心電図
Online ISSN : 1884-2437
Print ISSN : 0285-1660
ISSN-L : 0285-1660
22 巻, 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 飯島 俊彦
    2002 年 22 巻 2 号 p. 65-66
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 児玉 逸雄
    2002 年 22 巻 2 号 p. 67-76
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    アミオダロンの薬理作用の特徴は多彩な分子標的をもつことと, 短期作用と長期作用が異なることである.短期作用として, アミオダロンは内向き電流だけでなく, 外向き電流も抑制する.Na+チャネル電流 (INa) に対する抑制作用は不活性化チャネルブロックが主体であり, 薬物とチャネルの結合・解離キネティクスが速い点でリドカインに類似している.L型Ca2+チャネルに対してもかなり強い抑制作用がある.アミオダロンは膜電位作動性, リガンド作動性いずれのタイプK+チャネルに対しても抑制作用をもつ.前者のうちの遅延整流K+電流 (特にIKr) や後者のアセチルコリン感受性K+電流 (IK, ACh) などに対しては, 低濃度から強い抑制が現れる.この他, Na/K ATPase抑制作用 (Na+感受性低下) , 交感神経β受容体密度減少作用, 交感神経終末のノルエピネフリン枯渇作用, 抗酸化作用 (ラジカル除去作用) などもある.長期作用の主体は刺激頻度非依存性のAPD延長と不応期延長である.APD延長の機序についてはIK (特にIKs) とIto (―過性外向き電流) の電流密度減少が重要である.心筋の交感神経α, β受容体密度を減少させる作用や, Na/KATPase活性を低下させる作用, 血球細胞の炎症性サイトカイン産生抑制作用などもある, アミオダロンの長期投与を行うと, 未変化体だけでなく, その活性代謝産物 (デスエチルアミオダロン) が血漿中および心筋組織に蓄積し, 全体としての薬理作用をいっそう複雑にする.アミオダロン長期投与の心臓作用は甲状腺機能低下と共通点が多い.アミオダロンが甲状腺ホルモン (T3) の作用を妨げ, 心筋に甲状腺機能低下様の状態をつくる仕組みについては, (1) T3またはT4の細胞内取り込み抑制, (2) 核内T3受容体へのT3結合阻害, (3) T3受容体サブタイプ (特に心筋に多く存在するα1, β1) の発現低下などが考えられている.アミオダロンの臨床有用性を妨げている最大の理由は心臓外の副作用 (特に肺毒性) である, このためアミオダロンに匹敵する抗不整脈作用をもち, かつ副作用の少ないアミオダロン類似薬を開発する試みが進められている.
  • 志賀 剛, 笠貫 宏
    2002 年 22 巻 2 号 p. 77-83
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    アミオダロンは強力な抗不整脈作用を有しているが, その薬物動態は複雑である, 脂溶性が高く脂肪組織などに広く分布し, その除去半減期は14~107日と長いという特徴がある.このため, 早期の効果発現を期待して初期負荷を行うという考えがある.日本では400mg/日2週間の初期負荷と200mg/日の維持量が勧められている.初期負荷量として800~1200mg/日の高用量を用いると血中濃度が高く推移し, より早い効果発現が期待できる一方, 催不整脈作用等の発現が懸念される.一般的には400mg/日による初期負荷が安全で効果的と思われる.日本における適応は, 生命の危険がある心室頻拍・心室細動あるいは肥大型心筋症に伴う心房細動の再発性不整脈である.欧米に比し, 低用量であり, 低い血中濃度でありながら, その効果は劣っていない, 一方, 心外副作用として肺毒性や甲状腺障害が多く, 眼毒性, 皮膚毒性, 神経毒性は少ない特徴がある.常に有効性と安全性を考慮した投与設計が必要である.
  • 栗田 隆志, 安村 良男, 田口 敦史, 清水 渉, 須山 和弘, 相原 直彦, 鎌倉 史郎
    2002 年 22 巻 2 号 p. 84-90
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    本邦においてアミオダロンの臨床使用が認められて既に9年が経過し, 臨床経験も蓄積されつつある.今回はアミオダロンの有する従来とは違った側面に焦点をあて, その新しい使用法の可能性を考察する.
