環境感染
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10 巻 , 2 号
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  • 第2回院内感染対策講習会 (東海・北陸地区) 受講看護婦を対象に
    品川 長夫, 由良 二郎
    1995 年 10 巻 2 号 p. 1-5
    発行日: 1995/10/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    厚生省健康政策局より日本感染症学会に委託された第2回院内感染対策講習会 (東海・北陸地区) を受講した看護婦を対象に院内感染に関するアンケート調査を試みた. 回答者は246名, 回答率91.1%であり, 結果は以下のごとくであった. 院内感染対策として手洗いは重要である (99%) が, 院内での手洗いはあまり十分ではないと思う (45%). 手洗いにより手が荒れて苦痛である (7%), 荒れて少し苦痛である (29%). 看護婦側からみて医師は院内感染対策についてあまり熱心でないと思う (64%). MRSA患者は隔離するほうが多く (81%), 家族の入室を制限するほうが多い (44%).患者およびその家族のMRSAに対する反応は以前と変らない (37%), 以前より鋭敏となった (33%). 自分の鼻腔よりMRSAが分離されたら除菌してほしい (79%). 患者を含め一般市民はMRSAについて誤った知識を持っていると思う (29%), 誤った恐怖心を持っていると思う (36%). 新聞やテレビなどの報道により一般市民は啓蒙されたとは思えない (53%) などの回答であった.
    今後, 院内感染対策ばかりでなぐ一般市民への対応も大切と考えられた.
  • 赤羽 貴行, 川上 由行, 沖村 幸枝, 太田 伸, 全田 浩, 緒方 洪之
    1995 年 10 巻 2 号 p. 6-11
    発行日: 1995/10/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    院内感染の中でcompromisedhostに対する感染症はヒトの常在菌や病院内環境細菌などの弱毒菌によって起こる場合もある. 今回, 新病棟への一部移転に伴い, 旧病棟と新病棟の細菌叢の比較と新病棟の経時的な環境細菌叢の調査を行った.
    旧病棟ではブドウ糖非発酵菌が約50%ともっとも多く, 以下グラム陽性桿菌, 真菌の順となった. また, 新病棟では移転前1週間から移転後2週間では非発酵菌が50%以上検出され, ついでグラム陽性桿菌が検出された. 移転後1ヵ月からはグラム陽性桿菌が50%以上となり, 非発酵菌の分離率と逆転した. 真菌は全調査期間を通して常に10%以下で推移していた. 一方, 腸内細菌科の菌種は移転後2週間から検出され始め, 約1-2%前後で推移していた.
    病棟移転後の環境中の細菌叢は一定しておらず, 弱毒菌以外の細菌も検出された. また, 院内感染は病院内の独自の菌株 (hospital strain) が密接に関連しているといわれていることからも, 今後も定期的な院内環境調査を行い, 院内環境分離菌の頻度と臨床材料由来菌との成績の比較や, 環境由来菌による院内感染症の解析に努める必要があると思われた.
  • 加藤 はる, 加藤 直樹, 渡辺 邦友, 上野 一恵, 坂田 葉子, 藤田 晃三
    1995 年 10 巻 2 号 p. 12-17
    発行日: 1995/10/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    3回の再発が認められた11歳のClostridium difficile性腸炎例の計4回のエピソードにおけるC.difficile分離株について, ウェスタンプロッティング (WB), パルスフィールドゲル電気泳動 (PFGE), およびpolymerase chain reaction (PCR) によるタイピングを用いて検討した.エピソード2の際の分離株はどの3つのタイピング法を用いてもエピソード1の際の分離株と同じタイプであり, エピソード2はエピソード1と同じ株による再燃と考えられた.しかし, エピソード3の際の分離株は3つのタイピング法でエピソード1および2の分離株と異なるタイプを示したことから, 新しい菌株による再感染であると考えられた.エピソード4の際に分離された菌株はWBタイピングではエピソード1と2の際に分離された菌株と異なり, さらにエピソード3からの分離株とも異なるタイプであった.しかし, エピソード4からの菌株はPFGEタイピングでは細菌のDNAが抽出過程で破壊されタイピングができず, PCRタイピングではエピソード1および2からの分離株とはminor bandに違いが認められたのみで, エピソード1と2の分離株と同じタイプに分類された.これらのことからエピソード4はさらに新しい菌株による感染と考えられた.Cd顔ae起因性腸炎では治療にいったん反応しても, 再発が多いことが治療上大きな問題となっている.タイピング法は, このような再発が同じ菌株による再燃なのか, 新しい菌株による再感染なのかの検討を可能にし, C.difficile感染の治療や予防を行ううえで非常に有用であると考えられた.
  • 田邊 忠夫, 有働 武三
    1995 年 10 巻 2 号 p. 18-22
    発行日: 1995/10/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    院内疫学的調査を目的として, 本学病院臨床各科病棟 (入院患者) 由来MRSA200菌株につきプラスミドDNAのスクリーニングを行い, 他の若干の性状とともに考察を加えた.
