環境感染
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10 巻 , 3 号
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  • 高橋 聡, 広瀬 崇興, 横尾 彰文, 佐藤 隆志, 塚本 泰司
    1995 年 10 巻 3 号 p. 1-7
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    院内感染の原因菌となりうるとされている緑膿菌以外の主なグラム陰性桿菌 (GNR) の院内尿路感染について検討した. 札幌医科大学医学部付属病院泌尿器科において1976年から1994年までにSerratia marcescens, Acinetobacter spp., Enterobacter spp., Citrobacter spp.が尿より104CFU/ml以上分離された入院症例と臨床分離株を対象とし, 入院後感染の状況, 血清型, 病室と分離期間などについて検討した. S. marcescensは一時期に他院からの持ち込みによる集団発生を認めたが, 近年ではほとんど分離されていなかった. これは, 抗菌力の強い第三世代セフェム系抗菌薬の登場のためと考えられた. Acinetobacter spp., Enterobacter spp. は一部ばらつきはあるものの, その入院後の感染頻度は1-2%であり, ほとんど院内感染の原因菌となっていなかった. Citrobacter spp. についてもほぼ同様であったが, 1994年には入院後感染の頻度は1.8%とそれ以前と比較して増加した. そのため病室と分離期間を検討したが, 明らかな集団発生は認めなかった. したがって, 緑膿菌以外のGNRについては院内感染原因菌となっていないのが明らかとなったが, 今後薬剤の使用状況などにより一部耐性菌の出現が問題となる可能性も考えられた.
  • 佐藤 征, 三浦 富智, 斎藤 芳彦, 工藤 肇
    1995 年 10 巻 3 号 p. 8-14
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    弘前大学で院内感染の予防対策を組織だって実施する以前の病院内環境における細菌の汚染状況を把握する目的でMRSAの分離を試みた.(1) 医療従事者および病棟環境からの黄色ブドウ球菌の検出率は23.6% (91/386) であった.(2) 黄色ブドウ球菌中に占めるMRSAの割合は64.8% (59/91) であった.(3) β-ラクタマーゼ産生はMRSAは100% (59/59), MSSAは62.5% (20/32) であった.(4) コアグラーゼ型はMRSAでは全株 (59) がII型であり, MSSAではII, III, V, VII, VIII型に散在し, I, IV, VI型は検出されなかった.(5) 病院環境 (医療従事者と病棟環境) 由来株と患者材料由来株の薬剤感受性パターンには差を認めなかった.(6) MRSAのミノサイクリンに対する感受性はすべて感受性 (+++-++) であったが,(++) を示した株は病院環境由来株の47.5% (28/59) に対し, 患者材料由来株は66.7% (4/6) で, 患者材料由来株が若干感受性が低下していた.
  • 木津 純子, 荒野 敬子, 箕輪 秀子, 竹内 京子, 山本 健二, 川名 尚
    1995 年 10 巻 3 号 p. 15-22
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    1990年4月1日より1995年3月までに東京大学医学部附属病院分院検査部細菌検査室で検査した入院患者の臨床材料から, 黄色ブドウ球菌が分離された患者数, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) が分離された患者数について, それぞれ年度ごとに集計した. その結果, 黄色ブドウ球菌の分離数には変化が無いことと, 1991年, 1992年頃を境にMRSA分離患者数は減少していることが判った. さらに1991年と1994年に分離されたMRSAの各抗生物質別薬剤感受性を調べたところ, セフェム系抗生物質の薬剤感受性が高くなっていることが示された. この変化の要因の一つとして, 抗生物質, 特に第三世代セフェム系の使用量の激減が考えられる.
  • 齋藤 ゆみ, 青木 利志恵, 本間 洋子
    1995 年 10 巻 3 号 p. 23-31
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    1992年5月から1994年10月にかけてNICUにおけるMRSAの院内感染防止対策を実施した.
    1992年7月調査時, 環境からのMRSA分離率は38/56ヵ所 (67.8%), 患者に接触後の看護婦の手指は13人中6人 (46%) とほぼ半数からMRSAが検出された.
