博, 保坂 幸男, 奥村 弘史, 笠井 英裕, 田川 実, 阿部 晃, 鷲塚 隆, 相澤 義房
    2001 年 21 巻 3 号 p. 336-342
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は22歳男性, 1999年3月, 朝食後に―過性の意識消失発作が生じたため入院した.虚血性心疾患と脳神経疾患は否定されたが, 入院時心電図のV1-V3誘導で軽度のST部分の上昇が認められた.フレカイニド負荷試験を行つたが心電図異常の顕性化は認められなかった.電気生理学的検査では3連発心室早期刺激で非持続性の多形性心室頻拍が誘発されたが再現性は乏しく, dl-ソタロール内服後に頻拍は誘発されなくなった, dl-ソタロール内服下で外来経過観察を行っていたが, 再度同様の意識消失発作が生じた.3回目の電気生理学的検査では心室細動が誘発されたが, フレカイニド負荷試験での心電図変化の増強はこの時も認められなかった.本例は経過中, 軽度のQRSとST-T変化がV1-V3誘導で認められた.繰り返す意識消失発作に対し除細動器を植え込んだが, 前胸部誘導での軽度のST-T変化の意義について今後検討を要する.
  • ―心房中隔以外にリエントリー回路を有した例―
    辻 信介, 吉田 敬規, 琴岡 憲彦, 諸岡 俊文, 龍 俊宏, 吉田 和代, 尾形 徹, 徳島 卓, 大森 啓造, 宇都宮 俊徳, 松尾 ...
    2001 年 21 巻 3 号 p. 343-350
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ATP感受性心房頻拍は, リエントリー機序で起こるまれな心房頻拍である, リエントリー回路の局在については, 房室結節近傍の前中隔や後中隔の報告が多い.今回我々は, リエントリー回路が心房中隔以外に存在し, さらにカテーテルアブレーション治療により根治しえた2例を経験した.2例とも器質的心疾患は認めなかった.症例1は, 頻拍は薬物治療に抵抗性であり, 薬剤性QT延長を呈していた.電気生理学的検査では, 2例とも心房内リエントリー性であり, 症例2では, 房室結節二重伝導路も認めたが, 頻拍には関与しなかった.心房頻拍はATP4mgの静注にて停止した.頻拍中の最早期興奮部位は, 症例1では下大静脈-三尖弁輪部間の解剖学的峡部にあり, 症例2では右房自由壁にあった.同部位で高周波通電を行った後, 頻拍は停止し, 根治しえた.心房頻拍症でリエントリー回路がまれな部位に存在しても, マツピングを適切に行うことにより, カテーテルアブレーション治療が有効であると思われた.
  • 長嶋 正實, 安田 東始哲
    2001 年 21 巻 3 号 p. 351-355
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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