    その結果, プラスミド非保有菌として37菌株 (18.5%) を認める一方で, 0.9~約40kbのサイズの異なる10種類のプラスミド分子種が確認された. このうちもっとも大きなサイズ (pCL4) と, もっとも小さなサイズ (pCS1) のプラスミドは本学病院内で高頻度に検出される分子種であった. これらのプラスミド保有菌株の病棟別分布をみると, 病棟によっては (たとえばNICUおよび小児科) 病棟環境に依存した特徴的な分布状況を確認することができたが, 多くの病棟では病棟間での伝播あるいは菌株間でのプラスミドの授受の進行を示唆する多様なプラスミドパターンがみられた. さらに, 特定のプラスミドとそれを保有する菌株の示す薬剤耐性に密接な関係を認める例も判明した.
  • 中塩 哲氏, 山口 晋, 柳川 忠二, 清藤 啓之, 小笹 貴夫, 萩原 優, 田中 圭一, 山村 卓也, 木村 正之
    1995 年 10 巻 2 号 p. 23-30
    発行日: 1995/10/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    病院内感染の防止にあたり医療従事者・患者の手指消毒はきわめて重要である. しかし, 頻回の消毒剤使用に伴う手荒れ等の副作用も臨床現場では大きな問題となっている. 今回新たに開発された消毒剤IW-051 (岩城製薬) は0.2% (W/V) 塩化ベンザルコニウムを含有するフォーム状擦式消毒剤であるが, これを用いて医師45名, 看護婦57名を対象に4週間にわたって日常臨床現場において手指消毒を実施し, パームスタンプ法によりその消毒効果, 安全性を検討した.
    IW-051による消毒で手掌表面から検出される総菌数は減少し, 減菌率は良好であった. 菌種別にはBacillus属, 真菌および皮膚常在性のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌, コリネバクテリウム属菌を除くほとんどの菌種が完全に除菌された. 4週間の連続使用で鞍裂・発赤等の副作用は102例中わずか4例 (3.9%) にとどまった.
    以上のことからIW-051は消毒効果, 安全性に優れ, さらに日常臨床現場において使いやすいことから, 有用性の高い擦式フォーム状消毒剤であると考えられた.
  • 大ヶ瀬 浩史, 武智 誠, 大塚 壽, 柴田 大法, 菊池 幸, 土手 健太郎
    1995 年 10 巻 2 号 p. 31-35
    発行日: 1995/10/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    医療従事者 (看護婦) 10人について, 速乾性擦式アルコール手指消毒剤を用いた5つの手指消毒方法を比較検討した. すなわち, 0.2% (w/v) 塩化ベンザルコニウム含有83% (v/v) エタノール製剤 (ウエルパス®) 3mlを手指にとり積極的に指先と指間を消毒する3ml推奨法, ウエルパス® 3mlを足踏み式ディスペンサーで噴霧式により手指にとり擦り込む日常行っている3ml噴霧法, ウエルパス®をハンディボトルにより1mを噴霧式で手指にとり擦り込む日常の1ml噴霧法, 0.2% (w/v) グルコン酸クロルヘキシジン含有83% (v/v) エタノール製剤 (ヒビスコール®) の専用電動噴霧消毒器 (1回3.2ml) より手指にとり擦り込む日常の自動噴霧法, 日本薬局方消毒用エタノール専用噴霧消毒器 (1回0.8~0.9ml) より手指にとり擦り込む日常のアルコール法の指先・指間の消毒効果を比較した.
    消毒後, 指先, 指間とも推奨法は他の方法と比較し生残菌数は低値を示し, 有意な差が認められた (Mann-Whitney U検定, p<0.01).
    さらに消毒後の菌数を各指で比較すると, 3ml噴霧法を除いて母指が最大で, 1ml噴霧法の母指と小指およびアルコール法の母指と示指および小指で有意の差があった (Mann-Whitney U検定, 各p<0.05およびp<0.01).
    以上より, アルコール手指消毒において十分な薬液量を使用し, 推奨法のように手指全体に薬液が行き渡るように注意を払い, 指先と指間を念入りにラビングする方法が有効であることが示唆された.
