心電図
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39 巻, 1 号
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Editorial
総説
  • 伊藤 英樹
    2019 年 39 巻 1 号 p. 5-15
    発行日: 2019/03/20
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    後天性QT延長症候群は薬剤,低カリウム血症,高度徐脈などでQT延長が顕在化し,致死性不整脈が出現する病態である.本研究は日本,フランス,イタリアの計8施設による国際共同研究で,後天性QT延長症候群188症例(55±20歳,女性140例)を対象に,先天性QT延長症候群において頻度の高い5つの責任遺伝子(KCNQ1,KCNH2,SCN5A,KCNE1,KCNE2)の変異を検索した.後天性QT延長症候群のQTc間隔は453±39msecで,先天性QT延長症候群家系の変異保因者より短いが(n=1938,478±46msec,p<0.001),非保因者より延長していた(n=441,406±26msec,p<0.001).遺伝子検索の結果,後天性QT延長症候群の28%に遺伝子変異が同定された.先天性と比して後天性QT延長症候群ではKCNH2変異が多く,特に後天的要因がない状態でQTc間隔が正常な場合,責任遺伝子の64%はKCNH2であった.有症候者,40歳未満での発症,後天的要因がない状態でのQTc間隔が440msec超の症例で遺伝子変異同定率が高く,それぞれを1点とし合計点を算出した場合,3点,2点,1点,0点での保因者の比率はそれぞれ63%,31%,11%,0%であった.臨床病態から遺伝子検査の必要性を考慮し,検査に要する費用を削減することで,費用対効果が期待できると考えられる.(心電図,2019;39:5~15)

原著
  • 徳留 大剛, 小和瀬 晋弥, 鈴木 穣, 寺田 直正, 伊藤 浩一, 前垣 雅治, 増田 慶太, 長田 淳
    2019 年 39 巻 1 号 p. 16-24
    発行日: 2019/03/20
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    両心室ペースメーカーの左室(LV)リード植込み手技を行う前に冠静脈(coronary vein:CV)と左横隔神経(left phrenic nerve:LPN)の情報を得ることは植込み手技の戦略を立てるうえで重要である.今回,われわれは単純CTからCVとLPNの3D画像を作成し,その正確性について,20例のCRT植込み症例で検討した.評価方法については,CVは術中の造影画像と比較し,LPNはLVリードで横隔神経刺激が発生した部位と一致しているかを確認した.3D画像は全症例で作成でき,CVについては19/20例で一致,LPNは全10例で走行部位とペーシングでの横隔神経刺激発生部位が一致していたことから,3D画像は正確に描出できていると考えられた.単純CTから作成したCVとLPNの3D画像は,CRT植込みの術前に正確性の高い解剖学的情報を把握でき,有用である.(心電図,2019;39:16~24)

  • 瀬口 繁信, 西條 貴哉, 吉田 幸彦
    2019 年 39 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 2019/03/20
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    【背景および目的】心房細動(AF)に対するアブレーションは,肺静脈隔離(PVI)の手技に伴う長引くX線透視により,放射線皮膚障害などの組織反応が懸念されている.近年,AFに対するPVIの方法として,従来の高周波アブレーション(RFA)のみならず,クライオバルーンアブレーション(CBA)やホットバルーンアブレーション(HBA)が行われるようになった.そこで,AFアブレーションにおけるPVIの方法別患者入射皮膚線量(ESD)を評価することを目的に,研究を行った.【方法】名古屋第二赤十字病院で2017年5月から2018年2月までに,AFに対してアブレーションを実施した342名(男233名,女109名)の性別,年齢,透視時間,シネフレーム数,参照空気カーマ(RAK),面積線量積,AFの性状を調査した.ESDは,血管撮影装置に表示されたRAKから評価した.【結果】AFアブレーションの平均総透視時間は53.1分,平均総シネフレーム数は388フレーム,平均総入射皮膚線量は303.3mGyであった.平均総透視時間が最も長かったPVIはRFAの60.1分,次いでHBAの52.5分,CBAは48.2分であった.平均総ESDが最も高かったPVIは,HBAの427.4mGy,次いでCBAの306.8mGy,RFAは281.7mGyであった.左前斜位50°からの透視では最大79.4分であったにもかかわらず,皮膚障害のしきい線量である2Gyに達する症例はなかった.【結語】かつては放射線皮膚障害を伴うこともあったアブレーションは,さまざまな線量低減対策によって被ばく線量の低減化が進んだ.(心電図,2019;39:25~32)

  • 小野広一 , 山本秀也 , 木原康樹
    2019 年 39 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2019/03/20
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    【背景】我が国では年間約5万人が新たに植込み型心臓デバイス(CID)植込み治療を受けているが,死後,火葬時の取り扱いについては一定の見解がない.CIDを取り出さずに火葬可能であれば,安心してCID植込み患者を自宅で看取ることができる.【目的および方法】火葬時のCIDの取り扱いについて,中国地方の現状を調べるため,中国地方5県(鳥取・島根・岡山・広島・山口)の162火葬場の管理者(76事業所)に,火葬時の取り扱いについて電子メール・ファックス・電話で調査した.【結果】摘出なしでは火葬不可が8事業所9ヵ所(5.6%),病院で亡くなる場合などでは可能な限り摘出を希望するが,事前の申請があれば摘出なしでも火葬可が42事業所93ヵ所(57.4%),事前の申請があれば摘出なしでも火葬可が27事業所60ヵ所(37.0%)であった.【結論】火葬時の事前申請は必要であるが,中国地方では94.4%の火葬場でCIDを摘出しなくとも火葬が可能であった.(心電図,2019;39:33~38)

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