日本環境感染学会誌
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32 巻 , 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
短報
  • 國島 広之, 山崎 行敬, 中谷 佳子, 細川 聖子, 駒瀬 裕子, 三田 由美子, 竹村 弘
    2017 年 32 巻 3 号 p. 123-126
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/07/05
    ジャーナル フリー

    医療従事者の針刺し切創事例は,リキャップ禁止などの啓発活動や安全器材の普及により減少しているものの,全体に占めるペン型注入器用注射針の針刺し切創事例は増加傾向にある.今回,針刺し損傷防止機構付ペン型注入器用注射針(以下,「安全機構付注射針」)の導入による医療従事者の安全性への効果を把握するべく,3病院でのペン型注入器用注射針による針刺し切創発生件数を調査した.ペン型注入器用注射針による針刺し切創事例は,リキャップおよび廃棄に伴う事例が多く,安全機構付注射針の導入により月あたりの針刺し切創の発生件数は,0.33件/月から0.20件/月と減少がみられ,医療従事者の安全な就業環境の確保が得られたことが示唆された.

  • 桒原 京子, 左 卉, 堀 賢
    2017 年 32 巻 3 号 p. 127-130
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/07/05
    ジャーナル フリー

    水道水の電気分解により得た次亜塩素酸水と水道水を使用し,温水洗浄便座の洗浄ノズルの除菌効果を比較検討した.約105~106 cfu/mLの大腸菌および緑膿菌を付着させた洗浄ノズルに対し水道水でリンスと吐水を5回繰り返すと,付着菌数は4桁減少した.塩素濃度1.5 ppm含有の次亜塩素酸水によるリンスでは,大腸菌および腸球菌においてリンス3回目から検出限界以下になり,洗浄ノズル表面の細菌も検出限界以下になった.洗浄ノズルの衛生保持には,水道水よりも次亜塩素酸が有効であることが示唆されたが,緑膿菌では次亜塩素酸水を使用しても完全に除菌できなかった.温水洗浄便座を使用する対象者と場所を考慮する必要があると考えられる.

報告
  • 西村 秀一
    2017 年 32 巻 3 号 p. 131-134
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/07/05
    ジャーナル フリー

    ウイルスの不活化や殺菌効果を標榜する,据え置き芳香剤型の剤型で二酸化塩素ガスを放散させる製品の,環境表面上の病原体に対する同効果の有無を検証した.本邦の冬の生活空間を想定した室温20℃,相対湿度25%の密閉空間を,製品から放出されたガス濃度が0.03 ppmになるよう調整した.その中に,スライドグラスの上に一定量のA型インフルエンザウイルス溶液あるいはStaphylococcus aureus菌液を滴下し短時間で自然乾燥したものを置き,2時間後に回収し一定量のメディウムで洗い流し,活性ウイルス量や生菌数を測定した.その結果,当該条件下でガスの曝露を受けた検体での活性ウイルス/生菌量は,曝露のない対照のそれと変わらなかった.

  • 河村 一郎, 関谷 紀貴, 荒岡 秀樹, 根井 貴仁, 原田 壮平, 倉井 華子, 片浪 雄一, 杦木 優子, 坂本 史衣, 大曲 貴夫
    2017 年 32 巻 3 号 p. 135-140
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/07/05
    ジャーナル フリー

    我が国では,医療施設が実施するメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)サーベイランスにおいて国際的な指標に関するベンチマークが存在しない.本研究では,米国疾病対策センターが公開する耐性菌サーベイランス方法を用いて,国内7施設におけるMRSA感染対策に有用な疫学的指標を算出した.結果として,2015年度のMRSA感染・保菌発生率は1,000延べ入院患者日数あたり0.26件,MRSA血流感染発生率は1,000延べ入院患者日数あたり0.04件であった.MRSA血流感染100件あたりの30日全死因死亡率は20.3%であった.本研究成果は我が国の医療施設における耐性菌サーベイランスのレファレンスになると思われ報告した.

