日本環境感染学会誌
Online ISSN : 1883-2407
Print ISSN : 1882-532X
ISSN-L : 1882-532X
28 巻 , 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著論文
  • 清 奈帆美, 藤井 香, 室屋 恵子, 德村 光昭, 南里 清一郎
    2013 年 28 巻 5 号 p. 259-266
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
      神奈川県内の私立中高一貫教育校における2009/2010年シーズンのインフルエンザの大流行の経験を通じて,感染拡大の要因別調査を実施した.2009年第36~40週には4つの部活動内で数名の罹患者が発生していたが,全校生徒が交流した運動会が開催された第41週に罹患者が急増し,同週の罹患者数は全校生徒の14.4%に達した.第41週に全校30クラス中19クラスの学級閉鎖(5日間)を実施し一度は罹患者が減少したが,文化祭前後の第45~47週に再び罹患者が増加し,最終的な累積罹患率は42.6%に達した.合併症などを認めた重症者はいなかった.
      要因別調査においては,通学経路の主要バス2路線の中で利用者が多く混雑が激しいバスの利用者の罹患率がもう一方のバス利用者に比べ有意に高かった.年齢では中学生の罹患率が高校生に比べて有意に高かった.
      季節性インフルエンザを参考にした各自治体で設定された有症状者の人数や頻度を基準とした学級閉鎖,学校閉鎖などの感染防止対策はA校では十分な効果が得られなかった.
  • 松丸 万理子, 鈴木 清美, 袴田 康弘
    2013 年 28 巻 5 号 p. 267-272
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
      人工呼吸器関連肺炎予防策として,カフ上分泌物の気管流入防止(誤嚥対策)のポジショニングを重視,鎮痛および鎮静スケールで薬剤量をコントロールし過鎮静を減らす,患者の病期に合わせた抜管,手指衛生と環境整備の徹底を人工呼吸器ケアバンドルとして掲げた.このバンドルをICUで実践するために専門職からなるVAP予防チームを結成し,スタッフに教育を行った.チーム活動前の2009年度の人工呼吸器装着1000日使用あたりのVAP発症率は15.19で,チーム介入後の2010年度は7.09 (p=0.023) 2011年度は7.13 (p=0.003)でありVAPの発生は有意に減少した.人工呼吸器装着日数の平均は2009年度7.55日±9.48,2010年度7.56日±11.11 (p>0.05),2011年度4.99日±7.69 (p=0.009)で2009年度と2011年度と比較して有意に減少した.VAP予防バンドルの導入はICU全体のVAP予防の意識向上と継続した実践のために,専門職からなるチームで教育することが有効である.
  • 岩下 英夫, 浅井 さとみ, 梅澤 和夫, 大橋 茉耶, 佐々木 美夏, 大島 利夫, 金子 明寛, 宮地 勇人
    2013 年 28 巻 5 号 p. 273-279
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
      歯科診療において,患者周囲環境は高率に病原微生物に汚染され伝搬リスクとなることが知られているが,効果的な消毒法は確立していない.そこで当院歯科口腔外科外来歯科診療ユニットにおける細菌学的環境調査を行い,有効かつ実践的な消毒法を検討した.
      一日の診療終了時にアルコールタオルによる清掃・消毒を行い,その直後に診療ユニット表面をスワブ拭い取りによる細菌培養検査を施行した.その結果,メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌およびα溶血性レンサ球菌等の細菌が多数検出された.アルコールによる拭き取り清掃・消毒の強化・徹底を行ったが,汚染状態の明らかな改善は認められなかった.そこで次亜塩素酸ナトリウムに浸したガーゼによる拭き取り清掃・消毒に変更したところ,検出菌量の減少を認めた.さらに清掃消毒の困難な部位(複雑な凹凸面等)に対して携帯型パルス紫外線照射装置を併用したところ,標的細菌の検出は認められなくなった.
      結論として,歯科診療ユニットの拭き取り清掃・消毒は消毒薬としてアルコールでは不十分で,次亜塩素酸ナトリウムが効果の面でより適していると判断された.さらに拭き取り清掃・消毒が困難な複雑な表面構造部位に対しては,携帯型パルス紫外線照射装置の併用が有効であった.
  • 前田 翠, 祐野 尚之, 中谷 臣吾, 中村 宣雄
    2013 年 28 巻 5 号 p. 280-284
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
      Linezolid(LZD)において,副作用である血小板減少症の発現頻度が高くなる傾向として,14日を超えて投与した場合とされている.
