心房細動(AF)が持続すると,AFの発症と持続はさらに容易になる.この病態は,「Atrial fibrillation begets atrial fibrillation」という言葉で理解される.AFの持続によって心房筋細胞の電位依存性Na
+チャネル,L型Ca
2+チャネルおよびI
toチャネルの発現が減少し,I
K1チャネルの発現が増加する.これをAFに伴うイオンチャネルのリモデリングという.その結果,心房筋細胞の活動電位持続時間は短縮し,不応期も短くなる.AFによる頻拍は,心房筋細胞内のCa
2+濃度の上昇を伴う.細胞内のCa
2+過負荷は,短期的にはtriggered activityによる異常自動能の亢進を惹起するとともに,長期的にはカルモジュリンキナーゼの活性の上昇や転写因子NFATを介した病的遺伝子プログラムの作用によって,イオンチャネルの発現が制御される.一方,心房筋は線維化されて,心房筋組織ではリエントリー回路の形成が促進される.これを心房筋の構造的リモデリングという.
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