心電図
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34 巻, 3 号
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Editorial
原著
  • 大無田 孝夫, 笠尾 昌史, 小野 多佳子, 三井 和幸, 柴田 仁太郎
    2014 年 34 巻 3 号 p. 213-219
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/27
    ジャーナル フリー
    【背景】QT間隔の1拍ごとの変動性(short term beat-to-beat variability of QT interval:STV-QT)は,心室筋再分極過程の時間的不安定性を示し,重症心室性不整脈を予知する有用な指標のひとつであると報告されてきた.STV-QTを算出するには,洞調律で期外収縮を含まない連続心拍のQT間隔を測定する必要があるが,その至適最小心拍数についての報告は見られない.【方法】(1)健常な大学生9例を対象に,測定心拍数を2から200心拍まで変化させ,STV-QTの算出に必要な最小心拍数を求めた.(2)ホルター心電図検査を受けた27名を対象に,連続心拍記録時に期外収縮が混入する確率につき検討した.【結果】(1)大学生9例の平均STV-QTは,45~50心拍から収束に向かい,その値は2msecであった.STV-QTの標準偏差は75~100心拍で収束し,その値は0.4msecであった.(2)連続心拍記録時に期外収縮が混入する確率は,50心拍以内で36.4%,100心拍以内で40.6%であった.【結論】STV-QT算出に必要な最小心拍数は,正確性を求めるのであれば100心拍が適切であるが,測定時間や期外収縮の混入頻度を考慮すると,臨床的には50心拍で充分であった.
第22回 頻拍症カンファランスより Caハンドリングと心室頻拍
  • 小野 克重
    2014 年 34 巻 3 号 p. 223-235
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/27
    ジャーナル フリー
    心臓の収縮・弛緩機能は,細胞内のCa2+濃度を周期的に調節することによって規定されている.さらに,細胞内Ca2+は心筋の肥大,分泌,細胞壊死,遺伝子の転写活性調節などの様々な役割も担う.種々な流入経路を介した心筋細胞内のCa2+調節,すなわちCa2+ハンドリングは,セカンド・メッセンジャーとしてのCa2+依存性シグナルを介した細胞のホメオスターシスにも大きくかかわる.心筋細胞内のCa2+ハンドリング異常によって惹起される不整脈の成因の機序としては,細胞内Ca2+濃度が振動的に上昇することによって生じる撃発活動によるもの,細胞内Ca2+が活性化するシグナルによるイオンチャネルなどの機能変化が原因であるもの,長期的に転写因子の活性を介して不整脈基質が変化するもの,などに分類される.さらに近年は,心筋細胞内のCa2+過負荷がフォスファターゼ2B(カルシニューリン)の活性を高め,その結果としてマイクロRNAの発現が変化し不整脈基質が制御されるという,新たな転写後制御機構がCa2+ハンドリング異常に起因する不整脈の発症にかかわることも示された.不整脈の中長期的治療戦略として,Ca2+ハンドリング制御の重要性が認識されつつある.
  • 渡部 裕, 南野 徹
    2014 年 34 巻 3 号 p. 236-244
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/27
    ジャーナル フリー
    カテコラミン感受性多形性心室頻拍(CPVT)は遺伝性の不整脈症候群であり,現在までにいくつかの原因遺伝子が明らかとなっている.遺伝子変異がもたらすCPVTの共通した機序として,筋小胞体に存在するリアノジンレセプターからの異常なカルシウムイオンの放出が知られている.臨床的には,器質的心疾患によらない運動や感情の高まりによって誘発される動悸や失神が特徴である.幼少時に発症することが最も多く,平均初発年齢は7~9歳である.心房細動や心室不整脈が高頻度でみられるが,一拍ごとにQRSの軸が180°変化する二方向性心室頻拍が最も特徴的である.交感神経活性によって誘発される心室頻拍は心室細動へ移行することがあり,心停止が初発症状である症例もしばしば見受けられる.診断には安静時心電図は役に立たず,画像診断による器質的心疾患の除外と,運動やストレスによる不整脈の評価が重要である.治療にはβ遮断薬やフレカイニドが用いられる.ICDは心停止歴のある症例やβ遮断薬が不整脈の抑制に不十分な症例で適応となるが,突然死の予防効果は不完全である.
  • 野上 昭彦
    2014 年 34 巻 3 号 p. 245-263
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/07/27
    ジャーナル フリー
    不整脈原性右室心筋症(arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy : ARVC)は,右室の拡大と機能低下,および右室起源の心室不整脈を特徴とする心筋症である.遺伝的要因があり,心筋細胞間の接着に関与するデスモゾーム関連遺伝子や,Ca2+ハンドリング蛋白であるリアノジン受容体(RyR2)遺伝子の異常などが明らかになっている.2010年には,初期病変や保因者への診断感度を高くした新たな診断基準が示された.本疾患は若年者の突然死の原因となることもあるため,早期診断と心室不整脈および心不全に対する適切な治療が重要である.
第1回 心臓安全性に関するシンクタンクミーティング2014 in 霧島より
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