アミオダロンは,K
+チャネル遮断作用ばかりでなく,Na
+チャネルやCa
2+チャネル遮断作用,交感神経抑制作用,甲状腺機能修飾作用などを有する.静注薬は,生物学的利用率が50%程度の低い経口薬と異なり,集中治療や緊急治療が必要な患者に確実な薬物投与を可能にした.
アミオダロン静注の利点は,多彩な薬理作用を有していることと血行動態,心機能に関係なく使用できることにある.その薬理作用は急性作用と慢性作用とでは異なり,急性作用はNa
+チャネル,Ca
2+チャネルの遮断作用が主で,K
+チャネル遮断作用はI
Krの抑制が優位といわれ,交感神経抑制作用も絡む.とくに低心機能,心不全例に伴うリエントリー性不整脈の抑制効果が期待されるとともに,トリガー性不整脈の抑制効果も認められる.
問題点としては,血圧低下と徐脈があげられる.緊急治療を要する例は血行動態が不安定で,なかにはショックをきたす例もある.また,QT間隔など心電図パラメータの変化が乏しく,薬理効果のモニタリングが困難である.さらに,血中アミオダロン濃度は,同じ用量で持続静注を行っていても時間とともに変化が認められ,薬物動態が複雑でその予測が難しいことがあげられる.
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