日本環境感染学会誌
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26 巻 , 1 号
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原著論文
  • 武藤 浩司, 樋口 多恵子, 三星 知, 小林 謙一, 継田 雅美, 大久保 耕嗣
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 26 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/05
    ジャーナル フリー
      新潟県内の病院薬剤師を対象に手指衛生の講習と,蛍光剤を用いた手洗い実習を行った.その後にアンケート調査を実施した.手指衛生の講習受講後に蛍光クリームを塗布し,石けんと流水での手洗い前後にブラックライト下で観察,洗い残し部位を記録した.次に洗い残し部位を十分に洗浄した後,蛍光ローションを用いて擦式消毒薬を擦り込む要領で塗布し,同様に塗り残し部位を記録した.洗い残しは,塗り残しに比較して高く,手背部の指先が多く約60%あった.一方,塗り残した部位は,手掌部では掌が多く約10%,手背部では親指や指のシワ部分が多く約20%であった.石けんと流水,擦式手指消毒の手技間で洗い残し,塗り残し部位に差異が確認された.アンケート調査では,手指衛生の不十分な箇所を確認出来たと回答があった.実習を取り入れた講習会は初めてであり,日常手洗いや擦式手指消毒を行う際に注意を払うなど意識が向上したと示唆された.新潟県薬剤師のための感染制御セミナーでは,手指衛生をはじめ感染制御領域の講習会を継続して行っていき,臨床現場で活躍できる薬剤師の育成に努めていきたい.
  • 中川 博雄, 松田 淳一, 栁原 克紀, 安岡 彰, 北原 隆志, 佐々木 均
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 26 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/05
    ジャーナル フリー
      消毒剤の効果の要因の1つは,微生物と薬液の接触時間に依存する.そのため,速乾性手指消毒剤のゲル製剤およびリキッド製剤をそれぞれ3 mL擦り込んだ場合,ゲル製剤の方が長い時間を要することから,ゲル製剤はリキッド製剤に比べ,少ない擦り込み量で十分な擦り込み時間と消毒効果が得られる可能性が考えられる.本研究では0.2 w/v%クロルヘキシジングルコン酸塩含有エタノールゲル製剤の擦り込み量を変えて,リキッド製剤と消毒効果を比較検討した.その結果,ゲル製剤は1 mLでリキッド製剤3 mLと同等の効果を示した.さらに16種類のゲル製剤およびリキッド製剤について,揮発による重量変化率を測定した.ゲル製剤はリキッド製剤に比べて重量変化率が低く,粘度との間に相関を示した.
  • 権藤 多栄, 操 華子
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 26 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/05
    ジャーナル フリー
      感染対策上重要である手指衛生の遵守率向上を目的に,コンピュータのスクリーンセーバーの画像メッセージを介入手段として準実験研究を実施した.集中治療室に勤務する医療従事者87名を対象に,直接観察法による手指衛生の遵守率と擦式手指消毒剤と液体石けんの使用量を評価指標として調査し,対照期間と介入期間で比較検討を行った.
      その結果,直接観察法による遵守率は対照期間が38.3%,介入期間は36.4%であった(χ2=1.01, p=0.31).擦式手指消毒剤と液体石けんの使用量は対照期間に比べ介入期間が19.2%増加した.直接観察法による遵守率の向上は明らかではなかったが,擦式手指消毒剤と液体石けんの使用量の増加により介入効果が確認された.また,手指衛生遵守に与える要因について,介入前後における遵守率の結果をもとに比較検討した.調査対象者の職種間,性別間において遵守率に変化はみられなかった.介入前後において石けんと流水による手洗いが60%以上を占めていた.看護必要度(t=2.94, p<0.01),病床稼働率(t=49.70, p<0.01)は,介入期間において統計学上,有意に低値を示した.
      これらの結果より,スクリーンセーバーの画像メッセージが集中治療室における手指衛生遵守率に向上への有効性が確認できた.しかしながら,手指衛生方法の第一選択は,擦式手指消毒剤であることを理解させる必要性と,アクセスしやすい場所への擦式手指消毒剤の設置の重要性が示唆された.
  • 松尾 佳那, 吉永 正夫, 吉満 桂子, 渡邊 真裕子
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 26 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/05
    ジャーナル フリー
      当院では,2005年にインフェクションコントロールチーム(ICT)が結成された.ICT結成前は医療施設関連感染症に関するデータ収集は感染管理認定看護師(ICN)の資格をもつ看護師一人が兼任していた.ICT結成当時メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA),多剤耐性緑膿菌(MDRP)とも高い検出数があった.ICTの発足と同時に,メンバー間の迅速な感染情報の発信・共有と還元,役割分担された迅速な病棟ランドと,定義を明確にして多剤耐性菌サーベイランス開始した.そこで今回ICT発足時の2005年度から2009年度までのMRSAおよびMDRPの検出件数と医療施設関連感染対策の取り組みについて検討を行った.発足1年間でMRSAは3.51%から1.19%と発足時の34%まで有意に減少した(p=0.004).MDRP検出率も1年間で1.30%から0.28%と発足時の22%まで有意に減少した(p=0.004).MDRPは検出部位が主に尿路系に限局しており,標準及び接触感染予防策の対象が限定しているため徹底することができ,減少したものと考えられる.MRSA検出率は最近減少傾向を示しておらず,標準および接触感染予防策の徹底のために新たな対策が必要である.
