急性心筋梗塞発症2~3週間後の心室性期外収縮 (PVC) を評価するため24時間ホルター心電図, 心プールシンチグラフィー, そして運動負荷試験を行った。初回梗塞患者 (第1群) 92例と再梗塞患者 (第2群) 24例を比較すると, 運動負荷試験の陽性率, 心プール平衡時法により得られる駆出分画, 局所壁運動異常の程度 (Normal, Hypokinesis, Akinesis, Dyskinesis) の分布には両群に差はなかった。局所壁運動異常を示す部位を1ヵ所以下と2ヵ所以上に分けると, 第2群で2ヵ所以上の局所壁運動異常を示す頻度が高かった (p<0.05) 。24時間ホルター心電図により得られるPVCを比較すると, 第1群で18%の患者にcomplex arrhythmia (Lown class IV-V) , 第2群では46%に認め, 再梗塞群は初回梗塞群に比してcomplex arrhythmiaをきたす頻度が高かった (p<0.01) 。また24時間中の総PVC数も再梗塞群で有意に多く認めた (p<0.005) 。しかし, 梗塞の既往が個々の症例におけるPVCの重症度を予測しうるかにつき検討するため, 他の5因子 (年齢, 駆出分画, 局所壁運動異常の程度, 部位数, 運動負荷試験の成績) とともに多変量解析を行ったところ, PVCの重症度と梗塞の既往は偏相関係数が0.11ときわめて低く, しかもこれら6因子の寄与率が16%と非常に小さかった。従って, PVCの重症度と非観血的に得られたこれら諸因子とは, ほとんど関連のないことがわかった。
急性心筋梗塞発症後, 入院後期におこる心室性期外収縮 (PVC) は, 退院後の予後に対する重要因子である。さらに, 再梗塞患者では初回梗塞患者に比べ, より重篤なPVCをきたすことが指摘されている。
本研究では, 急性心筋梗塞入院後期のPVCの成因を評価するため, 24時間ホルター心電図, 心プールシンチグラフィー, そして運動負荷試験の3種の検査をほぼ同時期に行い, 初回梗塞患者と再梗塞患者の比較を中心に, PVCと他の諸因子との関連を検討した。
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