      しかし腎機能障害患者についても血小板減少が見られる傾向にあったため,当院において,2006年10月~2010年7月でLZD投与患者30例について腎機能障害と血小板減少との関連性を検討した.
      結果として,クレアチニンクリアランス(Ccr)が低い患者ほど,血小板減少率が大きくなる傾向にあった.また,Ccr 60 mL/min以下の患者において投与終了後における血小板数の回復までの日数も,Ccrが低い患者ほど長くなる可能性が考えられた.
      腎機能障害患者に対して,linezolidを常用量投与する場合,血小板減少が発現する可能性があり,またその回復も遅れる傾向にあるため,慎重に投与すべきであると考えられる.
  • 大石 貴幸, 四宮 聡, 伏見 了, 大久保 憲
    2013 年 28 巻 5 号 p. 285-289
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
      国内で汎用されているアデノシン三リン酸(Adenosine Tri-Phosphate; ATP)測定器と試薬を用いて,ATP標準液と標準菌株懸濁液を測定し相関関係を明確にすることで,ATPを指標とした医療分野における医療機器の清浄度評価と再洗浄の目安となる許容値設定について検討した.Lumitester PD–20とATP測定試薬LuciPac Pen(A法),CleanTrace UNG3とATP測定試薬CleanTrace UXL(B法)およびUNG3とATP測定試薬CleanTrace AQT(C法)を用いて,蒸留水,ATP粉末試薬を蒸留水に溶解した標準液,主要4菌種の標準菌株懸濁液を測定した.結果,蒸留水はATP陽性となり,一般細菌,真菌の測定限界値は各々102~103,2.0 CFU/assayだった.ATP標準液および標準菌株懸濁液の測定値はA法,B法,C法の順に高値となり,いずれの方法でも測定値は相関係数0.98以上と高い相関を示したが絶対値ではなく,各測定法間での測定値の比較には問題があると考えられた.また,どの方法でも高感度,低特異度なため,医療現場でATPを清浄度評価とする際は,医療機器洗浄後など菌残留が許容される場合に有用であることが示唆された.許容値に関しては,洗浄後の残留ATPの平均値を調べ,洗浄方法別の値を設定する必要がある.
報告
  • 中居 肇, 工藤 香澄, 吉田 泰憲, 佐藤 幸緒, 中村 一成
    2013 年 28 巻 5 号 p. 290-294
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
      フルオロキノロン系薬は,呼吸器感染症や尿路感染症に一般的に使用される.しかし,近年,フルオロキノロン系薬剤耐性の大腸菌が増加している.levofloxacin (LVFX)は標準的フルオロキノロン系薬であり,使用量増加に伴う耐性化には注意と考えられる.2009年7月から2012年3月までの期間中にLVFXを服用した大腸菌に起因する感染症を有した成人(18歳以上)入院患者のデータを収集し,LVFX耐性大腸菌が分離される危険因子を調査した.LVFX耐性大腸菌は,LVFXが投与された時点から過去6ヶ月以内の入院歴,悪性腫瘍,呼吸器疾患,尿路カテーテル使用歴,フルオロキノロン系薬使用歴と関連性があった.同定された危険因子を有する症例では,LVFX耐性大腸菌が分離される可能性を考慮し,LVFXの使用について再考する必要があると考えられる.
  • 高橋 峰子, 鈴木 高弘, 篠永 正道, 野口 雅久
    2013 年 28 巻 5 号 p. 295-300
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
      当院では託児室が設置されており,多くの職員が利用している.2011年4月に託児室において,ロタウイルス感染症のアウトブレイクが発生した.当時は,託児室の感染管理に不十分な部分があった.感染管理担当者らによる介入により,託児室向け感染防止対策マニュアルの作成,感染症発生時の報告・対応ルートの確立などを行った.その結果,保育士や職員の感染防止対策に関する意識が高まった.さらには,現在まで託児室において集団感染事例は一度も発生していない.したがって,院内託児室においても感染管理担当者の十分な介入が必要である.
  • 小林 寬伊, 菅原 えりさ, 吉田 理香, 遠藤 博久, 中田 諭, 佐々木 昌茂
    2013 年 28 巻 5 号 p. 301-302
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
feedback
Top