最近の情報通信やマルチメディア機器の発展,普及に伴い,教育にも新しい形態が生まれてきた.遠隔教育である.しかしながら,この遠隔講義・授業を実際に行う場合,経済性が重要な要因になってくる.現在,映像,音声,画像等の双方向性を満足させる通信メディアとして,衛星回線や専用ATM(Asynchronous Transfer Mode)網等があるが,これらを通常の授業に適用するにはコスト的に難しい面がある.比較的簡単に利用できるのがIS.DN(Integrated Services Digital Network)回線であり,伝送速度は落ちるが,経済性に優れている.
著者らは,ISDN回線を利用したTV会議システムとマルチメディア機器を組み合わせた遠隔授業システムにより,実際に講義を行った.全15回の講義は大阪大学から日本工業大学の学生,約60名を対象に行われた.この講義を通して低コストな本システムの実用性,アンケート調査による受講生の意識調査,問題点等を探った.
また,ISDN回線の低速度伝送特性を補完する方法として,副回線の利用を提案し,コミュニケーション強化手段としての広域レスポンスアナライザを開発した.さらに,TV会議システムによる映像,音声の送受の他,インターネットやFAX,郵便等,様々な特性を持つ双方向性メディアの有効な使い方についても検討した.
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