    一回目環境調査の結果に基づいて看護用具や清掃の方法を改善し, 3ヵ月後, 同様な調査を実施した結果, 環境からのMRSA分離率は11/43ヵ所 (25.5%) で約半数以下に, 処置後の看護婦の手指も26.6%と前回の半数に減少していた. しかし患児の咽頭からのMRSAの高率な分離率に変化はなかった.
    翌年1993年3月のもっとも汚染の危険が高いと思われるおむつ交換およびサクション後の看護婦の手指細菌の調査では, 処置前, 後とも約80%以上の手から, また同時に環境の汚染も進んでおり, そのことを反映して患児の前胸部からMRSAが12人中11人 (91.6%) 分離された.
    清拭方法やサクション方法など看護方法を検討し, 手順や必要物質の改善やその徹底のため教育ビデオを作成して周知を図った.
    このような対策を実施した結果, 1994年10月のMRSAの検出率は患児の前胸部で11人中7人 (63%), また看護婦の処置前, 後でそれぞれ9人中3人 (33%), 9人中6人 (66%), 環境で16ヵ所中4ヵ所 (25%) と減少した. しかし院内感染予防に満足な結果とはいいがたく, 今後さらに検討を重ねる必要がある.
  • 塩谷 譲司, 林 泉
    1995 年 10 巻 3 号 p. 32-36
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    MRSA落下菌対策としての抗菌カーペットタイルの効果を検討した. 抗菌物質インターセプト®を含む抗菌カーペットタイルを頭頸科病棟とリカバリー病棟に敷設して拭い試験を行ったところ, MRSA検出率は既存のプラスチックタイルに比べ頭頸科病棟では61/114 (53.5%) に対し37/228 (16.2%), リカバリー病棟では7/40 (17.5%) に対し9/120 (7.5%) と低下した. ベイパーバックシステムによる清掃後は頭頸科病棟で5.3%とさらに低下した. プラスチックタイルとの菌量比較試験では, プラスチックタイルに比べMRSAは有意に少なかった. 抗菌能力は1年間の観察で低下することはなかった. 抗菌カーペットタイルのメインテナンスは, スターチ粉末による揉み上げ清掃よりもベイパーバックシステムによる清掃がよいと判明した.
  • 松宮 良子, 市古 裕子, 三鴨 悦子, 加藤 はる, 加藤 直樹, 渡辺 邦友
    1995 年 10 巻 3 号 p. 37-40
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    産婦人科で患者の膣や外陰部の洗浄に用いている診療ユニットの温水器を検索したところ, 滅菌蒸留水を使用しているにもかかわらず, ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌などが検出されたことを先の本学会誌 (松宮, 他, 1994年) で報告した.
    そこで, 今回はその温水器の有効な除菌対策を検討すると同時に, その効果を13ヵ月にわたり定期的な調査とそれに続く抜き打ち検査を行うことにより検討した.
    温水器はその材質のためアルコール消毒, EOG滅菌, 高温滅菌ができないことから, 次善の策として容器の乾燥, 清掃, 消毒液による消毒を検討したところ, 温水器内の乾燥や清掃では十分な除菌効果は得られなかった.
    一方, 温水器内を十分に洗浄後, 0.1%塩化ベンザルコニウム液で1時間消毒する方法では消毒後菌は検出されず, 1週間ごとに手順通りの対策を行ったところ, 温水器内の細菌汚染は6ヵ月以上にわたり認められなくなった. しかしその後, 電熱線を覆っているビニールチューブは温水器内の水を空けると電熱線の熱により比較的容易に破損し, この破損部位に細菌が付着し増殖しやすくなることが判った.
    今回, 検討した診療ユニットは産婦人科病棟において一般に広く使用されているが, 温水器の下部に水が停滞する, 清掃時の取扱が簡単ではない, 電熱線が破損しやすいという問題があり, この装置の構造の改良が強く望まれる.
  • 小松 侯子, 高橋 京子, 三浦 香苗, 関根 優子, 石田 政子, 辻原 佳人, 国分 勝弥, 高橋 孝行, 白井 裕二, 森田 雅之, ...
