虚血性心疾患90例〔狭心症 (AP) 46例, 陳旧性心筋梗塞症 (OMI) 44例〕に体表面36誘導法による運動負荷試験: を行い, その所見と同時に記録した12誘導変法各誘導のST偏位と比較し, 運動負荷試験の際の最適誘導法について検討を行った。ST下降のみを示した48例 (AP 31例, OMI 17例) にては, ST下降はV
5誘導で47例 (98%) 検出可能であった。ST上昇例42例 (AP15例, OMI27例) のST上昇の検出にはV
5誘導の価値は少なく, 右側胸部誘導およびその上方の誘導や、VL誘導, あるいは下方誘導や背面の誘導に注目する必要があった。ST上昇に同時に伴うST下降30例 (AP 15例, OMI 15例) の検出にも同様の誘導に注目する必要があった。虚血性心疾患の運動負荷心電図誘導法はST偏位の方向別に検討する事が大切で, それにより陳旧性心筋梗塞症の偽陰性を減じ, またST上昇に伴うST下降の意義の解明に資する可能性が示唆された。
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