  • 福井 徹, 安斉 栄子, 原口 克介, 熊坂 一成
    1995 年 10 巻 2 号 p. 36-39
    発行日: 1995/10/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    1994年7月下旬から約2ヵ月間に, 集中的に血液培養636検体中56例からBrukholderia cepacia (Pseudomonas cepacia) が検出され, 採血時の消毒に使用したポビドンヨード液の汚染による可能性がきわめて高い結果を得た.血液培養においてB.cepaciaが検出された8施設の, 採血から検査に至る過程で使用する各種材料, およびポビドンヨード液の病院回収品とメーカー保存の同一ロット製品を試料として菌の検出を試みた.各種試料のうち, 使用中と未使用のポビドンヨード液原液, ポビドンヨード綿球から本菌が検出されるものがあり, 綿球からは繰り返し同菌が検出された.病院で保存中の未使用原液では10検体中2件で本菌が分離された.しかし, 同一の原液であっても繰り返し分離されるとは限らなかった.メーカー保存のポビドンヨード液は全ロットとも検出されなかったが, メーカーは事実関係を厚生省に報告し, すべての製品を回収するとともに製造ラインを詳細に点検した.その結果, 本菌の混入ルートは製造ラインの気液分離器内での細胞外物質に覆われた菌塊の形成によるものと判明した.この短期間に集中的に血液培養から検出されたB.cepaciaのほとんどは, 採血時の消毒に用いた汚染されたポビドンヨード液からの混入によるものであり, いわゆる偽性敗血症と考えられた.今後は我国でも病院感染源の一つとしてポビドンヨード製剤にも注意をはらう必要かある.
  • 矢野 久子, 小林 寛伊
    1995 年 10 巻 2 号 p. 40-43
    発行日: 1995/10/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    病院感染防止対策のうえで, 手洗いの重要性が強調されているにもかかわらず十分な衛生学的手洗いが行われていないという指摘がある. 今回, 気管内吸引前後の看護婦の手洗い行動の観察と手指の細菌学的状態を調べた.
    126回の気管内吸引前後における手洗い行動の観察結果では, 吸引前後に手洗いを行ったのは1回 (0.8%) であった. 吸引前後に手洗いをしないで素手で吸引, または吸引に際して手袋の着脱をしなかったのは25回 (19.8%) であった. 観察した全手洗い時間の平均は5.6秒 (標準偏差3.1) であり, 手洗い行動の不十分な現状が明らかになった.
    吸引前, 直後の看護婦の手指からはmethicillin resistant Staphylococcus aureus (MRSA), Serratia marcescens, Klebsiella pgumoniaeが検出された. 気管内吸引後, 8-12秒の4w/v%手洗い用クロルヘキシジンによる手洗いを行った後では, ほとんど細菌は検出されなかった.
    手洗いの不十分な現状とともに手洗いをまず行うことの重要性が明らかになった.
  • 矢野 久子, 小林 寛伊, 奥住 捷子
    1995 年 10 巻 2 号 p. 44-47
    発行日: 1995/10/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    病院感染防止のために衛生学的手洗いは重要である. しかし, 病棟などでの手洗いの頻度, 手洗い時間の短さが指摘されている. 高度に手指汚染した場合の手洗い時間, 手洗い方法とその効果について検討した.
    手洗いの訓練を受けていない対象者1名の手指 (片手) に, 7.0×108 CFU/mlStaphylococcus aureusまたはEscherichia coliを片手に100μlずつ付着・乾燥させた後に衛生学的手洗いを行った. 手洗いの時間は5-60秒であり, 手洗い方法は流水のみ, 石鹸と流水, 4w/v%手洗い用クロルヘキシジンと流水, 10w/v%ポビドンヨードと流水て, 片手ずつ手掌全体を培地に押しつけた. 各群の手洗いは5回ずつ行った. 培養後, 菌数算定を行い, Wilcoxonの符号順位検定を行った.
    流水のみで5秒間手洗いをした場合の対数減数log10 reductionは, S. aureusが4.0, E. coliが3.2であった. 流水のみ. および石鹸と流水による30~60秒間の手洗いの場合では, 両付着菌とも十分には除去されなかった. 両消毒薬を使用して20秒間以上の手洗いを行うと, 付着菌はほぼ除去された. 両消毒薬を使用しての手洗いは, S. auyeusはどの手洗い時間でも, E. coliは10秒間以上の手洗いで, 流水のみあるいは石鹸と流水での手洗いと比較して有意 (p<0.05) に菌数が減少した.
    以上より, 手洗いは行うことが第一に重要である. 高度の汚染の場合は, 消毒薬を使用して20秒間以上の手洗いを行う必要がある.
  • 石井 周子, 向田 瑛子
    1995 年 10 巻 2 号 p. 48-50
    発行日: 1995/10/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    歯科衛生士は歯科治療に鋭利な刃物を多く使用することが多く, これらの刃物が病原微生物に汚染されている時は職業感染を起こす可能性が高いと考えられる.
    1992年1月から93年10月までに東海大学病院口腔外科を受診した2858名のHCV抗体陽性の有無について検討を行った. 2858名のうち陽性者数は100名で, 3.4%であった. 輸血歴, 肝疾患歴, いずれの既応歴がなくてもHCV抗体陽性者は認められており, 問診などだけでなく, 術前検査としてHCV抗体の測定が歯科治療においても必要と思われた.
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