心電図
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26 巻, Suppl4 号
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  • 平岡 昌和
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 3
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 蒔田 直昌, 渡辺 一郎, 住友 直方, 野上 昭彦, 清水 渉, 川村 祐一郎, 堀江 稔, 筒井 裕之
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 5-9
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    近年, Brugada症候群をはじめとする心筋Na+チャネル病の病態が分子レベルで明らかになってきた.しかし, その臨床的重症度は変異の機能異常の程度とは必ずしも一致しないことがある.我々は有症候性Brugada症候群40例中9例心筋Na+チャネル遺伝子 (SCN5A) 変異を同定したが, そのうち5つはチャネルとしては同様に無機能な変異であった.しかしそれぞれのキャリアの臨床像は大きく異なり, 軽微な異常しか示さないものもあった.最近, Brugada症候群に器質的心病変が認められるとの報告がある.Brugada症候群とその類縁疾患の病態は, SCN5Aの電気生理学的な機能異常によつてだけ説明できるのではなく, コネキシンなどを含めたさまざまな遺伝的要因や環境要因による機能修飾の可能性や, 不顕性の心筋炎や心筋症病変の存在なども考慮する必要があると思われる.
  • 高木 雅彦, 相原 直彦, 横山 泰廣, 青沼 和隆, 平岡 昌和
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 10-13
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    特発性心室細動研究会 (J-IVES) にご登録いただいた216例のBrugada症候群症例の臨床的特徴について解析し, 女性症例と男性症例との比較, 女性症例のうち有症候症例と無症候症例の比較検討を行った.女性症例 (14例) は全体の6.5%で, 男性症例 (202例) と比べ電気生理検査 (EPS) での心室細動 (VF) 誘発例が有意に少なく, 突然死の家族歴が多い傾向を認めた.女性症例のうち, 有症候症例 (心停止既往例: 0例, 失神既往例: 3例) と無症候症例 (11例) の比較検討では, 失神既往例で突然死の家族歴, EPSでのVF誘発例, 薬物負荷陽性例がむしろ少ない傾向を認めた.女性例が少ないものの, Brugada症候群は男女間で臨床的特徴が異なる可能性が示唆された.
  • 横山 泰廣, 高木 雅彦, 相原 直彦, 青沼 和隆, 平岡 昌和
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 14-19
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    特発性心室細動研究会 (J-lVFS) に登録されたブルガダ症候群216例のうち, ピルジカイニド静注による|群薬負荷試験が施行された89例 (年齢51.2±15.2歳, 男性87例, 有症候性44例) の試験結果と臨床症状, 心事故発生との関連を調査した.ピルジカイニド負荷試験陽1生の判定はtype 1心電図への変化をヨーロツパ心臓病学会 (ESC) 基準, type 1心電図への変化またはJ波高のさらなる上昇≧2mmをJ-IVFS基準とした.J-IVES基準はESC基準より多くの有症候性例を検出し, 心事故発生例も多く検出する傾向にあった.有症候性例をより多く検出するJ-IVFS基準の方がブルガダ症候群の心電図診断を補助するI群薬負荷試験の判定に適していると考えられる.また, I群薬負荷試験を行いtype 1心電図への変化を認めない場合でも, J波高がさらに≧0.2mV上昇し, 有症候性であるブルガダ型心電図症例は慎重な経過観察が必要である.
  • 鈴木 剛, 中里 祐二, 西澤 寛人, 土屋 洋人, 佐々木 玲聡, 中里 馨, 安田 正之, 戸叶 隆司, 代田 浩之
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 20-25
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は49歳女性.繰り返す失神発作のため当科を受診, 来院時の心電図は心房粗動で左軸偏位・不完全右脚ブロツクを呈していた.電気生理検査時, 心房粗動停止後に洞結節回復時間の延長を認めたため洞機能不全と診断した.またHV時間も75msecと延長しており, DDDペースメーカーを植込んだ, 8カ月後, 失神発作再発のため来院時にV1~V3誘導でST上昇を示し, 心室細動を認めたため, Brugada症候群と診断した, 植込み型除細動器植込み後, 36ヵ月間経過したが再発作はない.本例は失神発作を伴う洞不全症候群のため, ペースメーカー治療がなされたが, その後再度心室細動による失神発作を認め, Brugada症候群と診断されたまれな1女性例である.
