【目的と方法】1995年6月~2008年8月までに,抗凝固療法未施行の非弁膜症性発作性心房細動332例(男性224例,年齢65±13歳,平均観察期間53±35ヵ月)を対象に,CHADS
2スコアならびにCHA
2DS
2-VAScスコアに準じた虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症を後ろ向きに調査した.【成績】(1)平均CHADS
2スコアは1.2±1.2点,平均CHA
2DS
2-VAScスコアは2.0±1.6点であった.CHADS
2スコア1点以下の低リスク群は69%,CHA
2DS
2-VAScスコア1点以下の低リスク群は40%の割合であった.(2)虚血性脳卒中および全身性塞栓症の年間発症率は,それぞれCHADS
2スコア0点群が0.2%,1点群が0.9%,2点群が2.8%,3点群が9.4%,4点以上群が10.9%,CHA
2DS
2-VAScスコア0点群が0%,1点群が0.6%,2点群が1.0%,3点群が2.0%,4点群が5.5%,5点群が9.1%,6点以上群が13.7%であり,いずれのスコアも高値な群ほど高率となった.(3)多変量ロジスティック回帰分析によれば,CHADS
2スコア〔odds ratio(OR)4.7,p<0.001〕ならびにCHA
2DS
2-VAScスコア(OR 4.2,p<0.001)は,いずれも虚血性脳卒中および全身性塞栓症の独立した予測因子となった.(4)虚血性脳卒中および全身性塞栓症に対する予測能を受信者動作特性曲線(ROC)で検討すると,ROC下面積はそれぞれCHADS
2スコア0.865(p<0.001), CHA
2DS
2-VAScスコア0.899(p<0.001)で,CHA
2DS
2-VAScスコアのほうがより高値であるものの有意差を認めなかった.【結論】いずれのスコアも,本邦における虚血性脳卒中および全身性塞栓症のリスク層別化指標として有用である.
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