心電図
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36 巻, 2 号
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Editorial
原著
  • 小原 義宏, 竹内 幸一, 大沢 奈津子, 蛭田 正子, 鈴木 敦, 中居 賢司, 芦原 京美, 志賀 剛, 萩原 誠久
    2016 年 36 巻 2 号 p. 107-117
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    心室遅延電位(VLP)測定に関して,近年開発されたベクトル合成187チャネル高分解能心電計(SAVP-ECG)と,標準的加算平均心電計Predictorを連続記録した615例において,両機種間のVLP指標の相関,SAVP-ECGにおける判定基準および虚血性心疾患(135例)における致死性心室不整脈合併の診断精度を検討した.VLP指標は両機種間で有意な相関を認め,回帰式より求めたSAVP-ECGにおける判定基準は,f-QRS≧127msec,RMS40<16μV,LAS>44msecであった.PredictorとSAVP-ECGの致死性不整脈合併の診断精度は,感度84.6%vs. 69.2%,特異度71.3%vs. 67.2%,陽性的中率23.9%vs. 18.0%,陰性的中率97.8%vs. 96.5%,正診率72.6%vs. 67.4%であった.PredictorのVLP判定基準に基づくSAVP-ECGのVLPによる致死性不整脈の陰性的中率は,Predictorとほぼ同等であった.
Letter
これだけは知っておきたい!
忘れえぬ心電図
モデル解析の交差点
心電学マイルストーン
研究会レポート
追悼
心電学フロンティア2015(第50回理論心電図研究会) 心房細動はなぜ慢性化するか:そのメカニズムと対策
  • 小野 克重
    2016 年 36 巻 2 号 p. 145-153
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    心房細動(AF)が持続すると,AFの発症と持続はさらに容易になる.この病態は,「Atrial fibrillation begets atrial fibrillation」という言葉で理解される.AFの持続によって心房筋細胞の電位依存性Na+チャネル,L型Ca2+チャネルおよびItoチャネルの発現が減少し,IK1チャネルの発現が増加する.これをAFに伴うイオンチャネルのリモデリングという.その結果,心房筋細胞の活動電位持続時間は短縮し,不応期も短くなる.AFによる頻拍は,心房筋細胞内のCa2+濃度の上昇を伴う.細胞内のCa2+過負荷は,短期的にはtriggered activityによる異常自動能の亢進を惹起するとともに,長期的にはカルモジュリンキナーゼの活性の上昇や転写因子NFATを介した病的遺伝子プログラムの作用によって,イオンチャネルの発現が制御される.一方,心房筋は線維化されて,心房筋組織ではリエントリー回路の形成が促進される.これを心房筋の構造的リモデリングという.
  • 井上 耕一
    2016 年 36 巻 2 号 p. 154-160
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    心房細動(AF)の病態は心房内におけるリエントリであり,AFが持続するのはリエントリの原因となるサブストレート(AF基質)次第であると考えられてきた.しかし,トリガー(AFの引き金となる期外収縮)により持続性AFに移行したと考えられる症例も実臨床では存在する.本稿では,われわれが提唱するAF持続の「Trigger-based mechanism」に関して解説する.
  • 宮内 靖史, 植竹 俊介
    2016 年 36 巻 2 号 p. 161-166
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    体表面心電図F波の周波数は,心房不応期を反映する.周波数は心房細動の進行とともに上昇し,6.0Hzを超えると薬理学的および電気的除細動の無効例が増えることが報告されている.われわれは,F波の周波数解析によりアブレーションの効果を予測できるか否かについて検討した.拡大肺静脈隔離(CPVI)を含むStepwise approachでカテーテルアブレーションを行う持続性AF症例を対象とし,12誘導心電図のF波と心内電位をFast Fourier Transform(FFT)にて周波数解析した.F波のdominant frequency(DF)は心内電位のDFと有意に相関し,特に左心耳と四肢誘導,右心耳とV1誘導のDF間で強い相関を示し,II誘導(DF<5.9Hz)および左心耳(DF<6.1Hz)のDFがCPVI中にAFが停止する有意な予測因子であった.また,左心耳のDFは,追加焼灼中のAF停止(DF<6.4Hz)および術後洞調律維持(DF<7.0Hz)の有意予測因子であった.これら自験例の報告を含め,周波数解析により何がわかるかを概説する.
  • 古川 哲史
    2016 年 36 巻 2 号 p. 167-172
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    心房細動(AF)の病態発現には,遺伝的因子が思った以上に強く関与している.最近のゲノム研究,全ゲノム関連解析(genome-wide association study : GWAS),では10を超えるAF感受性1塩基多型(single nucleotide polymorphism : SNP)が同定された.AF発症と強く関連する1つのSNPとAF発症と中等度に関連する複数のSNPsである.AFと強く関連する4q25のSNPは,肺静脈心筋スリーブの発生とかかわることが報告されているPitx2を最近傍遺伝子としてもち,AFのトリガーとの関連が示唆される.一方,AFと中等度に関連する複数のSNPsの一部は心房リモデリング,AFの維持機構との関連が示唆される.そのうち,発作性AFに比べて慢性AFで特に強く関連するSNPsがAFの慢性化に関連することが示唆されるが,これまでの自験例・他験例ではそのようなSNPsは同定されていない.したがって,現時点では,AF発症と関連する遺伝因子は同定されたが,その慢性化に関する遺伝因子は同定されていない.
CDRに関するJHRSポリシー・ステートメント
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