  • 中野 由紀子, 尾木 浩, 三好 美和, 小田 登, 末成 和義, 山本 佳征, 石橋 堅, 平位 有恒, 沖本 智和, 茶山 一彰
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 26-29
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    【症例1】24歳の女性, 16歳時体育でグラウンドを走つた後, 突然心肺停止した, その後蘇生されたが蘇生後脳症となっている.今回, 一過性に意識消失を認め, 12誘導心電図にてBrugada型心電図を認めたため当科に紹介された.父親, 姉および祖母にもBrugada型心電図を認めたが意識消失の既往はみられない, 父親の検査で, Brugada症候群と診断されたら父親と本人にICDを植込んで欲しいと希望があったため電気生理検査を施行した.ピルジカイニド負荷陽性で右室流出路からのプログラム刺激にて心室細動 (VF) が誘発されたためICD植込みを行った.【症例2】63歳の女性.昼食後に突然意識消失したため, 近医に搬送された.12誘導心電図にてcoved型のBrugada型心電図を認め, 日内, 日差変動が激しいため当院に紹介された.ピルジカイニド負荷陽性で, 右室流出路からのプログラム刺激にてVFが誘発されたため, ICD植込みを行った.Brugada症候群は女性の頻度が少ないとされており, 実際, 当院にてBrugada症候群と診断あるいは診断後に紹介された29例のうちでも2例と稀なため今回紹介した.
  • 辰本 明子, 水澤 有香, 小宮山 浩大, 弓場 隆生, 谷井 博亘, 小泉 章子, 板倉 英俊, 田邊 康宏, 山口 博明, 呉 正次, ...
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 30-35
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例1: 42歳女性.27歳より洞不全症候群 (SSS) ・心房頻拍あり, ペースメーカー (PM) 植込み術施行.2001年42歳時, 右側胸部誘導でcoved型ST上昇を認め, ピルジカイニド (PIL) 負荷にて心室粗動が出現した, 突然死の家族歴もあり, PMを植込み型除細動器 (ICD) へ変更した.症例2: 症例1の長女.2004年14歳時, 心房粗動 (AFL) を発症し, カテーテルアブレーション (RFCA) を施行した.電気生理検査 (EPS) でSSSを認め, PIL負荷ではcoved型ST上昇が認められた.症例3: 49歳女性.症例1の姉.39歳よりSSS.2005年saddle-back型ST上昇を認めた, PIL負荷にてcoved型ST上昇を経て心室細動 (VF) が出現した.AFLも認めRFCAを行った.SSSの存在, 家族歴PILに対する反応性を考慮し, ICD植込みを行った.1家系内の姉妹・母娘で, Brugada症候群とSSS・上室性頻拍を合併して認めた報告はなく, まれと考えられる.
