心筋L型Ca
2+チャネルに対する作用を指標として, 2種の一酸化窒素 (NO) 供与体と2種の硝酸薬の作用を比較検討した.アフリカツメガエル卵母細胞に心筋L型Ca
2+チャネルを発現させ, 発現したチャネルを通過するBa
2+電流に対する各薬剤の作用を観察した.NO供与体である, S-nitroso-N-acetyl penicillamineとsodium nitroprussideはいずれも濃度依存性にBa
2+電流を抑制し, その作用はcGMP依存性蛋白キナーゼ (PKG) 依存性であった.また, ニトログリセリン (NTG) も濃度依存性にBa
2+電流を抑制し, 約100nMで最大抑制を示した (21±5%, n=11) .また同抑制はNO消去薬であるcarboxy-PITOにより消失した.一方, 二硝酸イソソルビド (ISDN) は単純な濃度依存性抑制作用を示さず, 電流は減少または増加した (n=16) , しかし, carboxy-PITO存在下にISDNを作用させると同電流は常に増加し, その増加率は10μMで19.4%であった (n=6) .NTGならびにISDNはNO供与体として発現心筋L型Ca
2+チャネルを抑制する作用を有すると考えられた.また, ISDNはこの作用に加えてNOに依存しないCa
2+チヤネル刺激作用を有すると考えられ, NTGと比較して陰性変力作用が弱いことの一因となっていることが示唆された.
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