本研究の目的は,The Health Action Process Approach(HAPA)理論を用いた新人看護師の手指衛生認知尺度の開発を試みることである.
大学病院に勤務する看護師209名を対象に,手指衛生に関する質問紙調査を実施し,83名(39.7%)の有効回答を得た.
最尤法,プロマックス回転を用いた探索的因子分析を行った結果,HAPA理論の主要な要素を含む20項目からなる5因子構造が得られた.累積寄与率は71.07%であった.因子は,手指衛生を実践するための自己効力に関連する項目について【セルフエフィカシー】,手指衛生をどのように意図しているかについて【意思】,手指衛生を実践する際の具体的な計画について【コーピングプランニング】と【アクションプランニング】,手指衛生を実践することによる成果について【アウトカム予期】と命名した.各因子のCronbach'sαは,それぞれ0.92,0.91,0.91,0.86,0.77であった.また,これらの構造について確証的因子分析を行った結果,GFI=0.772,AGFI=0.703,CFI=0.910,RMSEA=0.090であった.
今後改良の必要性があるものの,HAPA理論の主要な要素を含む新人看護師の手指衛生認知尺度が開発された.
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