  • 田中 泰章, 山分 規義, 仁木 沙織, 林 達哉, 宮地 浩太郎, 藤井 洋之, 足利 貴志, 西崎 光弘, 櫻田 春水, 平岡 昌和
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 36-41
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は42歳, 女性.健康診断で心電図異常を指摘され当院を受診した.12誘導心電図で不完全右脚ブロツク, V1, V2誘導でcoved型, V3誘導でsaddle-back型のST上昇を認めたためBrugada症候群の疑いで精査入院となった.失神等の自覚症状はなかった, 父親が48歳時に昼食前後に2度失神, 同日の夕食時に心肺停止となり死亡していた.長女はWPW症候群, 妹も心室性期外収縮の頻発を指摘されていた, 加算平均心電図は陽1生であり, トレッドミル検査では最大負荷でJ点の減高を認めた.ピルジカイニド負荷試験ではV2誘導でSTがB大4mmの増高を示し, coved型から単相型 (Box like) へ変化し, QT時間短縮を認めた.またV3誘導もcoved型へ変化した.759経ロブドウ糖負荷試験中の心電図ではV2誘導のJ点が約1mm上昇した.心臓電気生理検査で心室細動が誘発されたため, 植込み型除細動器植込み術を施行した,
  • 高木 明彦, 中沢 潔, 岸 良示, 長田 圭三, 龍 祥之助, 松田 央郎, 藤田 禎規, 三宅 良彦, 桜井 庸晴, 松本 直樹
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 42-47
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Brugada症候群の姉妹における2症例を報告する, 家族歴としては, 母親に心房期外収縮が多発し, 同胞 (男性) が31歳で就寝中に突然死している, 症例1 (次女) は現在39歳.10歳時より不整脈を指摘され, 13歳時に最初の失神を認めた, 明らかな心疾患はなく, 洞不全, 発作性心房粗動 (AFL) , 心室細動が確認された, ペースメーカー治療と薬物治療が行われたが, AFLによる症状が著明となり, 26歳時にカテーテルアブレーション (CA) による房室ブロック作成術を追加した.症例2 (長女) は現在46歳.明らかな既往歴はなかったが, 33歳時より動悸と前失神症状を認めるようになった.電気生理検査でAFLが誘発されたためCAを施行したが, 42歳時に明確な失神発作を認めた.この姉妹にピルジカイニド負荷を施行したところ, 右側胸部誘導のJ点上昇が誘発された.失神歴, 突然死の家族歴, ピルジカイニド負荷の結果より, Brugada症候群の家系と判断した.
  • 坂部 茂俊, 笠井 篤信, 角田 健太郎, 仲田 智之, 坂井 正孝, 大西 孝宏, 西山 敦, 説田 守道
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 48-52
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    濃厚な突然死の家族歴をもつBrugada症候群女性例を経験した.【症例】53歳女性.【主訴】意識障害.【家族歴】父: 41歳時突然死.兄: 21歳時突然死, 【現病歴】2003年4月6日午前8時ころ, 胸部不快感を訴えN市立病院救急外来を受診した.診察中に突然意識消失し, 心電図モニターで心室細動 (VF) が認められたため電気的除細動を受けた, 除細動直後の心電図は心房細動で, V1~V3誘導にcoved型のST上昇, II, III, aVF誘導にST低下が認められた.心エコー検査, 冠動脈, 左室造影検査で異常所見なく, Brugada症候群と診断された.VFからの蘇生例であり植込み型除細動器 (ICD) を植込んだ.Brugada症候群の男女比は8~10: 1とされており, 女性に少ないことが知られている, 特に臨床的に心室細動が認められた女性例はまれであると思われたため報告する.
  • 古山 准二郎, 本田 俊弘, 小田川 幸成, 本田 喬
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 53-58
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Brugada症候群は男性に好発し, その発症に性差の存在が知られている.今回我々は, 濃厚な男性突然死の家族歴を有する女性Brugada症候群の長期予後を観察しえた.症例は58歳 (症例1) , 63歳 (症例2) の姉妹およびその母親 (症例3) である.発端者である症例1の伯父 (母親の兄) , および症例1, 2 (姉妹) の兄弟3名は夜間に突然死をきたしていた.症例1はcoved型のST上昇を示す典型的なBrugada型心電図波形を有するものの無症状であり, 症例2はピルジカイニド負荷後にのみBrugada型心電図波形を示すが, やはり無症状であった, 症例1, 2はその後2年間の経過観察にてなんらの症状も認めなかった.症例3は心電図の確認はないが, 複数回の尿失禁を伴う意識消失を繰り返したものの88歳まで生存した.このBrugada症候群の1家系に認められた各男女メンバーの臨床経過は, この症候群における予後の著しい性差を典型的に示すものであつた.