    1.心房細動 (AF) : 従来よりAFに関するアミオダロンの有効性はそのタイプや原疾患に関わらず高いことが確認されている.除細動後の洞調律維持を目的として同薬剤を投与した場合, 難治例においてもその維持率は3年で少なくとも50%を超える.
    2.心室性期外収縮 (PVC) : 器質的心疾患に伴うPVCを対象としたアミオダロンの効果について大規模試験を統合したメタ解析が行われ, これらによりアミオダロンは総死亡を13~19%, 不整脈死亡を29~30%減少させることが明らかになった.
    3.心不全に対する効果: 心不全患者を対象とした大規模試験CHF-STATによるとアミオダロンの長期投与によって左室駆出率は8~9%上昇している.また, 筆者らはβ遮断薬に不認容であった重症心不全患者に対してアミオダロンの導入を試み, 長期投与が可能であった10/13例においてNYHA重症度の改善, 心エコー上の%FSの有意な改善, 血中BNP値の有意な低下を認めている.
  • 坂巻 文雄
    2002 年 22 巻 2 号 p. 91-96
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    アミオダロンによる副作用, 特に肺合併症は約5%前後にみられるとされ, ときとして致死的となることがあり, 本剤使用中の患者においては, 肺合併症への対策が重要である.アミオダロン投与患者においては自覚症状や画像検査の定期的チェック以外に肺拡散能検査 (DLco) や血清KL-6値等の間質性肺炎の活動性を示す指標の経過観察が行われるが, 本合併症のすべてを画像所見が出現する以前に予測することは現時点では困難である.アミオダロンによる肺合併症の病型は, おもに亜急性もしくは慢性に発症する型と, 急性に発症する型に分けられ, 経過や%DLco, 血清KL-6値をはじめとするモニタリング指標に違いがみられた.アミオダロンによる肺傷害には蓄積毒性による直接的傷害と炎症免疫学的機序による間接的傷害がある, どちらの機序が主体になるかで病型が異なってくる可能性があり, これが経過や治療反応性に違いを生じさせていることを理解することが重要と考えた.
  • 三田村 秀雄
    2002 年 22 巻 2 号 p. 97-103
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    アミオダロンの一次予防効果を調べたBASIS, GESICA, CHF-STAT, EMIAT, CAMIATの5つの大規模試験と, アミオダロンとICDの二次予防効果を比較したAVID, CIDS, CASHの3つの大規模試験から得られたエビデンスについて分析を試みた結果, アミオダロンの予後改善作用は―律に得られるものとは限らず, 原疾患や心機能によって異なることが明らかにされた.心不全例では, 虚血例よりも非虚血例の予後を改善する傾向があり, それは頻脈例における心機能の改善に伴って発揮される.虚血例では, 心機能の良好な例に, 心筋梗塞後早期に投与開始した場合に, 主に突然死を防止する効果が得られる, 突然死の二次予防も心機能の良好な例においてより発揮される.いずれの病態においても, β遮断薬の併用により, 効果の増強が期待できる.症例を選んでアミオダロンを投与することにより, 長期予後の改善に役立てることが可能である.
  • 仁禮 隆, 日吉 康長, 渋谷 浩孝, 山田 智広, 笠貫 宏
    2002 年 22 巻 2 号 p. 104-110
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    当院におけるBrugada症候群の検診の有用性について検討した.対象は1997年1月から2000年6月までの間に当院にて心電図を記録した循環器内科症例を除く32, 623例 (男16, 338例, 女16, 285例, 0~104歳) である.Brugada型心電図を96例 (0.29%) に認め, coved型15例 (16%) , saddle-back型81例 (84%) であった, 男性は75例 (0.46%) で20~80歳代に0.3~0.7%の頻度で認められた, 女性は20例 (0.13%) で40~80歳代に0.05~0.3%の頻度で認められた.48例が循環器内科を受診し, 4例で入院精査を施行した.Brugada症候群と診断されたものは3例であり (受診例の6.3%) , すべて原因不明の失神発作として見過ごされていた症例であった.同時期の循環器内科初診3, 497例ではBrugada症候群は発見されなかった.以上より病院全体の心電図スクリーニングによるBrugada症候群の検診が有用であることが示唆された.
