心房直接刺激および経食道左房ペーシングにて誘発され, verapamilにより停止効果を認めた特発性心室性頻拍 (VT) の一例を報告する。症例は34歳男性。VTは心拍数180/分で、右脚ブロックで左軸偏位を呈し, 発生源は, 左室後壁中隔側附近と思われた。電気生理学的検査では, 心房, 心室の頻回刺激, 早期刺激いずれにても誘発可能であったが, 電気刺激にて停止しがたく, verapamil 5mg静注にて停止した。しかし, verapamil 480mg経口投与による長期予防効果は認められず, 労作や運動にて容易に再発した。Treadmill運動負荷にてVTを誘発させ, 各種抗不整脈剤のVT予防効果を検討し, propranololにのみ予防効果が認められた。本VTは, verapamilの停止効果, “inversed relation”の存在よりreentry性VTと考えられるが, verapamilに予防効果の認められない点は特異であり, その理由として, verapamilによるVT誘発zoneの拡大, Ca
++inward current以外の心拍数依存性のslow responseの存在が推測される。
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