  • 加藤 律史, 松本 万夫, 飛梅 威, 須賀 幾, 西村 重敬, 秋間 崇, 濱部 晃, 高瀬 凡平
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 59-63
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    当院で植込み型除細動器 (ICD) の植込みを施行したBrugada症候群8例中1例で, 女性による症例を経験した.本症例では発熱により特徴的な心電図変化を示し, 興味深い症例と思われたので報告する.症例は61歳女性.4年前に発熱のため近医を受診, その際心電図上右側胸部誘導にてST上昇を指摘され, 大学病院を紹介, 精査目的で入院した.入院後, 心電図変化は正常に復しており, 運動負荷試験, 加算平均心電図等に異常所見を認めなかった.冠動脈造影も異常なかったが, 引き続き施行したピルジカイニド負荷試験にて, 近医での発熱時と同様のcoved型ST上昇を右側胸部誘導にて認め, イソプロテレノールの点滴にて正常に復した.その後に施行した右室からの3連発早期刺激では多形性心室頻拍から心室細動が再現性をもって誘発され, 蘇生の既往はないものの無症候性Brugada症候群と診断し, 患者の希望もありICD植込み術を施行した, 以後ICDの作動はない.発熱にてBrugada型心電図変化が惹起された興味深い女性症例と考えられた.
  • 奥山 裕司, 岡 崇史, 平山 篤志, 児玉 和久
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 64-67
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    発作性心房細動治療によつてST上昇が誘発された壮年女性症例を経験した, 【症例】57歳女性.数年前から発作性心房細動があり, 近医で加療していた.心房細動発作停止目的でピルジカイニド50mgを静注したところ右胸部誘導で著明なST上昇が出現したためBrugada症候群を疑われ, 当科紹介受診となった.失神の既往, 突然死の家族歴はなく, 受診時の心電図ではV2誘導でRSr'パターンを呈したが, 明らかなST上昇は認められなかった.右室心尖部・右室流出路で頻回刺激・早期刺激を無投薬およびピルジカイニド負荷後に行ったが, 心室性不整脈は誘発されなかった.また心房頻回刺激・単発早期刺激では心房細動・反復性心房興奮は誘発されなかったが, ピルジカイニド静注後には反復性心房興奮が誘発された.心臓突然死の可能性は高くないと判断し, 外来経過観察を行っている.約3年の経過で問題となる心事故なく経過している.【まとめ】ピルジカイニド負荷後も心室性不整脈は誘発されなかった.Brugada症候群では心房細動の合併率が高いことが知られており, ピルジカイニドが心房の不整脈基盤をも修飾する可能性が示唆された.
  • 福田 浩二, 熊谷 浩司, 若山 裕司, 菅井 義尚, 遠藤 秀晃, 下川 宏明
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 68-72
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は51歳女性.特発性右室流出路由来の心室性期外収縮, 前胸部誘導の軽度ST上昇で当科紹介.生来健康, 失神の既往・突然死の家族歴なし.各種画像診断で異常所見なし.ピルジカイニド負荷でcoved型ST上昇を認め, Brugada型心電図と診断.また加算平均心電図における遅延電位は陽性.Electroanatomical mapping下に電気生理検査を施行, 洞調律時のsubstrate mappingにて右室流出路興奮伝播遅延を認めた, その一部のpre-potential様の電位が認められる部位のカテーテルアブレーションにて心室性期外収縮は消失した.引き続き行った心室早期刺激で心室頻拍・心室細動は誘発されなかった.Brugada症候群において右室流出路心外膜側興奮伝播遅延の存在を示唆する報告はある, 今回の症例は心内膜側における興奮伝播遅延を認めた貴重な症例として報告する.
  • 田上 和幸, 石塚 竜太郎, 吉田 健太郎, 山崎 浩, 黒木 健志, 久賀 圭祐, 青沼 和隆, 山口 巖, 馬場 良
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 73-78
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    56歳女性, 健康診断でBrugada症候群が疑われ, 当院初診となった.V1, V2にcoved型の3mmのST上昇, V3にsaddle-back型2mmのST上昇を認め, type l Brugada型心電図と判定された.運動負荷後にV1, V2のcoved型ST上昇は5mmに増悪し, 上方軸, 左脚ブロツク型の心室性期外収縮 (VPC) の頻発と, 心拍数200/分の非持続性心室頻拍 (NSVT) が出現した.また電気生理検査 (EPS) で右室心尖部, 右室流出路からの3連発のプログラム刺激を行ったが, 心室細動 (VF) は誘発されなかった.さらに三尖弁直下, 右室基部中隔側起源の頻発する単形性VPCに対し通電を行った, 治療後においては運動負荷でもVPCの出現はなく, NSVTも認めなくなった.これによりBrugada症候群において致死性心室性不整脈のtriggering VPCへのカテーテルアブレーションが有効な治療法となり得ることが示唆された.