    1995 年 10 巻 3 号 p. 41-48
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    病院給食は, 食事療法を目的とした患者に細心の注意を払い, 安全かつ衛生的に食事を提供しなければならない. そこで医療機関における配膳車および食器類の衛生管理運営状況についてのアンケート調査を実施した. またこの調査を基に, 当院の給食用配膳車および食器類の細菌汚染調査を行った.
    1. アンケート調査結果から細菌調査を実施した医療機関は74%あり, その内訳は手指培養試験が21%, まな板無菌試験が21%, 厨房室内汚染菌調査が19%などであった.
    2.病院給食の配膳および食事介助者は病棟看護婦, 病棟婦で76%を占めていた. その時の手洗い励行率は67%, マスク着用率は15%であった.
    3. 当院の給食用配膳車の配膳前, 下膳後の細菌汚染調査では, 配膳前と比べて下膳後にStaphylococcus aureus (S. aureus), Staphylococcus epidermidis (S. epidermidis) および腸内細菌群が多く検出された.
    4.配膳車の天蓋, 棚, 手スリ, タイヤの細菌汚染調査で, タイヤからS. aureus, S. epidermidisおよび腸内細菌群が多く検出された. また, 配膳搬送専用エレベータ床, 配膳室床からも配膳車のタイヤと同様の菌が検出された.
    5.独食患者および介助必要患者の病院給食用食器, トレーからは, 下膳後にS. aureus, S. epidermidis, 腸内細菌群が検出された.
    以上, 今回の細菌汚染調査結果から, 定期的な配膳車のタイヤ汚染調査は院内の環境汚染状況を把握する一つの方法とも考えられた. また食器類は患者個人専用ではないため, 感染防止上, 使用後は十分に洗浄消毒する必要がある. さらに患者給食の配膳は病棟看護婦, 病棟婦の大部分が携わっていることから, 手洗いの励行を徹底することが改めて認識された.
  • ナースキャップ付着菌の細菌学的検討
    片山 由美, 月田 早智子, 南出 和喜夫, 岸下 雅通
    1995 年 10 巻 3 号 p. 49-52
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    今回, 院内感染と医療従事者の衣類について検討すべく, 京都大学本医療技術短期大学部学生のキャップの汚染状態を調査した. 菌分離は, 病棟実習中の本学短期大学部3回生36名を対象にキャップの7ヵ所をスタンプして行った. 同時に被検者全員の手指からの分離も行った.
    菌分離者は36名中75%の27名であり, そのうち1名のキャップからStaphylococcus aureusが分離され, MRSAであった. その他, キャップや手指からの分離菌種は表皮ブドウ球菌, 真菌類, その他の細菌が占めていた.
    キャップの使用期間と菌分離の関係は明確には解らなかったが, キャップの汚染源として使用者の手指・病院環境・医療機器などが考えられ, キャップのみならず医療従事者の頭部は汚染されているという認識をあらためて得た.
    本調査において, 表皮ブドウ球菌やその他の細菌がその多くを占めていた.さらに表皮ブドウ球菌などのCNSがすでにメチシリンに耐性を持ち, 院内感染の主流になりつつあるという事実を再確認した. 今後, 院内感染起因菌の変遷に伴い, 感染防止行動の基本である手洗いを徹底させるとともに, 医療従事者の衣類に関する感染防止行動指針の確立が必要と思われる.
  • 電子顕微鏡的観察
    岩沢 篤郎, 中村 良子
    1995 年 10 巻 3 号 p. 53-57
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    強酸性電解水 (アクア酸化水) 処理後の細菌の形態変化を電子顕微鏡で観察した.
    グラム陽性球菌では膜肥大, 菌体内densityの低下が認められたのち, 空胞化した菌や破壊された菌が観察された. グラム陰性桿菌ではグラム陽性球菌より菌の破壊が激しく, Bacillusは他の菌と比べ障害の程度が低かった.しかし芽胞の一部, 膜の一部が破壊されている像が観察された.
    以上, アクア酸化水の作用は塩素による酸化反応が殺菌効果のメカニズムの本体であり, 易反応性のものから反応する非特異的なものであった. 細菌ばかりでなく培養細胞に対する作用も認められたことから, 含まれる塩素量などに適した使用法が望まれた.
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