当院において,2009年,産科病棟で発熱する新生児症例が急増した.また,ほぼ同時期に,同院新生児室に入院した症例から
Bacillus cereus (
B. cereus)が高頻度に検出された.院内インフェクション・コントロールチームと協力し環境調査を行ったところ,産科病棟のリネンに幅広く
Bacillus属菌の汚染が認められた.このため,産科病棟における新生児発熱の増加の原因は
B. cereusのアウトブレイクであると判断し,感染対策を行った.アウトブレイクの原因は,委託クリーニング業者におけるリネン汚染が強く疑われた.感染対策により新生児室から
B. cereusが検出されることはなくなり,産科病棟における発熱症例の増加にも終息がみられた.
B. cereusは環境常在菌であり,ほとんどの消毒薬に耐性を示すため,委託クリーニング業者に完全な対策を求めることは困難である.病院は常に
B. cereus検出の動向に注目し,急速な検出数の増加がみられた場合はアウトブレイクを疑い,環境調査を行うことが求められる.
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