  • 阿部 敦子, 池田 隆徳, 柚須 悟, 中村 健太郎, 米良 尚晃, 石黒 晴久, 塚田 雄大, 三輪 陽介, 宮越 睦, 榊 桂, 四倉 ...
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 79-84
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Ic群抗不整脈薬はBrugada症候群の心電図波形を顕在化させる作用がある.本研究の目的は, 発作性上室性不整脈 (P-AT) 患者においてIc群薬が投与された際のBrugada型心電図を呈する患者の頻度を評価することである.対象はP-ATに対してIc群薬が使用された連続602例であった, P-ATの内訳は心房細動501例, 心房粗動91例, 上室頻拍10例, Ic群薬の内訳はプロパフエノン335例, ピルジカイニド245例, フレカイニド22例であった.Brugada型心電図の定義は, lc群薬投与後にV1またはV2誘導においてJ点で0.2mm以上のST上昇を示した場合を定義1, その変化に加えてcoved型変化を示した場合を定義2とした.定義1の変化を示したのは38例 (6.3%) , 定義2 (典型的Brugada型心電図) を示したのは9例 (1.5%) であった.これらの患者では現在もIc群薬投与が続行されているが, 失神を含めて不整脈イベントは認められていない.Ic群薬投与でBrugada型心電図を示すP-AT患者の頻度は比較的高いが, 予後は良好と思われる.
  • 芦野 園子, 渡辺 一郎, 小船 雅義, 川内 千徳, 山田 健史, 小船 達也, 大久保 公恵, 橋本 賢一, 進藤 敦史, 杉村 秀三, ...
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 85
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 手塚 尚紀, 野呂 眞人, 久次米 慎吾, 森山 明義, 沼田 綾香, 熊谷 賢太, 酒井 毅, 中江 武志, 坂田 隆夫, 杉 薫
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 86-90
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Brugada症候群において, ハイリスク群の正確な抽出に有用な検査方法はいまだ確立されていない.そこで, 臨床症状の有無に関係なく, Brugada型心電図を呈する症例65例を対象に, Na+チャネル遮断薬であるピルジカイニド1mg/kg/10minを静注し検討した, Wildeらのtype分類に基づき, type 2または3から明らかにtype 1へと変化した症例および負荷前にtype 1であった症例を心電図陽性と定義した.また静注直後に, 非観血的検査として心室脱分極異常を表す心室遅延電位 (LP) を記録し, それらの陽性率を検討した.心電図が陽性の症例は65例中23例 (35%) であった.ピルジカイニド静注前後のLPの変化は以下のとおりであった.LP (-) → (+) 37例 (57%) , (+) → (+) 13例 (20%) , (-) → (-) 15例 (23%) , (+) → (-) 0例であり, ピルジカイニド静注後のLP陽性率は77%と高率であった.また, 65例のうち電気生理検査 (EPS) まで施行した症例は20例 (31%) で, うち17例 (85%) において心室細動 (VF) が誘発された.この17例において, ピルジカイニド静注後のLP陽性例は17例 (100%) であったのに対し, 著明なtype 1への心電図変化を伴ったものは8例 (47%) であった.ピルジカイニド静注による変化の検討から, 心電図変化例 (type l ST上昇を示す症例) よりもLP陽性への変化を示す症例においてVFの誘発が高く, 心事故を高率に生じる可能性が示唆された.
