心電図
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30 巻, 4 号
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原著
  • 鈴木 淳, 清水 一寛, 小川 剛史, 黒須 巧, 野池 博文, 東丸 貴信
    2010 年 30 巻 4 号 p. 289-297
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
    冠攣縮性狭心症(CSA)の発作は一過性であり,非発作時の心電図はそのほとんどが正常であるため,通常,自然に発生した発作をとらえることは困難な場合が多い.しかし,発作時の心電図が記録できるイベントレコーダーを用いることにより,CSAの発作をとらえることが可能になると考えられる.そこで,イベントレコーダーがCSAの診断に有用であるか否かを検討した.対象は,ループメモリー式イベントレコーダー(CG-6106)を使用したことによりCSAと診断,あるいは治療が開始された患者38例(男性18例,女性20例),平均年齢58.5±11.7歳(35~80歳)である.虚血性心電図変化が認められたのは157イベントのうち52.2%であり,所見を認めるまでに平均57.5±55.0時間を要した.所見はST上昇13例,ST低下21例,T波変化11例,陰性U波の新規出現7例であった(重複あり).ループメモリー式イベントレコーダーを用いたことにより,CSAの診断に重要なCSAの発作をとらえることに成功した.すなわち,ループメモリー式イベントレコーダーはCSAの早期診断,早期治療に有用である可能性が示唆された.
  • ―心筋リアノジン受容体について―
    川村 美朋子, 長岡 伊織, 道智 賢市, 西尾 由貴子, 伊藤 英樹, 木村 紘美, 宮本 証, 水澤 有香, 地藤 優子, 石田 勝也, ...
    2010 年 30 巻 4 号 p. 298-305
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
    本研究は,臨床的にカテコラミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT)が疑われる20例とその家族12例を対象に,心筋リアノジン受容体(RyR2)の遺伝子解析を行った.またRyR2遺伝子異常の有無による臨床症状の相違について検討した.発端者20例のうち9例(同定率:45.0%),家族12例のうち3例(同定率:25.0%)においてRyR2の遺伝子変異を認めた.
    RyR2変異を認めたCPVT患者には二方向性心室頻拍(bVT)が有意に多く(感度:77%,特異度:72%),QT間隔の延長のないQT延長症候群(特にtype1)との区別に有用と考えられた.またRyR2の遺伝子変異を有するCPVT患者において心房不整脈が有意に認められ,RyR2と若年性の心房不整脈の関与が示唆された.
Point of View
心電学マイルストーン
心電図講義
特集 座談会 心室頻拍・心室細動に対するアミオダロンの使い方―静注薬を中心として―
  • 神谷 香一郎
    2010 年 30 巻 4 号 p. 337-343
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
    不整脈薬物治療に関する注目すべき最近の話題は,我が国でもアミオダロン静注薬が承認され(2007年),経口投与と静脈内投与双方の使用が可能になったことである.日本循環器学会による「不整脈薬物治療ガイドライン(2009年改訂版)」においても,心室頻拍・細動などの重症心室不整脈に使用すべき薬剤として,アミオダロンが高い優先順位で記載されている.アミオダロンの心臓薬理作用の特徴は,多彩な分子標的を持つこと,および急性作用と長期作用が異なることである.静脈内投与では急性作用が中心で,電位依存性チャネルとしてはNa+チャネル,L型Ca2+チャネル,および遅延整流K+チャネル(特にIKr)の遮断が重要である.ウサギ灌流心を用いた光学マッピング実験では,心室に誘発した渦巻き型の旋回興奮(スパイラル・リエントリー)に対して,アミオダロンがリエントリーの機能的ブロックラインを延長させて旋回速度を遅くするとともに旋回中心のドリフトをもたらし,心室頻拍の早期停止を促すことが判明した.このようなスパイラルダイナミクスの変化は,アミオダロン急性作用のうちのNa+チャネル遮断とIKrチャネル遮断の複合効果によると考えられる.
  • 清水 渉
    2010 年 30 巻 4 号 p. 344-349
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
    2007年7月より,本邦でも致死性心室不整脈に対してアミオダロン静注薬の使用が認められるようになった.欧米ではARREST,ALIVEなどの試験により得られたエビデンスから院外心肺停止例に対する適応が認められているが,本邦では生命に危険のある心室細動(VF),血行動態不安定な心室頻拍(VT)で難治性かつ緊急を要する場合にのみ保険適応となる.2007年7月から2008年7月までに,当院における薬剤抵抗性不整脈患者18例(虚血性心疾患7例,非虚血性心疾患11例)に対してアミオダロン静注薬を使用した.対象不整脈は,VF4例,持続性VT9例,非持続性VT2例,心不全を合併した心房不整脈3例であった.アミオダロン静注投与開始前に,9例でリドカイン静注,6例でニフェカラント静注投与を行っていたが無効であった.アミオダロン静注投与は平均9.9日(1~37日)行い,投与開始前24時間と投与開始後24時間を比較し,不整脈が停止あるいは減少した場合を有効としたところ18例中15例が有効であり,torsade de pointesなどの重篤な合併症は認めなかった.
  • 香坂 俊
    2010 年 30 巻 4 号 p. 350-353
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
    米国において,アミオダロン静注薬は1995年に食品医薬品局(FDA)の認可を受けている.その後,2000年にAdvanced Cardiac Life Support(ACLS)のプロトコールに採用されたのを契機として,米国各地の救急医療の場で普及するに至った.ACLSのプロトコールは,米国ではすべての研修医が修得を義務づけられているため,アミオダロン静注薬の効用は救急蘇生に携わる各科の医師・研修医の間にも広く知られている.プロトコール上は,心停止に伴い心室頻拍・細動(VT/VF)が遷延している場合にアミオダロン300mgの静注投与が推奨されているが,実際には急変時当初にVT/VFが認められずとも,心停止から次第にVT/VFへ移行するようなケースでも用いられる.このように米国の救急医療の現場でアミオダロンは不可欠な薬剤とみなされており,その使用頻度は極めて高いのが現状である.
  • ―血中濃度からの考案―
    志賀 剛
    2010 年 30 巻 4 号 p. 354-358
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
    アミオダロン静注薬は,生物学的利用率(吸収率)が低い経口薬と異なり,確実な薬物投与を可能にした.しかし,静注薬による急性期治療から経口薬による維持療法へ移行する際に,双方の薬物動態の差異がアミオダロンの抗不整脈効果に影響を及ぼす可能性がある.経口薬によるアミオダロン治療を導入する場合,早期の効果を得るために400mg/日の初期負荷投与を14日間行うことが多い.この背景には,アミオダロンのみならず薬効の一部をなす活性代謝物であるデスエチルアミオダロンも重要な役割を担っている.2日間(48時間)の持続静注から経口薬維持量200mg/日に移行すると,アミオダロン血中濃度は大きく低下し,デスエチルアミオダロンも検出されなかった.一方,4日間(96時間)の持続静注を行うと3日目以降にデスエチルアミオダロンが検出され,その後経口薬維持量200mg/日に移行してもその濃度は維持される.
    抗不整脈効果が維持され,4日間(96時間)以上の持続静注を行った場合は,そのまま経口薬200mg/日による維持療法への移行が可能と思われる.しかし,静注期間が短い場合には,経口薬400mg/日による負荷投与を一定期間行ったうえで,維持療法へ移行することが必要と考える.
  • 児玉 逸雄, 加藤 貴雄, 神谷 香一郎, 清水 渉, 香坂 俊, 志賀 剛
    2010 年 30 巻 4 号 p. 359-371
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
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