心電図
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6 巻, 3 号
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  • ―電位と心室興奮時間の正常値について―
    中安 紀美子, 赤松 則男, 須見 昌輝, 中屋 豊, 森 博愛
    1986 年 6 巻 3 号 p. 203-211
    発行日: 1986/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    小児の体表面電位図の正常像およびそれに及ぼす生理的諸因子の影響を明らかにするために, 10~15歳の小児216例 (男111例女105例) を対象として, 性, 年齢, 体型および運動量の体表面電位図に及ぼす影響について検討した.電位の最大値および最小値は年齢が高いほど低値を示し, 特に女子でその傾向が著しかった.このような年齢変化には男子では胸郭の増大, 女子では乳房を含む前胸部脂肪組織の増大が大きく関与すると思われた.また, 最大値到達時間 (Max-Time) は, 男女とも年齢が高いほど遅く, 女子では12歳以後はほぼ一定値を示した.このため男子の最大・最小値は胸郭の増大にもかかわらず, 女子にみられたような著明な減少傾向を示さなかった.以上の性差, 年齢差に加えて, 体型および運動量の影響がみられた.電位図の臨床応用にはこれら諸因子の影響を配慮することが重要である.
  • 酒井 隆, 宮崎 利久, 細川 美千代, 桜井 謙治, 小川 聡, 中村 芳郎
    1986 年 6 巻 3 号 p. 213-219
    発行日: 1986/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    7日目心筋梗塞犬を用いてプログラム電気刺激法 (PES) により誘発される心室頻拍 (VT) に対するPropafenoneの効果を検討した.8頭中貫壁性梗塞を有する7頭全例にVTあるいは心室細動 (VF) が誘発された.Propafenone投与後7頭中5頭ではVTあるいはVFの誘発は完全抑止され, 1頭ではVTが誘発されたが, 心拍数は230/分から176/分と減少した.心外膜マッピングを用いてPropafenone投与前後の興奮伝播速度, 最大興奮到達時間, 有効不応期を比較した.Propafenone投与後, 興奮伝播速度は低下し, 最大興奮到達時間は延長し, 伝導遅延の増強が認められたが, VTあるいはVFが完全抑止された5頭では有効不応期の著明な延長が認められ, VT誘発の抑止に有効不応期延長の関与が示唆された.1頭ではPropafenone投与はVT誘発抑制効果はなく, 投与後VFに移行した.
  • 山内 一信, 小出 正文, 河合 直樹, 古井 宏彦, 稲垣 春夫, 外畑 巌
    1986 年 6 巻 3 号 p. 221-228
    発行日: 1986/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Frank法ベクトル心電図空間QRSおよびT環のPolar Vector, 長径, 幅および平面性について性差, 年齢差を763名の健常人を対象として検討し, 性別, 年代別正常値を求めた. QRS Polar Vectorは男女とも加齢に伴い大きさが減少傾向を示し, 方向が左方においてより上方に向かった.女性は男性に比しその大きさは小さかった. T Polar Vectorについては男女とも加齢に伴う変化は少なかったが, 女性では男性に比して大きさはより小さく, 左後上方においてより後下方位をとった.QRS環長径, 幅, 厚さは男性では加齢と共に小さくなった.女性は男性に比して長径, 幅, 厚さともに小さかった.QRS環平面性には性, 年代差はみられなかった.T環の形態については加齢に伴う変化は少なかったが, 女性では長径, 幅は小さく, 平面性の劣化がみられた.以上より空間環の計測値にも性別, 年代別基準値が必要であり, 本研究で求めた基準値はVCG自動診断への応用が期待される.
