心電図
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8 巻, 3 号
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  • 杉本 恒明
    1988 年 8 巻 3 号 p. 267-270
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 有田 眞
    1988 年 8 巻 3 号 p. 271-279
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    細胞電気生理学的立場からみた不整脈の2大発生機序に, リエントリーと異所性刺激生成があることは周知である (表1) .従来は異所性刺激生成=異常自動能と理解してほとんど問題がなかったが, 近年これにtriggered activity (触発活動) が加わったため, 分類に多少混乱を来しているようにみえる1) .そこで筆者は表1のごとく, 異所性刺激生成を「広義の自動能」と理解し, 従来からの異常自動能を「狭義の自動能」すなわち歩調取り電位依存型 (またはpacemaker potentialをとってPP-dependent type) と呼称し, 新しく加わった異所性刺激生成すなわちtriggered activityを, 細胞内Ca2+濃度 ( [Ca] 1) 依存型 (またはtriggered activity発生の原因となるtransient depolarizationをとって, TD-dependent type) に分類するのがよいのではないかと考えている.
  • ―洞結節における細胞歩調取り機能の部位による差―
    児玉 逸雄
    1988 年 8 巻 3 号 p. 281-287
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 今西 愿, 迫 秀則, 木村 龍範, 有田 眞, 調 亟治, 葉玉 哲生
    1988 年 8 巻 3 号 p. 289-294
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    病的ヒト心房筋標本の中には, 正常Tyrode液下で自動放電を示すものが45.5%あり, 残りの自動性を示さない標本においてもpacingすると47%にtriggered activity (TA) が誘発された.すなわち当標本の71%に異常自動能発生の可能性が潜んでいる.自動放電の周期が2秒以上の比較的遅い自動能をpacingするとpostoverdrive acceleration (POA) が生じ, 一過性に周期が2秒以下の速い自動能へと移行する.ここにみられたPOAはryanodine存在下でほぼ完全に消失し, この自動性の加速は細胞内Ca2+増加に伴う筋小胞体機能が関与した機序に基づくことが判明した.一方静止標本をpacingすると細胞内にはCa2+増加が, 細胞直外にはK+の蓄積が起こり, 前者は一過性内向き電流を惹起しTA発生を促進するが, 後者は膜のK+透過性を増加しTA発生に対して抑制的に作用する.病的ヒト心房筋に見られるTAの電気生理学的特性は, 相反する両者の電流系のバランスによって規定されていると考えられる.
  • 渡部 良夫, 羽渕 義純, 野田 剛毅
    1988 年 8 巻 3 号 p. 295-299
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    本シンポジウムで筆者らに与えられた題目は「接合部自動能とその異常」であり, 接合部という術語には房室接合部の他にPurkinje-心室筋接合部等も含まれることになるが, ここでは前者即ち房室接合部に限って議論を進めることにする.さて房室結節とHis束本幹とを含む房室接合部が自動能を示し得ることは臨床的に古くから知られ, 特に心電図で房室接合部起源の心拍が屡々診断されるのは周知の事実である.そしてその刺激発生頻度が毎分70未満の場合を正常な自動能の表現とし, これを超えた場合を自動能の異常亢進として一応区別するが, これは便宜的な区分で両者の境界は画然としたものではなく, また後者が果たして生理的な自動能の促進によるのか, それとも異常自動能の発生によるのかも明らかにされていない.そこで本発表では, 房室接合部の自動能に関する我々の幾つかの実験的研究を総括して述べ, 最後にそうした実験成績と臨床における房室接合部の自動性亢進との関連づけを試みることにする.
  • 平岡 昌和, 川野 誠子, 平野 裕司, 沢登 徹
    1988 年 8 巻 3 号 p. 301-306
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    モルモット及び家兎の単離心室筋細胞を用いて, 低K+, 高Ca2+液下, Ba2+やアマンタジン投与時にみられる異常自動能の機序をwhole-cell clamp法にて検討した.低K+・高Ca2+灌流3~5分以内に-30~-60mVの膜電位レベルから緩徐拡張期脱分極に自動能が発現した.この自動能は遅延整流K+電流の脱活性化とCa2+電流によりもたらされた.低K+・高Ca2+液中で10分以上経過すると一過性内向き電流の活性化と, 先行脱分極に依存せず電位依存性の不規則な内向き電流を認めた.両者は小胞体からのCa2+放出が関与すると考えられた.Ba2+誘発性緩徐脱分極と自動能は, Ba2+による内向き整流K+電流の電位―時間依存性ブロックによりもたらされることが判明した.アマンタジンは早期―及び遅延後脱分極をもたらし, 前者は不活性化されないNa+電流, 後者はCa2+電流と遅延整流K+電流が主に寄与していると考えられた.以上より, 心室筋の異常自動能のイオン機序には多種類のものが関与することが判明した.
