心室性副調律の症例において, 副収縮刺激が心室補充収縮中枢への進入ブロックを呈する興味ある心電図を経験したので報告する。
症例は51歳男, 全身倦怠感と動悸を訴えて来院した。標準12誘導心電図は洞調律, 右脚ブロック, -45゜左軸偏位を示した。副収縮性QRSの連結期は0.46~0.98秒と変動するが, 周期は約1.35秒の整数倍で, QRS波形は右脚ブロック, 正常軸を示すため, 副中枢は左脚領域に存在すると考えられた。副収縮に後続する心拍は, 1) 洞性心拍, 2) 副収縮, 3) 副収縮と心室補充収縮 (おそらく右室起源) との融合心拍 (正常QRS) の3通りを示したが, そのRR間隔は3) の場合に, 2) の場合よりも0.05秒短く, 副収縮刺激の心室補充中枢への進入ブロックが示唆された。すなわち, 連結期が0.49秒以下の場合には進入ブロックのため心室補充中枢は脱分極されず, 先行心拍から1.79秒後に刺激を生成し, 次の副収縮との融合収縮により, ほぼ正常QRSを生ずるものと考えられた。
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