  • 横溝 絵里子, 立石 修, 青山 尚文, 阿部 邦彦, 杉本 健一, 西山 晃弘, 石川 眞一郎, 小幡 進一郎, 望月 正武
    2002 年 22 巻 2 号 p. 111-117
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    発作性心房細動 (Paf) の長期予後を検討した.対象は4年間追跡調査可能であったPaf症例63例で, 追跡期間中の脳梗塞発症は9例 (14%) みられ, 非発症例と比較して年齢で有意に高値 (p<0.05) を, 左室駆出率で有意に低値 (p<0.05) を示した.また左室拡張末期径が脳梗塞発症例で大きい傾向 (p=0.09) を認めた.心事故発生例は2例 (3.2%) であった.慢性心房細動へは14例 (22%) が移行し, 全例男性であった.Paf症例における脳梗塞発症危険因子は高年齢と低左室駆出率であり, このような症例には脳梗塞発症予防として積極的に抗凝固薬を投与する必要があると考えた.
  • 岩田 理, 田邉 晃久, 臼井 和胤, 半田 俊之介
    2002 年 22 巻 2 号 p. 118-134
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    梗塞犬でα作用を順次増強し不整脈発生ならびに心室筋の伝導, 再分極への影響とその変化に対するK+チャネル遮断薬の効果を検討した.ビーグル犬を麻酔, 人工呼吸下に左冠動脈前下行枝を結紮6時間後に単相性活動電位 (MAP) と局所電位の記録, 血圧測定を開始した.β受容体とムスカリン受容体 (M2受容体) の非遮断下 (第1群) と遮断下 (第2群) での心臓交感神経刺激は刺激強度3mA, 6mA, で心室期外収縮 (VPC) 数の増加傾向を認めた (p<0, 1) .フエニレフリン (Phen) 10, 20, 30μg/kg血行内投与はVPC数を有意に増加させた (p<0.05~0.01) .第2群では6mA刺激で正常域 (NZ) のMAP90短縮が大であったためNZ-BZ (境界域) 間に差を生じた (p<0.05) .PhenはAT (左室刺激からMAPの立ち上がりまで) とVAT (局所電位立ち上がりから初期peakまで) に影響しなかったが, 20, 30μg/kgでMAP90とDSD (心電図JT時間に相当) を短縮させた (p<0.05~0.01) .胸部下行大動脈縮窄による収縮期血圧180mmHg台までの上昇やトリメタファンによる90mmHgまでの血圧下降はMAP90に影響しなかった.PhenによるMAP90短縮はα1遮断薬ブナゾシンで抑制された.Ito抑制薬4-アミノピリジンやKATPチャネル遮断薬グリベンクラミド前投与後のPhen投与はMAP90を短縮させたが (p<0.1~0.05) , Ik抑制薬ニフェカラント前投与後のPhen投与はMAP90を短縮させなかった.結論: 生体位心における強力なα作用は再分極相を短縮させる, この短縮作用は血圧上昇によるものではなくα受容体刺激による.強力なα作用による再分極短縮はIk促進と関連する可能性がある.
  • 里見 和浩, 栗田 隆志, 田口 敦史, 清水 渉, 須山 和弘, 相原 直彦, 鎌倉 史郎
    2002 年 22 巻 2 号 p. 135-143
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Brugada症候群9例, および心室細動 (VF) を合併した器質的心疾患患者5例において, 植え込み型除細動器に保存されたVF発症時の心内電位記録を比較検討し, この2群のVF発症と再分極過程の関連を検討した.Brugada症候群においては, 器質的心疾患患者におけるVFに比較し, VFを誘発する心室期外収縮 (PVC) の連結期は短く (Brugada群: 360±52msec, 器質的心疾患群: 446±91msec, p<0.01) またこの連結期とR-R間隔はより密接に関連していた.またBrugada症候群では, このR-R間隔で補正した連結期 (385±40msec) と安静時の補正QT時間 (420±30msec) との比較から, 比較的遅い時相で出現するPVCからVFに移行することが示された.Brugada症候群におけるVFはある特定のPVCから開始し, その発生の時相はT波後半成分に相当し, 再分極過程と密接に関連していると考えられた.
feedback
Top