  • 野間 昭典
    1988 年 8 巻 3 号 p. 307-309
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 井上 大介, 大森 斎, 白山 武司, 朝山 純, 勝目 紘, 中川 雅夫, 落合 正和
    1988 年 8 巻 3 号 p. 311-321
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    ベタニジンの心室性頻拍及び心室細動 (VT/VF) に対する有効性を検討する目的で, 臨床的にVT/VFの確認された7例を対象として電気生理学的検討を行った.心室プログラム刺激をベタニジン40mg経口投与前後において繰り返した.5連発以上の頻拍が誘発可能であった6例の中で3例において誘発が不能となった.他の2例は1日投与量を5~10mg/kgと増量した後, 心室プログラム刺激を繰り返したところ誘発は不能となり6例中5例 (83%) において有効であった.1例においてベタニジン投与後, VTの誘発が容易となった.右心室有効不応期は7例中5例において5~35msecの延長をしめした.全例においてAmitriptyline 40mg/日と併用し, 起立性低血圧は認めなかった.ベタニジンは心室性頻拍及び心室細動の発作予防に有用である可能性が示唆された.
  • 貞包 典子, 大塚 邦明, 小沢 利男
    1988 年 8 巻 3 号 p. 323-332
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    健常者17名 (55~84歳) , 心疾患患者43名 (54~88歳) , 脳血管障害患者23名 (62~87歳) を対象として24時間呼吸心電図記録を行い, 一夜の間に10回以上のslee papneaが観察された症例頻度を検討した.slee papneaの重症度を無呼吸持続時間より5段階に分類した.slee papneaは健常者においても70.6%に観察されたが無呼吸持続時間が短いことが特徴であった.一方, 心疾患・脳血管障害患者では持続の長いslee papneaの出現頻度が高く80秒を越える無呼吸の出現もみられた.20秒を越えるslee papneaの出現とともに洞機能不全症候群患者の53.8%に洞房ブロックの出現が観察され, 40秒を越えるslee papneaの出現とともに陳旧性心筋梗塞患者の23.1%に心室性不整脈の出現が観察された.脳血管障害患者においてはslee papneaに伴う心拍数の周期性変動が消失した症例, 著明に長いslee papneaの出現に伴い心室性不整脈の出現が観察された症例があり, slee papneaや不整脈の出現に中枢神経系・自律神経系の調節障害の関与が推測された.
  • 野村 昌弘, 中屋 豊
    1988 年 8 巻 3 号 p. 333-345
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    左室収縮期負荷疾患の心室再分極異常の早期診断における心磁図法の有用性を明らかにするために, 健常者50例, 本態性高血圧40例の心電図, 体表面電位図, 心磁図, 磁界分布図, ベクトル・アロー図, 電位図departure mapおよび磁界図departure mapについて検討した.心室再分極異常の出現率は, 心電図では高血圧 (WHO分類) 1期0%, II期8%, III期100%; 心磁図では1期17%, II期48%, III期100%で, I, II期においては心磁図の方が心電図よりも心室再分極異常を高率に診断できた.その機序として, 心磁図法では方向が異なる複数二重極を把え易いことなどが関与すると考えられた.
  • 深谷 眞彦, 谷川 宗生, 森 光弘, 清水 昭彦, 木村 幹史, Ahmed Rafique, 植山 千秋, 北野 幸英, 木谷 文博, ...
    1988 年 8 巻 3 号 p. 347-354
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    WPW症候群21例を対象に, isoproterenol (isp) の効果と, isp点滴の続行下に, propranolol (prop) のispの効果に対する遮断効果を臨床心臓電気生理学的に検討した.その結果, (1) 副伝導路の順伝導有効不応期は, ispにて264±24msecから223±20msecへと20~80 (41±19) msec短縮し, 88%の症例が250msec以下となった. (2) ispにて短縮した測定値はpropの追加にてほぼisp前値に復した. (3) 房室結節有効不応期のispによる短縮の程度は副伝導路よりも大であったが, propによってisp前値に復した. (4) 房室回帰性頻拍の誘発例数はispにて増加したが, propにてほぼisp前の例数に減少した.isp前からの房室回帰性頻拍誘発例に対しては, propは誘発抑制効果を示さなかった.以上は, ispが心房細動発作時の危険性を予測するに有用であること, また, propの遮断効果からは, 適応を選べば治療上のpropの有効性が期待できること, などを示す結果と考えられた.
