除細動機能付き植込み型心臓電気デバイス(cardiac implantable electronic devices with defibrillator:CIEDs-D)患者は公安委員会へ医師の診断書を提出し,適性検査の承認を受けることで,限定的に自動車運転が可能となる.これらの行為は自己申告制のため,届け出を怠るケースがあるにも関わらず,認知度調査がなされていない.当院における自動車運転制限に対する認知度把握のために,アンケート調査を実施した.当院通院中で同意書の取れた対象患者339名のうち運転免許保有者は227名で,71名(31%)が公安委員会への自己申告を怠っていた.中でも50歳以上が7割を占める結果であった.本研究から,CEIDs-D患者の自動車運転への関心の低さがうかがえる結果となった.自動車運転制限に対する認知度を上げるため,より慎重な周知方法が必要であり,特に中高年に対する内容説明には十分に注意が必要である.
【背景】3次元マッピングシステムを使用した肺静脈隔離術(pulmonary vein isolation:PVI)においては,患者の呼吸の安定性および体動の抑制が手技成功に重要である.【目的】本研究では,深鎮静下に施行したPVIと全身麻酔下に施行したPVIの成績を比較した.【方法】2022年12月~2024年12月に施行されたPVI症例(深鎮静群:Deep sedation group[DS群]52例,全身麻酔群:General anesthesia group[GA群]70例)を対象とし,PVIに要した時間を比較した.【結果】心房細動のタイプは,DS群とGA群で持続性心房細動が13.5% vs 21.4%(p=0.34),長期持続性心房細動が7.7% vs 12.9%(p=0.55)であり,GA群で持続の長い心房細動が多い傾向を認めたが,有意差はなかった.CTから算出した左房容積値はDS群vs GA群で78.9±33.1mL vs 101.5±35.1mLとGA群で有意に大きかった(p<0.05).PVIに要した時間はDS群vs GA群で55.3±29.9分 vs 35.0±20.6分と,GA群で有意に短縮していた(p<0.05).【結論】全身麻酔は呼吸の安定と体動抑制を通じてPVI時間短縮に寄与し,手技効率の向上に有用である可能性が示唆された.
61歳女性.2014年に検診でCoved型ST上昇を呈するBrugada心電図を認めて受診した.過去に失神や胸部症状などはなかったが,父が40歳で突然死していたため,電気生理学的検査を実施した.Burst pacingで容易に心室細動(ventricular fibrillation:VF)が誘発され,無症候性Brugada症候群と診断し,一次予防で植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator:ICD)植込みを行った.不整脈の発生は一切なく経過したが,2022年10月に遠隔モニタリングにて心室頻拍(ventricular tachycardia:VT)と抗頻拍ペーシング(antitachycardia pacing:ATP)作動を確認した.2023年2月夕食後にテレビを観ていたところ,突然VFが発生してICDショック作動したため受診した.キニジンを400mg/日導入し,以降はVT/VFの出現なく経過している.女性のBrugada症候群は男性の15分の1程度と非常に少なく,VT/VFイベント発生率も低い.しかし,女性症例は症候とイベント発生率の関連が乏しいという報告や,約20%は60歳以上で初回イベントが発生しているという報告もある.無症候性Brugada症候群に対し,一次予防で植込んだICDにより救命できた本症例から,リスクの層別化とICDの適応について再考したい.
血管造影室における全身麻酔は自科麻酔によって行っている施設が多く,体温管理を実施している施設は少ない現状がある.全身麻酔による覚醒遅延をきたす症例では,体温が低下し術後のシバリングを認めることが多く,体温低下による覚醒遅延の可能性を考えた.そこで全身麻酔を行ったカテーテルアブレーション(以下,ABL)患者の体温変化の状況と,覚醒遅延の関係性を調べた.【対象・方法】2020年5月~2022年9月の全身麻酔ABL患者クライオアブレーション(以下,Cryo)で治療を行った群(n=129)・高周波カテーテルアブレーション(以下,RF)で治療を行った群(n=70)を対象とし,体温変化と覚醒までの時間を調査した.体温低下に対して,温風加温機による体温管理を実施した.2022年10月~2023年10月の全身麻酔ABL患者Cryo群(n=65)・RF群(n=27)での体温変化と覚醒までの時間を,導入前のデータと比較検討した.【結果・考察】覚醒時間を中央値で比較した際に,導入後では覚醒時間は5分短縮されたことがわかった.また,体温低下が-1℃以上になると覚醒遅延が起こりやすいということが明らかになった.