心電図
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23 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 山下 武志
    2003 年 23 巻 4 号 p. 299-300
    発行日: 2003/07/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 頼 仲方, 西 勝英
    2003 年 23 巻 4 号 p. 301-312
    発行日: 2003/07/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    クロライド・トランスポーターは, 膜電位の修飾, 細胞内pH, 細胞容積やクロライドのホメオスタシスの調節などの生理的機能に重要な役割を果たすことが以前から知られている.しかし, これまで, 多くの研究に用いられてきた「クロライド・トランスポーター阻害薬」のほとんどは, クロライド・トランスポートの特異的な阻害薬ではなく, 非特異的な作用を有することが明らかになっている.DIDS (4, 4'-diisothiocyanostilbene-2, 2'-disulfonic acid) , SITS (4-acetamido-4'-isothiocyanostilbene-2, 2'-disulfonic acid) , DNDS (4, 4'-dinitrostilbene-2, 2'-disulfonic acid) あるいはDADS (4, 4'-diaminostilbene-2, 2'-disulfonic acid) を含むスチルベン誘導体は, クロライド・トランスポート阻害作用を有するばかりでなく, K+, Na+, Ca2+チャネルなど種々のイオンチャネルに対する抑制作用ももっている.DIDSは, Cl-HCO3-交換系をプロックする濃度で, 電位依存性あるいはCa2+-活性化CI-チヤネル, ATP感受性K+チヤネル, IP3感受性Ca2+チャネル, Na+チャネルを含むいくつかのイオンチャネルの活性化に影響を及ぼすことが示されている.また, 各種の細胞においてクロライド・トランスポーターの特異的な阻害剤とされている9-AC (anthracene-9-carboxylic acid) は, ラット骨格筋細胞においてミオトニーの誘導物質としての作用があることも報告されている.
    したがって, クロライド・トランスポーターには様々な種類があるだけではなく, それに対する阻害薬の作用にも様々な非特異的薬理学的側面があり, これらの阻害薬を用いての生体や細胞生理機能の解析にあっては注意が必要となる.本総説では, クロライド・トランスポーターについての現在までの知見をまとめ, さらにクロライド・トランスポーター阻害薬の特異的, 非特異的な薬理作用について解説することを目的とした, これらの物質を使用して生体や細胞の生理機能を解析するに当たり, 正しい薬理学的解釈が得られることを期待したい.
  • 仁禮 隆, 笠貫 宏
    2003 年 23 巻 4 号 p. 313-322
    発行日: 2003/07/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    陳旧性心筋梗塞における体表面QRST等積分値図, recovery time dispersion (RTd) およびQT dispersion (QTd) の致死的不整脈発生予知に関する有用性について検討した, 陳旧性前壁心筋梗塞166例に対して体表面87単極誘導心電図および標準12誘導心電図同時記録を行った.QRST等積分値図作成, 87誘導RTdおよび標準12誘導QTd計測を行い, 心拍数補正した (RTcd, QTcd) , 追跡調査を72カ月行いKaplan-Meier法にて検討した, 72カ月後の持続性心室頻拍または突然死からの累積回避率は, QRST等積分値図; 単一双極子性98.9%, 多双極子性78.8% (p<0.001) , RTcd; 180ms未満96.4%, 180ms以上54.7% (p<0, 001) , QTcd; 80ms未満92.9%, 80ms以上86.1% (n.s.) であった, 診断精度は, QRST等積分値図; 感度92.9%, 特異度65, 1%, RTcd; 感度71.4%, 特異度89.5%, QTcd; 感度50, 0%, 特異度68.4%であった.以上より, 陳旧性前壁心筋梗塞における致死的不整脈発生予知に関してQRST等積分値図およびRTcdが有用であることが示唆された.
  • 大橋 成孝, 三田村 秀雄, 谷本 耕司郎, 福田 有希子, 杵渕 修, 栗田 康生, 三好 俊一郎, 高月 誠司, 原 幹, 小川 聡
    2003 年 23 巻 4 号 p. 323-331
    発行日: 2003/07/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心房高頻度刺激による電気的リモデリングはCa過負荷によって生じるとされる.心房のCaチャネルにはL型とT型の2種類があるが, リモデリングによってL型CaチャネルはdownregulationするがT型Caチャネルはdownregulationしない.
    そこでT型Caチャネル遮断薬エホニジピンが電気的リモデリングの進行を抑制するかを, イヌ心房高頻度刺激モデルを用いて検討した.
    対象は右心耳に刺激および記録用電極を縫着したビーグル犬18頭.9頭においてエホニジピンを経口投与 (5mg/kg/day) し, 2週後より毎分400回の刺激を開始した.刺激開始直前, および2, 7, 14日目に心房有効不応期 (ERP) を測定し, 対照犬9頭のERPと比較した.
    エホニジピンは心房高頻度刺激2日目以降進行するERPの短縮を有意に抑制した.心房頻脈性不整脈に対するT型Caチャネル遮断薬の有用性が期待できる.
  • 山下 武志, 熊谷 浩一郎, 是恒 之宏, 三田村 秀雄, 奥村 謙, 小川 聡, 内藤 佳津雄, 長嶋 紀一
    2003 年 23 巻 4 号 p. 332-343
    発行日: 2003/07/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心房細動治療方針決定に重要な疾患特異的QOL評価法の確立を目的として, 多施設共同研究を行った.心房細動に関連する質問の網羅, QOLモデル化に従った質問の整理, 質問表の作成を行ったうえで, 心房細動患者205例から回答を収集し質問回答の解析を行った.心房細動に伴う症状に関して持続時間の回答に欠損値が多い一方, 頻度についての回答率は良好で2因子を内包する質問項目と考えられた, 症状の個体感受性は頻度とは異なり1因子で判別される意義を有していた, 精神的側面と日常生活制限に関する質問の回答率も良好で, 4つの異なる因子を内包していた, このような解析に基づき, 欠損値の高い質問の削除, 同一因子に属する重複質問の削除, 回答形式の修正を行い, 26項目の質問項目より構成される心房細動特異的QOL質問表 (AFQLQ) を開発した.このAFQLQは心房細動治療方針の決定において有力なツールとなるものと考えられる.
  • 泉 礼司, 末綱 竜士, 山本 誠一, 赤阪 隆史, 吉田 清
    2003 年 23 巻 4 号 p. 344-349
    発行日: 2003/07/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞の早期診断に標準12誘導心電図は必要不可欠である.しかし, 左脚ブロック例や心室ペーシング例では, 中隔ベクトルが通常と逆方向へ向かうため異常Q波を生じず, 加えて二次的なST-T変化をもきたすため, 心電図からでは心筋梗塞の診断は容易ではない.しかし, DDIペーシング中の心電図にもかかわらず, 急性心筋梗塞の診断と梗塞責任枝の推定も可能であった1例を経験した.
    患者は持続する胸部圧迫感を主訴とする66歳女性.来院時心電図では, 心房心室ペースメーカー調律でI, aVL, V5~6でQRS群 (Rパターン) と同一方向のST上昇を, II, III, aVF, V4ではQRS群 (QSパターン) と同一方向のST下降を認めた.これらの所見より高位側壁梗塞が考えられ, 責任冠動脈は左回旋枝の鈍縁枝 (AHA seg (12) ) と推測され緊急冠動脈造影において同部位の高度狭窄を確認し得た.
    右室ペーシング例といえども, わずかでもQRS群と同一方向のST偏位やT波を認めた場合には, 心電図による急性心筋梗塞の診断も可能と考えられる.
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