  • 三宅 良彦, 岸 良光, 亀谷 学, 三川 武彦, 佐藤 忠一, 村山 正博, 須階 二朗
    1988 年 8 巻 3 号 p. 355-362
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ホルターシステムの記録・解析者が, ホルター心電図に対してどのような意識を抱いているかを調べるため, アンケート調査を行った.対象回答者は28医療施設の183名である.このほかこの検査を受けた患者・人間ドック受診者にもアンケート調査を行った.
    ホルターシステムの使用経験は2機種以上とする回答者が多かったが, 磁気テープ使用機種 (97%) が大多数で, ICメモリ (3%) はごく少数であった.有用性が高いと評価されたのは不整脈 (98%) , 抗不整脈剤 (96%) で, 信頼性は心室性不整脈に高い (96%) ものの, 上室性不整脈は48%と低かった.安静狭心症に対する有用性は78%であるが, 労作狭心症は55%と低かった.スポーツ (48%) , 人間ドック (25%) における有用性も低く評価された.被検者のホルター心電図検査に対する印象は総じて良かったが, 一部に仕事や学校を休んだ例もあり, 問題点の一つと考えられた.
  • 塩見 利明, 小林 正, 新井 太, 脇田 康志, 足立 学, 水谷 登, 渡辺 務
    1988 年 8 巻 3 号 p. 363-372
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    脚ブロック50例とWPW症候群32例の心電図におけるU波の性状を調べ, 心室内興奮伝播過程の異常がU波の現われ方に及ぼす影響について検討した結果, (1) 右脚ブロックや上田分類A型のWPW症候群では陽性U波は比較的左側, 陰性U波は稀に右側胸部誘導にみられ, また左脚ブロックやB, C型WPW症候群では陽性U波は右側, 陰性U波は左側胸部誘導に多い傾向を認めた. (2) 間歇性WPW症候群の検討では, T波とU波の極性はほぼ同様に変化し, 胸部誘導における陽性U波の分布はA型ではやや左側へ, B型では右側へ偏る傾向がみられた.したがって, 本検討では心室内興奮伝播過程の異常下にみられるU波極性は, 佐野, 坂本らの報告のごとく, 興奮到達の最後となる心基部領域からの再分極ベクトルの方向に従って変化するものと推測された.
  • ―一過性の心房粗細動の有無からみた電気生理学的検討―
    庭野 慎一, 相沢 義房, 佐藤 政仁, 鈴木 薫, 船崎 俊一, 宮島 靜一, 江部 克也, 柴田 昭
    1988 年 8 巻 3 号 p. 373-379
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心房粗細動 (AF) の出現を予測する電気生理学的指標について検討した.AF群15例と非AF群16例において, 高位右房を単発ないし2発の早期刺激にて刺激し, 同部にて得られる心房波の幅を比較した.Fragmentationは, 早期刺激時の心房波幅が, 基本刺激時の150%以上となったものと定義した.Fragmentationを示す早期刺激のzone (F-zone) は, 単発刺激時, AF群75±48ms, 非AF群31±36ms (p<0.01) , 2発刺激時, AF群69±36ms, 非AF群26±34ms (p<0.005) であり, Fragmentationの最長持続時間 (max Frg) は, AF群148±36ms, 非AF群109±24ms (p<0.005) といずれもAF群で長い傾向を示した.AF症例を判別する場合, F-zone及びmaxFrgを指標として用いると, そのsensitivityは87%, specificityは88%となった.この結果は, 従来の報告を裏付ける一方, 新たに加えた2発早期刺激の意義も示唆しており, これらの電気生理学的指標は, AF出現の予測に有用であると考えられた.
  • 佐藤 毅, 清水 和彦, 西山 玄洋, 太田 晃, 綱川 宏, 春見 建一
    1988 年 8 巻 3 号 p. 381-388
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    長時間モニター心電図記録により, 頻脈および徐脈依存性に間歇性に出没し, 心電図, ベクトル心電図から左脚中隔枝ブロックと推定された症例を経験したので報告する.症例は68歳女性, 全身倦怠感にて入院.入院時の心電図V1はQS型で, ベクトル心電図水平面でもQRS環は初期右方成分を欠き, 左側方に描かれた.しかしその後, 心電図V1でRS型, ベクトル心電図水平面でQRS環が前方に大きく偏位する波形が間歇性に出現した.長時間モニター心電図にてV1のQS型, RS型波形はほぼ同一心拍数で出現しており, 臨界心拍数は認められなかった.しかし, 先行2心拍とV1のRS型波形出現との関係では, 50~70/分の比較的徐脈時には, 先々行心周期に比し先行心周期が短縮する際出現する頻脈依存性を, 70~80/分の比較的頻脈時には, 先行心周期が延長する際出現する徐脈依存性の特徴を示し, 心電図V1のRS型波形は, 間歇性左脚中隔枝ブロックによるものと考えられた.
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