長時間モニター心電図記録により, 頻脈および徐脈依存性に間歇性に出没し, 心電図, ベクトル心電図から左脚中隔枝ブロックと推定された症例を経験したので報告する.症例は68歳女性, 全身倦怠感にて入院.入院時の心電図V
1はQS型で, ベクトル心電図水平面でもQRS環は初期右方成分を欠き, 左側方に描かれた.しかしその後, 心電図V
1でRS型, ベクトル心電図水平面でQRS環が前方に大きく偏位する波形が間歇性に出現した.長時間モニター心電図にてV
1のQS型, RS型波形はほぼ同一心拍数で出現しており, 臨界心拍数は認められなかった.しかし, 先行2心拍とV
1のRS型波形出現との関係では, 50~70/分の比較的徐脈時には, 先々行心周期に比し先行心周期が短縮する際出現する頻脈依存性を, 70~80/分の比較的頻脈時には, 先行心周期が延長する際出現する徐脈依存性の特徴を示し, 心電図V
1のRS型波形は, 間歇性左脚中隔枝ブロックによるものと考えられた.
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