心電図
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25 巻, Suppl2 号
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  • 2005 年 25 巻 Suppl2 号 p. 3
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 小菅 雅美, 木村 一雄
    2005 年 25 巻 Suppl2 号 p. 5-13
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞症では初期治療が非常に重要であり, より早期に的確な診断が求められている.心電図からは急性心筋梗塞症の診断のみならずrisk areaや心筋傷害の程度を推測することが可能である.急性前壁梗塞では左前下行枝の閉塞部位が近位部か否かの判別が重症度を予測するうえで重要であり, 近位部閉塞の診断には下壁誘導, 特にIII誘導のST低下が有用とされている.また, aVR誘導のST上昇も近位部閉塞の予測に有用とされているが, aVR誘導のST低下例のなかにrisk areaの広い重症例が含まれる場合があり, 注意を要する.心筋傷害の程度を推測するにあたっては, とかくST上昇度が注目される傾向があるが, ST上昇度だけでは重症度を正確に予測することはできない.T波の形状やR波の減高, 異常Q波にも目を向け心電図を総合的に判断することで, より詳細な重症度判定が可能となる.また, 再灌流前のST上昇の程度が再灌流後にいかに軽減したかを評価するST-segment elevation resolution (ST resolution) は冠微小循環の評価に有用であり, 最近では再灌流療法試験のsurrogate markerとしても広く用いられるようになってきた.しかし, ST resolutionを認める例のなかに梗塞サイズの大きい重症例が含まれる場合があり注意を要する.心電図は簡便かつリアルタイムに心筋傷害を評価することが可能であり, 急性心筋梗塞症の病態の把握や治療効果の判定に有用であると考えられる.
  • 伊藤 浩
    2005 年 25 巻 Suppl2 号 p. 15-35
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    近年, 急性心筋梗塞 (AMI) 症例に対する再灌流療法の目的は, “心筋組織レベルでの血流改善にある”という認識が高まってきている.心筋コントラストエコー (MCE) 法による検討から, 責任冠動脈の再疎通を得ても, no reflow現象を示す症例が少なからず存在すること, かかる症例の心機能改善や予後が不良であることが明らかになってきた.ここに, 再灌流の良し悪しを推定する臨床的指標が求められるゆえんがある.最近, 非侵襲的で簡便な指標として再灌流後の心電図におけるST変化が注目されている.多くのAMI症例では, ST上昇は再灌流後速やかに基線に復し, 陰性T波が出現する.なかには, 再灌流後もST上昇が持続する症例が存在する.大規模臨床試験の結果から, ST持続上昇例の心機能改善や予後はSTが早期に基線に復する例に比べて不良である.ST resolutionと心筋灌流動態の間には相関関係が成り立つことが明らかになってきている.現在, より質の高い再灌流療法をめざして様々な治療法が研究・開発されているが, 臨床の現場で用いるのにST resolutionは簡便な指標である.
  • 坂田 好美
    2005 年 25 巻 Suppl2 号 p. 37-46
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞の予後を規定する因子には, 左室駆出率, 梗塞責任冠動脈開存率, 心筋viabilityの有無などがある.非侵襲的な検査法のなかで, 安静時12誘導心電図は最も簡易で繰り返しできる有用な検査法である.この安静時12誘導心電図を用いて心筋梗塞の予後を判定するいくつかの研究が今までに報告されている.そのなかで, 異常Q波および陰性T波は, 経過を追ってその変化を観察できる所見である.異常Q波に関しては, 急性期には異常Q波が出現しない非Q波心筋梗塞のほうがQ波心筋梗塞より長期予後が良好である.そして, Q波心筋梗塞のなかで, Q波が退行する症例のほうがQ波が残存する症例より心機能の改善が良好であると報告されている.しかし, Q波の退行は長期予後を改善する因子ではないという報告もある, また, 陰性T波は, 急性期には早期に出現する症例のほうが心機能や長期予後が良好であるといわれている, そして, この急性期に出現した陰性T波が早期に消失する症例のほうが持続する症例より心機能の改善が良好であるばかりでなく, 長期予後も良好であると報告されている.さらに, 慢性期のQ波の退行は長期予後の規定因子ではないが, 陰性T波の消失の有無は長期予後規定因子の一つであると報告されている.そして, 慢性期のQ波の退行, 陰性T波の消失の所見は心筋viabilityの存在を示唆する所見と考えられている.このように安静時12誘導心電図は, 最も簡易な非侵襲的検査であるばかりでなく, これによって心筋梗塞後の心機能の改善, 長期予後を予測できる有用な検査法でもある.Q波, 陰性T波などの所見は急性期から慢性期まで経過を追って観察することが重要である.
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