わが国の科学技術における高等教育は,明治維新後の導入以来,その時々の産業からの要求にこたえてきたという意味で,成功であったといえる。しかし状況は変わりつつあるという幾つかの兆候が見える。わが国は,これまでの世界における工場の役割から,世界における中枢的な研究所としての役割を果たすように転換しなければならない。そして大学院は,世界の研究者を養成する機関としての役割を負っている。この役割を果たすためには大学院は再構築されなければならない。
本稿においては,わが国におけるこれまでの大学院をふりかえった上で,新しい役割にこたえるための一つの再構築の道を示している。その上で,大学と産業の間の協力についての一般的な図式を提案している。
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