  • 佐藤 政仁, 相沢 義房, 村田 実, 鈴木 薫, 相沢 雅美, 小田 弘隆, 柴田 昭, 宮村 治男, 江口 昭治
    1986 年 6 巻 3 号 p. 229-236
    発行日: 1986/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ファロー四徴症 (T/F) 根治手術後, 遠隔期にLown分類3度以上の心室性期外収縮を頻発する8症例に電気生理学的検査を施行した.洞機能は正常で房室伝導も1例に軽度HV時間延長があったが他は正常であった.7例に右室よりプログラム刺激を与えた.3例に心室頻拍 (VT) が誘発され, 2例は15秒以内に自然停止し, sustained VTの既往がある例は再現性をもってsustained VTの誘発停止が可能であった.右室内膜MappingではVT誘発可能3例中2例にfragmentationや1ate potentialが右室流出路に限局して検出された.これらはT/F根治手術後遠隔期において一部の症例でみられるVTの機序がリエントリーであることを示す.平均20ケ月の経過観察中VT誘発可能であった3例中1例が突然死し1例はVTに対しelectric alablationを行った.突然死例のHV時間は正常だった.T/F根治手術後遠隔期における突然死の原因としてVTは重要である.
  • ―運動負荷QRST isointegral mapによる検討―
    中島 敏明, 杉本 恒明, 川久保 清, 戸田 為久, 三輪 篤子, 村川 祐二, 野崎 彰, 倉智 嘉久, 天野 恵子, 坂本 二哉, 真 ...
    1986 年 6 巻 3 号 p. 237-246
    発行日: 1986/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    肥大型心筋症 (HCM) の再分極異常の成因を知る目的で, QRST isointegral mapを作成し, 安静時および運動負荷後の分布を検討した.対象は, 正常群10例, HCM群35例 (閉塞型HOCM10例, 非閉塞型HNCM15例, 心尖部型APH10例) である.安静時QRST isointegral mapは, 正常群では左前胸部に極大を, 右胸部上方に極小をもつ分布を示したが, HCMでは , HOCM40%, HNCM60%, APH90%に, 左前胸部に極小をもつ異常分布がみられた.極小点は, APHではV4, 5周辺に, HNCMではV5に, HOCMではばらつく傾向があり, 各病型による多少の差異をみとめたが, 重複する例も多くみられた.安静時QRST isointegral mapの異常例に対し, 運動負荷後の分布の変化につき検討した.APHでは9例中8例において, 左前胸部の極小は, 右胸部上方に偏位し, ほぼ正常な分布を示した.HNCMでは9例中8例は, 負荷後も安静時と同様の異常分布を示した.HOCM4例では負荷後左前胸部下方に極小が偏位する傾向がみられた.以上より, HCMの再分極異常は主として1次性変化と考える.また, 運動時変化がHCMの病型で異なったことは, 心筋の肥厚形態の他に, 心筋自体の性質の差による可能性があり, HCMにおける再分極異常の成因は単一のものではないことが示唆される.
  • ―血中Propranolol濃度およびHolter心電図による検討―
    武者 春樹, 村山 正博, 伊藤 博之, 小野 彰一, 板井 勉, 川久保 清, 磯崎 貞夫, 山村 喜一
    1986 年 6 巻 3 号 p. 247-252
    発行日: 1986/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    高齢者におけるPropranolol (以下PL) の心拍数抑制効果について, 血中PL濃度測定とホルター心電図による心拍数測定により検討した.1) 20mg服用後の最高血中PL濃度および濃度時間曲線下面積は, 高齢者65.4ng/ml, 320.15ng・hr/ml, 若年者18.4ng/ml, 57.18ng・hr/mlと高齢者が若年者に比し有意に高かった.2) 高齢PL服用者の心拍数は, 高齢健常者に比し, 昼夜とも最高, 平均および最低心拍数が有意に低く, またPL中止群に比し, 夜間の最高心拍数および昼間の最高, 平均, 最低心拍数が有意に低かった.3) PLによる心拍抑制は, 交感神経が優位の活動時間帯に著明であり, その主作用は交感神経遮断によるもので, 洞機能に対する直接作用は少ないものと考えられた.また, 血中PL濃度と心拍数抑制の関係は認められなかった.4) PLは高齢者においても, 血中濃度がかなり高くなるにもかかわらず, 安全に使用できる薬剤であると考えられた.
