Brugada症候群は就労世代の男性の突然死を引き起こす可能性があるため,循環器領域のみならず産業衛生や予防医学の面からも大きな問題となっている.近年携帯型のイベントレコーダーが普及しつつあるが,Brugada症候群の管理面における有用性は明らかでない.今回無症候性でBrugada型心電図を呈する男性8名(平均年齢52.4±8.7歳)を対象に,イベントレコーダー(EP-202)で胸部V
2誘導と高位肋間での心電図を記録し,使用法を説明した後,定時的に胸部V
2誘導心電図の自己記録を行った.イベントレコーダーで記録された高位肋間でのSTレベルは通常の胸部V
2誘導より有意に増高し,(0.163±0.083 vs. 0.119±0.065 mV, p<0.006),胸部V
2誘導でのSTレベルは明らかな日内変動を認めなかった(p>0.235).ただし20時と就寝前の比較では,その間に夕食を取った5例で就寝前にSTレベルが有意に増高していた(0.170±0.045 vs. 0.110±0.041 mV, p=0.004).以上の結果より,イベントレコーダーは被験者が正確に定時的な胸部での心電図記録を行うことにより,Brugada症候群のリスク管理に一定の役割を果たしうると考えられた.
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