心電図
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29 巻, 4 号
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Editorial
総説
  • 小畑 俊男
    2009 年 29 巻 4 号 p. 273-280
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/13
    ジャーナル フリー
    マイクロダイアリシス法を用い,ラット心筋における組織間液中アデノシン濃度を測定した.アデノシンの濃度は 260 nmによる紫外可視分光器を導入した高速液体クロマトグラフ(HPLC)法により測定した.AMP(100 μM)を灌流するとアデノシンの濃度は~ 9 μMまで上昇し,定常状態となる.エクト-5'-ヌクレオチダーゼの特異的阻害薬であるα,β-メチレンアデノシン5'-ジホスフェイト(AOPCP)100 μMを灌流させるとアデノシンの濃度は~ 0.5 μMにまで低下するが,AOPCPを取り除くとアデノシンの濃度は回復する.AMP(10~ 1,000 μM)をマイクロダイアリシスプローブ中に灌流させると濃度依存性にアデノシン産生量は増加し,ラット心筋を用いた場合その Km値は 107.2 μMであった.この値はサイトソリック-5'-ヌクレオチダーゼ(3mM)に比べてかなり小さく,エクト-5'-ヌクレオチダーゼ(20 μM)に近い値を示した.このように 100 μM AMP灌流下で得られるアデノシンの濃度は,エクト-5'-ヌクレオチダーゼの活性を反映している.
原著
  • 藤本 学
    2009 年 29 巻 4 号 p. 281-288
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/13
    ジャーナル フリー
    【背景】睡眠時無呼吸症候群(SAS)では,無呼吸の周期と心拍の揺らぎの周期が近似すると報告されている.今回,心拍変動(HRV)のフラクタル解析を用いて,SASの存在を明らかにすることが可能であるかを検討した.【方法】対象は,SAS患者 15例.男性 13例,女性 2例.平均年齢 72歳.ホルター心電図および睡眠時無呼吸検査をSASの治療前後に行った.基本の心調律は全例洞調律.HRV解析は,フラクタル次元を求める手法にて表示した.【結果】無呼吸低呼吸指数はすべての患者で 20以上であった.HRV解析の結果,すべての症例で 0.01~ 0.04 Hzの周波数帯域において異常なパワー値の上昇を認めた.SASの治療後,この異常なパワー値の上昇は減少もしくは消失した.【結語】異常なパワー値の増加は SASの呼吸の揺らぎを反映していると考えられ,これを確認することは SASの存在を予見し,かつ治療効果を確認するうえで,有効と考えられる.
Editorial Comment
原著
  • ―Variability ratioを用いた検討 ―
    楠木 啓史, 栗木 万里奈, 堀尾 佳世, 細井 光沙, 松浦 秀哲, 藤野 正之, 宮田 昌史, 山崎 俊夫, 長岡 俊治, 安田 東始哲 ...
    2009 年 29 巻 4 号 p. 290-297
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/13
    ジャーナル フリー
    【目的】乳幼児から二次性徴前の児童における心周期と心室筋再分極過程の変動を variability ratio(VR)から評価し,年齢による変化について検討した.【対象】心疾患を有さない乳児から就学時までの児童176名を, I群(生後0~6ヵ月,17名),II群(生後7~11ヵ月,21名),III群(1歳,28名),IV群(2~3歳,37名),V群(4~5歳,36名),VI群(6~7歳,37名)の6群に分類し比較検討した.【方法】安静時心電図から 120心拍の RR間隔と QT時間の計測を行い,RR間隔の標準偏差(SDRR)とQT時間の標準偏差(SDQT)から VRを算出し,月齢との関係を求めた.【結果】各群でVR,SDRR,SDQTに性差を認めず,VRは年齢とともに減少し就学時には一定の値となった.年齢別基準値を用いることにより,自律神経系の生後発達を評価できる可能性が示唆された.
症例
  • ―AED活用に関する考察を含めて―
    杉山 裕章, 今井 靖, 藤生 克仁, 岩田 洋, 平田 恭信, 永井 良三
    2009 年 29 巻 4 号 p. 298-305
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/13
    ジャーナル フリー
    症例は 22歳,男性.心疾患既往,突然死家族歴ともになし.大学構内でアメリカン・フットボール練習中に心肺停止となり救急要請後,自動体外除細動器(AED)にて蘇生された.心電図,心エコー,心臓 MRIはほぼ正常であり,冠動脈 CTでも特記すべき病変なし.電気生理学的検査では致死性不整脈は誘発されず,ピルジカイニド負荷試験も陰性であったが,electroanatomical(CARTO™)mappingで右室流出路に低電位領域を認め,心室遅延電位も陽性を示した.スポーツ種などからは心臓震とうが考慮されたが,不整脈原性右室心筋症をはじめとする心疾患も完全には否定できず,本人・家族の希望もあり植込み型除細動器(ICD)移植の方針とした.その後1年半の経過観察で,計 4回の ICD適正作動を認めている.本症例は運動中の突然死予防,AED設置拡充および競技関係者への心肺蘇生法普及を考えるうえで種々の示唆に富むと思われる.
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心電学マイルストーン
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