  • ―薬効評価法の試みを含めて―
    古屋 秀夫, 田辺 晃久
    1986 年 6 巻 3 号 p. 253-259
    発行日: 1986/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    上室不整脈 (SVPC) 67名でホルター心電図 (DCG) を用い, SVPCの日内・日差変動, 心疾患の有無による差および加齢の影響を検討した.SVPCは日内変動型から昼型, 夜型, 昼夜型に分類され, 頻度はそれぞれ49%, 13%, 37%であった.心疾患の有無, 老年・非老年にかかわらず各日内変動型の出現頻度に差はなかった.1~3週間隔における2回DCGでの24時間SVPC数は全体としては相関はなかった.しかし2回目記録でSVPC数が著明に変動した1例を除くと, 昼夜型で1日SVPC数7200個以上例では有意の正相関 (p<0.001) があった.SVPC自然変動の95%信頼限界は30%の減少率に, 99%信頼限界は35%の減少率に相当した.
    以上よりSVPCの日内変動型は, 心疾患の有無や加齢により影響されないことが明らかとなった.DCG法による抗不整脈薬評価では, 1日SVPC数7200個以上の昼夜型で安定出現例を選べば, 30%以上減少があれば有効と考えられた (95%信頼限界) .
  • ―非観血的His束電位の検出―
    岡本 登, 太田 壽城, 水野 嘉子, 岩塚 徹
    1986 年 6 巻 3 号 p. 261-272
    発行日: 1986/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    非観血的に, しかもBeat to beatに各心拍毎にHis東電位を連続記録する目的で, 食道内双極誘導および食道内と前胸部の双極誘導を用い, 時定数1~10msecの低域遮断フィルタと低雑音・高利得増幅器を使用し, 各種不整脈100例に臨床適用した.
    ウェンケバッハ周期房室ブロックや上室期外収縮時のPR間の微少電位の動きから, His束電位と確証出来る微少電位が対象の1/3以上に観察記録された.PR間の微少電位は数μV以下で, 主として心室興奮波の前30~40msecにあり, 幅15msec前後の1相性ないし2相性波形であった.最適誘導部位は, 食道内電極は外鼻孔より, 35~36cm, 前胸部電極は胸骨左縁から左乳線の領域の双極誘導で, 時定数は3msecが最適であった.
    本法は平均加算法と異なり2度以上の房室ブロックにも適用出来, 房室伝導の解析に有用である.また心室頻拍と関係深い心室後電位の非観血的検出にも応用可能と考える.
  • 板井 勉, 村山 正博, 野崎 彰
    1986 年 6 巻 3 号 p. 273-282
    発行日: 1986/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心房細動 (Af) の心拍数調節におけるdigoxin (D) 単独, propranolol (P) 併用, verapamil (V) 併用の効果を, 慢性Af23例において比較した.この結果, D単独時の労作時心拍数は一般洞調律者のそれに比して過大であり, 十分な血中濃度をもってしてもその抑制には不十分であった.一方, P (平均35.3mg/日) 又はV (同144mg/日) の併用は労作時心拍数を同程度に抑制した (30.6%及び30.0%) .運動耐容能はいずれにおいてもD単独時に比し改善を示した.夜間心拍数は, P併用時にはD単独時に比して差は無かったが.V併用時には有意に低下し, 過度な徐脈化を認めた.D血中濃度はV併用により有意に上昇した.これらより, Afの心拍数の至適調節には, 禁忌の無い限り, VよりもP併用が勧められる.
