CASTから得られたエッセンスは,対象不整脈が心房細動(AF)であっても変わらない.国内外のAFガイドラインにも,“基礎心疾患や心機能低下を有する例では,強力なNa
+チャネル遮断薬は使用すべきでない”旨が明記されている.本邦におけるAFに対する洞調律維持療法の現状には,様々な問題点がある.まず,I群抗不整脈薬を長期投与していると,患者はやがて高齢になるため,腎機能をはじめ全身の臓器に加齢に伴う機能障害を生じてくるし,当然,副作用も出現しやすくなる.次に,抗不整脈薬による治療を長期間続けていると,その間にリモデリングが進行し,カテーテルアブレーションに踏み切っても高い成功率が得られない場合がある.最後に,期待されていたdronedaronが本邦では開発が断念されたことである.正常心機能例において,“I群抗不整脈薬が無効であればアミオダロンへ切り替え”という考え方は,現実的ではない.症例を交じえつつ,これらの問題点にいかに対処すべきかについて述べる.
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