カテーテルアブレーションの適応となる頻脈性不整脈のうち, 右房心内膜からのアプローチで効果が得られない一部の症例に対し, 経大動脈アプローチにより大動脈弁尖周囲に通電することがある.しかし, 同部位の組織学的構築は複雑で, 詳細な解剖学的検討は少ない.剖検心9例 (平均64, 0歳, 平均心重量349.49, 平均大動脈径24.2mm) を用いて各弁尖周囲の組織学的特徴を観察した.右冠尖と左冠尖には右室流出路中隔部と左室流出路心筋が接していた.それに対して無冠尖周囲は心室筋を認めず, 上方に両心耳とBachmann束, 同レベルに房室弁輪組織, 下方は膜性中隔を介してHis束が位置していた.カテーテルアブレーション施行時にはこれらの解剖学的特徴の認識が必要であると考えられた.
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