  • ―臨床電気生理学的検査を中心に―
    清水 昭彦, 大江 透, 鎌倉 史郎, 松久 茂久雄, 下村 克朗
    1986 年 6 巻 3 号 p. 283-293
    発行日: 1986/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Arrhythmogenic right ventricular dysplasia (ARVD) は最近注目されてきた疾患概念であるが, 未だ不明な点が少なくない.今回われわれは, 心臓カテーテル検査および病理所見よりARVDと診断した8例に12誘導心電図, signal averaging, 臨床電気生理学的検査を施行し, ARVDの診断法及び心室頻拍 (VT) の特徴を主として臨床電気生理学的立場より検討した.ARVDの診断は, epsilon waveや右側胸部誘導のT波の逆転により12誘導心電図でもある程度可能であるがsignal averagingより得られるlate potentia1の検出がより有用と思われた.VTは, 総て右室起源で左脚ブロック型を呈し, 慢性再発性持続型で多源性VTを半数に認めた.VTの心拍数は, 平均213拍/分と比較的早く, 臨床症状も重篤なものが多かった.VTの発生機序は, 心腔内心電図にて右室にfragmentationを認め, ペーシングにて誘発停止が可能でかつentrainment現象を認めることによりreentryが考えられた.
  • ―高分解能増幅器による実験的, 臨床的検討―
    後藤 敏之, 川口 卓也, 鈴木 茂孝, 洞庭 賢一, 岡島 光治
    1986 年 6 巻 3 号 p. 295-303
    発行日: 1986/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    非観血的に心拍ごとのHis束電位の記録が可能か否かを, イヌ12頭, ヒト7名につき検討した.装置は, 初段に工業用の超高利得 (最大利得: 14000倍) でかつ低雑音 (入力換算で1μVrms以内) の, 高分解能増幅器を使用した.誘導は, 体表面の筋電図の影響が少なく, 解剖学的にHis束により近い, 食道内双極誘導を用いた.その結果, イヌでは, 12頭中8頭 (67%) に心腔内His東電位と時相の一致する, 毎心拍食道誘導His東電位が記録でき, そのうち, 4頭 (50%) は, 筋弛緩剤を使用せずに成功した.ヒトでは, 7例中3例 (43%) に加算平均処理したHis東電位と時相の一致する, 毎心拍食道誘導His東電位を記録できた.これらの食道誘導非加算His東電位の明瞭度は, 従来の報告の空間加算平均処理法で拾った毎心拍の体表面His東電位に比べ勝っていた.本研究で, 筋弛緩剤を使用せずに心拍ごとの食道誘導のHis東電位の記録ができたことは, 今後, それの臨床応用の可能性を示唆した.
  • 今本 明子, 林 博史, 村瀬 允也, 水谷 真規子, 竹内 純, 田中 稔, 竹内 栄二, 阿部 稔雄
    1986 年 6 巻 3 号 p. 305-310
    発行日: 1986/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    開心術後の患者60例の術直後から24時間連続心電図を記録し, 不整脈の解析を視覚的に行った.対象は, 男30例, 女30例で, 年齢は, 5歳~61歳 (平均40.8歳) で, その基礎心疾患の内訳は, 先天性心疾患 (CHD) 22例, 弁膜症 (VHD) 29例, 虚血性心疾患 (IHD) 9例であった.対象全例に何らかの不整脈を認め, 最も多くみられた不整脈は, 心室性期外収縮 (VPB) で, 60例中59例 (98.3%) であり, すべて多源性であった.VPBの2連発 (couplet) , および, 心室性頻拍 (VT) (3連発以上のVPB) は, 各々VHDの62.1%, 48.3%, 各々IHDの66.7%, 44.4%に認められ, CHDに比べて, 多く発生した.心房中隔欠損症, 僧帽弁狭窄症では, 上室性期外収縮 (SVPB) が, 多く発生した.VPB, および, SVPBの出現様式は, 早期多発型, 中期多発型, 後期多発型, 平坦型に分類でき, いずれの疾患群においても, 早期, および, 中期多発型が多かった.VTは, 術後早期に多くみられた.不整脈多発時の血清K+値は, やや低下傾向を認めた.
  • 相沢 義房, 松岡 東明, 柴田 昭
    1986 年 6 巻 3 号 p. 311-319
    発行日: 1986/07/31
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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