  • 溝渕 正寛, 円城寺 由久, 山本 龍治, 柴田 兼作, 小野 剛, 舩津 篤史, 横内 到, 上林 大輔, 小林 智子, 中村 茂
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 91-96
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    【背景】Brugada症候群のリスク層別化に心室遅延電位 (late potential: LP) の有用性が報告されている.Brugada症候群において, LP陽性は73%程度の発生率との報告があるが, LP陰性例でも失神歴, 電気生理検査 (EPS) でのVF誘発性などを有するハイリスク症例が存在しており, このような症例の検出法の確立が望まれる, 【目的】Brugada型心電図患者のピルジカイニド負荷加算平均心電図 (P-SAECG) によるリスク評価の有用性を検討する.【方法】Brugada型心電図と診断された患者41例 (平均年齢56.3歳, 男性75.6%) 中39例に対し加算平均心電図 (SAECG) を施行, LP陰性例では, さらにP-SAECGを施行し, 再度LPを測定.EPSでのVF誘発性, もしくは失神歴との関連を検討した.【結果】P-SAECGでのLPは, VF誘発1生に対し, 感度 (SE) 100%, 特異度 (SP) 16.7%, 陽性的中率 (PPV) 66.7%, 陰性的中率 (NPV) 100%であった.同じくP-SAECGにおいてVF誘発もしくは失神歴に対してはSE100%, SP20.0%, PPV75.0%, NPV100%であった.さらに, ピルジカイニド負荷下においてのみ, VF誘発群で有意にRMS40の低下 (9.12±4.47μV vs.15.5±14.2μV: p<0.05) が認められた.【結論】Brugada型心電図症例のリスク評価にピルジカイニド負荷SAECGが有用である可能性が示唆された.
  • 伴場 主一, 草野 研吾, 中村 一文, 永瀬 聡, 渡邊 敦之, 西井 伸洋, 三浦 大志, 森田 宏, 櫻木 悟, 大江 透
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 97-101
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    【背景: 】欧米ではBrugada症候群の15%にSCN5A遺伝子変異が存在すると報告されている.【方法と結果】Brugada症候群60例に対し, SCN5A遺伝子変異の解析を行い, ピルジカイニド負荷前後で心電図, 電気生理検査 (EPS) における各種測定値につき保因者と非保因者とで検討を行った, 遺伝子解析の結果, 11例にSCN5A遺伝子変異を認めた.両群で臨床的背景, 心電図上の計測値に差はなく, EPSでの心室細動誘発率にも差を認めなかった.ピルジカイニド負荷前後に変異群9例と陰性群43例でEPSを施行した.負荷前よりHV間隔は変異群で有意に延長し, 負荷後には変異群でPQ時間, QRS幅は有意に延長した.ROC曲線を用いた検討で特にQRS幅の増加率はSCN5A遺伝子変異の検出に有用な指標であった.【結論】ピルジカイニド負荷試験は脱分極異常を顕在化し, SCN5A遺伝子変異の検出に有用である可能性が示唆された.
  • 上山 剛, 清水 昭彦, 吉賀 康裕, 沢 映良, 鈴木 慎介, 杉 直樹, 松崎 益徳
    2006 年 26 巻 Suppl4 号 p. 102-106
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Na+チャネル遮断薬負荷試験と電気生理検査 (EPS) を行った51例を対象に, 負荷前後の心電図と心室細動 (VF) の誘発性について検討した.薬物負荷試験はピルジカイニド (1mg/kg/10min iv) を用い, 負荷後に高位肋間誘導を含めてtype 1 ECG (2mm以上のcoved型ST上昇) を呈するものを陽性と判定した.VF誘発試験は, 右室心尖部と流出路から異なる基本周期にて最大3連発期外刺激まで施行した.薬物負荷試験により35例がtype 1 ECGを呈し陽性と判定され, 残る16例は陰性 (AN〔After test negative〕群) と判定された.負荷試験陽性35例のうち, 16例は負荷前よりtype 1 ECG (BP〔Baseline positive〕群) を呈し, 19例は負荷後にtype 1 ECG (AP〔After test positive〕群) を呈した.コントロールでVFは, BP群12例 (75%) , AP群13例 (68%) で誘発され, AN群2例 (13%) であった.β遮断薬ないしNa+チヤネル遮断薬投与下では, BP群15例 (94%) , AP群15例 (79%) でVFが誘発され, AN群2例 (13%) であった.薬物負荷試験によりtype 1 ECGを示さない症例においては, VF誘発性に対するnegative predictive valueが高い (88%) ことが示された.
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