  • 三好 そよ美, 根ヶ山 清, 石井 典子, 田中 ひとみ
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 26 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/05
    ジャーナル フリー
      当院では2008年6月から循環器・腎臓・脳卒中内科および心臓血管外科等の所属するA病棟において,MRSAの入院時積極的監視培養を実施している.今回,積極的監視培養導入前後のそれぞれ1年間のMRSA検出状況等を調査し,積極的監視培養導入の効果について検討した.
      A病棟の入院時MRSA持込率は10.2%と高率であった.積極的監視培養導入前の新規MRSA検出患者数は34例(持込:11例,病院感染:15例,不明:8例)で,MRSA感染症発症者数は9例(持込:2例,病院感染:5例,不明:2例)であった.積極的監視培養導入後の新規MRSA検出患者数は66例(持込:58例,病院感染:8例)で,MRSA感染症発症者数は4例(持込:3例,病院感染:1例)であった.積極的監視培養によって潜在的なMRSA保菌者が明確にされたことで,接触予防策が徹底され,病院感染発症者数は減少する可能性が示唆された.MRSA保菌リスクの高い患者を対象とした入院時積極的監視培養の実施は,病院感染およびMRSA感染症の発症の防止に有効な方法であると考えられる.
  • 伊藤 裕司, 田中 久美子, 大川 浩永, 松田 雅光, 島崎 豊
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 26 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/05
    ジャーナル フリー
      肺炎球菌ワクチンの有効性は死亡率減少や侵襲性肺炎球菌感染症予防について報告されているが,肺炎の発症予防については有効性が示されていない場合が多い.
      本研究では,「ワクチン接種者数と感染症の推移」および「ワクチン接種の有無による予後の検討」を行った.前者は,2006年9月から2009年8月までに当院で接種された肺炎球菌ワクチン数,侵襲性肺炎球菌感染症数,肺炎球菌性肺炎数の推移を検討した.後者は,2008年9月から2009年8月までにワクチンを接種した群と当院総合内科に入院した群(非接種群)とで予後(死亡・肺炎発症)を評価した.
      肺炎球菌ワクチン接種者数は毎年有意に増加したが,侵襲性肺炎球菌感染症・肺炎球菌性肺炎については有意な減少を認めなかった.一方,肺炎球菌ワクチンを接種した群は非接種群に比べて有意に死亡率が低下した(Hazard Ratio [HR] 0.29; 95% confidence interval [CI] 0.18-0.40)ものの,肺炎の発生を有意に抑制しなかった(HR 0.83; 95%CI 0.65-1.11).
      当院でのワクチン接種普及の取り組みによって肺炎球菌ワクチン接種者は有意差を持って増加したが,侵襲性肺炎球菌感染症は減少しているものの有意差を示すことができなかった.肺炎球菌ワクチンの接種によって死亡率の有意な低下を認めたが,肺炎の発生については有意差を認めなかった.
症例報告
報告
  • 小松 妙子, 前田 修子, 滝内 隆子
    原稿種別: 報告
    2011 年 26 巻 1 号 p. 41-48
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/05
    ジャーナル フリー
      全12回から成る“訪問看護師を対象とした感染管理教育プログラム”の12回目として『在宅人工呼吸器感染管理研修会』を,2ヶ所の訪問看護ステーション訪問看護師15名を対象に開催し,学習効果を検証した.研修会は,2ヶ所共に平日の夕方1時間で開催した.学習効果検証のため,在宅人工呼吸器の感染管理に関する知識・技術34項目の修得度を研修会前(「事前修得度」)と研修会後(「事後修得度」)に調査し,変化を分析した.修得度は項目毎に,{全くできない}1点~{十分できる}5点として平均値を算出した.事前と事後修得度の比較にはWilcoxonの順位和検定,各修得度と訪問看護師属性との比較には,Spearmanの順位相関係数を用いた.結果,修得度の全体平均は,事前修得度3.1点から事後修得度4.1点に上昇した.項目別修得度は,全項目において事後に上昇した.参加者個人の事前から事後の修得度は,全項目において「上昇」群の割合が「変化なし」・「低下」群より高かった.以上より,研修会は学習目標達成に効果があったと評価できる.今後は,修得度が低かった項目について,学習内容・方法の検討が必要と考える.
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