  • 山下 克也, 津曲 恭一, 尾田 一貴, 小園 亜希, 田中 亮子, 中村 光与子
    2017 年 32 巻 3 号 p. 141-147
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/07/05
    ジャーナル フリー

    現在日本では異なる抗原由来の2種類のB型肝炎ワクチンが市販されている.通常1回のシリーズ(6か月間に3回接種)では同じ製品が使用されるが,1シリーズ中に異なる抗原由来のB型肝炎ワクチンを接種した場合の抗体獲得について検討された報告は少ない.今回,1シリーズ中に異なる抗原由来のB型肝炎ワクチンを接種した場合の抗体獲得について検討した.

    過去にB型肝炎ワクチン未接種であり,HBs抗体陰性が確認された被験者で,3回目を異なる抗原由来のB型肝炎ワクチンを接種した群を対象群(A群),3回全て同じB型肝炎ワクチンを接種した群をコントロール群(B群)とした.ワクチンの投与は皮下注で行い,HBsAb定量およびHBsAb定性は採血で測定し,10.00 COI以上をHBsAb陽性と判定した.有害事象は3回接種後の副反応を調査票で収集し,CTCAE Ver.4.0にて評価した.

    A群は9名,B群は7名であり,両群ともに全例で抗体獲得が確認された.有害事象はA群で3件,B群で1件認められたが,いずれもGrade 1であった.A,B群合わせた副反応の内訳は注射部位の疼痛3件,皮膚硬結1件であり,重篤な副反応を呈した症例はなかった.

    今回認められた有害事象はいずれもワクチンに共通した副反応であると考えられ,1シリーズ中に異なる抗原由来のB型肝炎ワクチンを接種しても良好な抗体獲得が得られる可能性が示唆された.

  • 佐藤 公則, 横山 由香里, 石井 絹子, 徳武 正彦, 根本 翼, 小林 恵子, 張 慶哲, 南 希成, 笠井 正志
    2017 年 32 巻 3 号 p. 148-154
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/07/05
    ジャーナル フリー

    抗菌薬使用に伴う薬剤耐性菌の蔓延は喫緊の社会問題である.抗菌薬適正使用プログラム(Antimicrobial Stewardship Program:ASP)の導入は,抗菌薬適正使用に一定の成果が期待されるものの,本邦小児病院における成果はまだ不明瞭である.当院では,感染制御室を設立した2005年より,ASPに取り組んできた一方で,成果がうまく出ず,医師の臨床判断への介入ができていないことがその原因と考えた.そこで,2012年4月より感染制御室スタッフによる感染症コンサルテーション制度を導入,その成果を,導入前後でPhase 1,Phase 2の2つに分け,院内の診療データベースを用い,後方視的に検討した.対象期間において,メロペネムのdays of therapy(対1000患者日数)はPhase 1で13.6,Phase 2で6.5と,有意に減少した(p=0.02).院内の臨床検体より分離された緑膿菌のメロペネムに対する感受性率も,それに伴い2013年度の79%を最低値として2015年度には88%まで改善した.一方で,両期間において,全死亡率,感染症が関与した可能性のある死亡率に変化はなかった.感染症コンサルテーション制度の導入により,本邦小児病院においても安全に広域抗菌薬の使用を減ずることができ,微生物の薬剤耐性改善のみならず,経済的にも利点が得られた.

正誤表
  • 2017 年 32 巻 3 号 p. 155
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/07/05
    ジャーナル フリー

    環境感染誌に掲載した以下の論文中に下記の誤りがありました.慎んでお詫び申し上げるとともに,以下に修正致しますので,宜しくご確認下さい.

     

    掲載巻号:Vol. 31,No. 6,p. 366-369

    論文タイトル:〈短報〉MDRP およびMDRA に対する複合型塩素系除菌・洗浄剤の有効性

    著者名:河口 義隆・尾家 重治・古川 裕之

     

    掲載巻号:Vol. 32,No. 2,p. 67-73

    論文タイトル:〈原著〉抗菌性フィルムドレッシング材が中心静脈カテーテル挿入患者の刺入部皮膚細菌叢に与える影響

    著者名:加藤由紀子・浜田 幸宏・久留宮 愛・岡前 朋子・高橋 知子・坂田 美樹・末松 寛之・吉田 英二・西山 直哉・小泉 祐介・山岸 由佳・三鴨 廣繁

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