心電図
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36 巻, 3 号
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Editorial
症例
  • 三宅 泰次, 土屋 邦彦, 大久保 宗則, 松尾 仁司
    2016 年 36 巻 3 号 p. 187-197
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は18歳男性.大学のソフトボールの授業中に突然転倒し,心肺停止状態のため自動体外式除細動器 (AED) による電気的除細動を施行され,他院へ救急搬送された.AEDデータ解析から除細動時のリズムは心室細動と判明した.救急外来の心電図でデルタ波を認めたことから,アブレーション目的に当院を紹介された.電気生理学的検査で副伝導路は僧帽弁側壁に存在し,その順行性不応期は230msecと非常に短く,突然死のハイリスク群であった.心房期外刺激によりwide QRS頻拍およびnarrow QRS頻拍が誘発されたが,心房細動や心室頻拍は誘発不能であった.Wide QRS頻拍時の逆伝導はslow pathway,順伝導は副伝導路であった.副伝導路アブレーション後にも稀有型房室結節回帰性頻拍が誘発され,最終的に逆行性slow pathwayのアブレーションで,すべての頻拍が誘発不能となった.以上より,本例のwide QRS頻拍は副伝導路を順伝導,逆伝導をslow pathwayとする逆方向性房室回帰性頻拍と診断した.
  • 藤井 舞, 白石 裕一, 小倉 敬士, 関根 知美, 八木 克史, 今井 幹昌, 濱岡 哲郎, 小島 章光, 畔柳 彰, 中西 直彦, 中村 ...
    2016 年 36 巻 3 号 p. 198-206
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー
    66歳女性.発作性心房細動の既往あり.呂律困難 · 左上肢麻痺が出現し当院に救急搬送され,心原性脳塞栓の診断で入院.ホルター心電図記録にて11.4秒の洞停止を認め,洞不全症候群としてペースメーカ(Medtronic社製:Advisa DR MRI(R),tinedリード;CapSure Sense MRI(R))の植込みを行った.植込み時,心房波高6.1mV,閾値0.5V/0.4msecと良好で,設定DDD-AAI(MVP)60ppm,心房出力3.5V/0.4msec,感度0.45mVとした.術後3日目,モニター心電図にて一過性の心房ペーシング不全が認められた.翌日のペースメーカチェック(PMC)では,体表面心電図でP波を確認できたにもかかわらず,心内心房波は測定感度以下であった.ペーシングは8V/0.4msecで捕捉できなかった.心室測定値には変化を認めなかった.胸部X線写真では植込み時と比較して,リード位置の変化は見られなかった.術後1週間目のPMCでは自己心房波が正常に記録され,波高,閾値とも植込み直後と同等に回復し,その後17ヵ月の観察で著変なく経過している.原因として,留置に際しての一過性の心房筋障害が疑われた.
Letter
これだけは知っておきたい!
忘れえぬ心電図
私の本棚
モデル解析の交差点
学会レポート
追悼
指定トピックスより 「本邦における不整脈コホート研究」
  • 村越 伸行, 許 東洙, 西連地 利己, 五十嵐 都, 入江 ふじこ, 富沢 巧治, 夛田 浩, 関口 幸夫, 山岸 良匡, 磯 博康, 山 ...
    2016 年 36 巻 3 号 p. 236-244
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー
    【目的】一般住民における上室期外収縮の長期予後については,いまだ不明である.本研究の目的は,一般住民健診における上室期外収縮の診断的意義を調べることである.【方法と結果】われわれは1993年の年次一般住民健診を受診し,2008年まで経過を追えた63,197名(平均年齢58.8±9.9歳,67.6%女性)を解析した.一次エンドポイントは平均14年のフォローアップ期間中の脳卒中死亡,心血管死亡,または全死亡,二次エンドポイントは心疾患あるいは心房細動(AF)のない解析対象者における最初のAFの発生とした.上室期外収縮のない解析対象者と比較して,上室期外収縮のある解析対象者のハザード比(95%信頼区間)は,脳卒中死亡:男性1.24(0.98~1.56),女性1.63(1.30~2.05),心血管死亡:男性1.22(1.04~1.44),女性1.48(1.25~1.74),全死亡:男性1.08(0.99~1.18),女性1.21(1.09~1.34)であった.AFはフォローアップ期間中386名(1.05/1,000人年)に発生した.ベースラインでの上室期外収縮の存在は,AF発症の有意な予測因子であった〔(ハザード比(95%信頼区間):男性4.87(3.61~6.57),女性3.87(2.69~5.57)〕.傾向スコアマッチング解析でも,上室期外収縮の存在が交絡因子の補正後もAFの発症および心血管死亡のリスク上昇に有意に関連していた.【結論】一般住民における12誘導心電図での上室期外収縮の存在は,AF発症の強い予測因子であり,心血管死亡リスクの上昇に関連している.
  • 奥村 恭男, 横山 勝章, 立花 栄三, 大岩 功治, 小島 利明, 有馬 健, 池谷 之利, 野本 和幹, 知久 正明, 大野 安実, 平 ...
    2016 年 36 巻 3 号 p. 245-254
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/31
    ジャーナル フリー
    本邦では高齢化に伴い心房細動(AF)患者が増加しており,AFの最大の合併症である心原性脳塞栓症予防が臨床的に重要課題となっている.近年,ワルファリンに代わる直接作用型経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants:DOAC)が本邦で使用可能となり,その使用頻度が増加の一途を辿っている.しかしながら,本邦におけるDOACのデータは十分でないのが現状である.そこで,実臨床のAF患者における抗凝固薬の使用実態や臨床的アウトカムを明らかにするため,日本大学関連病院,実地医家に通院するAF患者の多施設登録研究(SAKURA AF Registry)を行っている.本稿では,SAKURA AF Registryの登録患者の特徴,抗凝固薬の使用実態,加えて現時点における脳卒中,大出血イベントの発症率を提示し,大規模臨床試験と実臨床との相違を考察する.
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