【目的】24時間ボルター心電図より得た心拍変動指標を用いて, 若年者神経調節性失神症例の日常の自律神経活動を測定し, 健常対照者と比較する.【方法】対象はhead-up tilt試験で診断された20歳代の神経調節性失神36例 (男性26名, 女性10名, 平均年齢24±3歳) , および年齢を一致させた健常対照者11例 (男性7名, 女性4名, 平均年齢25±2歳) で, それぞれNMS群, CTRL群とした.心拍変動指標はhead-up tilt試験施行前48時間以内に24時間ボルター心電図を用いて計測し, meanNN, SDNN, SDANN, SD index, rMSSD, pNN50, low frequency spectra, high frequency spectra, total frequency spectraを求め, 両群で比較した.【結果】meanNN, SDNN, SDANNは両群間で差は認められなかったが, 他の指標についてはすべてNMS群で有意に高値を示した (SD index, 91±32msec vs 65±11msec, p<0.05 : rMSSD, 60±31msec vs 38±11msec, p<0.05 : pNN50, 30±17% vs 14±7%, p<0.05 : low frequency spectra 35±15msec vs 26±5msec, p<0.05: high frequency spectra, 27±11msec vs 17±5msec, p<0.05 : total frequency spectra, 65±23msec vs 45±9msec, p<0.05) .【総括】20歳代の神経調節性失神症例では, 同年代の健常対照者群に比べて日常の自律神経活動が, 全般に有意に亢進していると考えられた.
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