環境感染
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11 巻 , 2 号
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  • 佐藤 清, 今井 高祐, 護白ヶ野 均, 小林 邦彦, 松野 一彦, 千葉 仁志, 齋藤 玲, 小川 良彦
    1996 年 11 巻 2 号 p. 101-109
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    院内感染予防対策の一環として, 抗菌加工の白衣・予防衣等の使用が広まっている.我々はこの有効性を検討する目的で, 敷島紡積株式会社 (敷紡) が抗菌加工布に使用している抗菌物質 (KY-88, 60%溶液) について, 主な臨床分離株3菌種, 各10株を選択し計30株の感受性 (MIC) を測定して以下の成績を得た.Staphylococcusaureus500μg/ml (重量0.05%), Escherichia coli 900μg/ml (0.09%), Aeudomonasaeruginosa 500μg/ml (0.05%).一方, KY-88を繊維に加工した抗菌加工布とグルコン酸クロルヘキシジン0.05%の湿潤した布について抗菌効果を対比した結果, 抗菌加工布 (KY-88) では菌の発育が完全に抑制されたのに対して, グルコン酸クロルヘキシジンでは菌の発育が顕著に認められた.一方, 感受性株のうち, 無作為に1株ずつを選択して抗菌加工布 (KY-88) に塗布して, 細胞の形態変化およびPaeruginosaに対するbiofilmの形成など走査型電子顕微鏡 (電顕) で観察したところ顕著な変化が認められた.
  • 児玉 晴美, 中尾 誠, 山本 秀子, 近藤 文子, 武市 千佳子, 畠山 和人, 一山 智, 太田 美智男
    1996 年 11 巻 2 号 p. 110-113
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    医療従事者の手指の汚染は院内感染の交差感染の重要な要因の一つである.特に近年の医療の進歩に伴うCompromisedhostの増加に対して, 患者と接触する機会が多い看護職員の日常手指消毒は重要と考えられる.我々は院内感染予防対策の一環として, インスタントハンドサニタイザー (アルコール製剤), クロルキシレノール添加インスタントハンドサニタイザーおよび対象としてオスナック液の3種類の速乾性擦式消毒薬を用いて看護婦の手指の消毒効果を比較検討した.
    その結果, インスタントハンドサニタイザーおよびクロルキシレノール添加インスタントハンドサニタイザーについて, 1ml, 2ml使用時ともに約15秒間のラビングにて良好な消毒効果が認められた.また, オスナック液については3ml使用で約15秒間のラビングにて同様の消毒効果が認められた.
  • 余 明順, 秋山 美章, 本田 武司
    1996 年 11 巻 2 号 p. 114-116
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    食塩水の電気分解により得られる電気分解産物 (電解水) を用いた医療用小器具の簡易消毒法について検討した.食塩水電気分解水の流水利用と超音波装置を組み合わせることによって残留塩素濃度20ppm, 20分間の洗浄操作でハサミのような重なり部分のある器具についても完全に殺菌できることが明らかになった.
  • 乙黒 一彦, 鈴木 英世, 秋丸 洋子, 飯島 肇, 矢島 洋一, 上馬場 和夫, 丁 宗鉄, 小林 英郎, 小宮山 寛機
    1996 年 11 巻 2 号 p. 117-122
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    Comparative studies on the disinfectant activities of electrolyzed acidic aqueous solutions (EAAS; pH 2.5-2.6) and 0.2% benzalkonium chloride (Welpas) were carried out by the glove juice method. After triplicate determination of baseline levels of the hand skin flora in 128 volunteers, the skin was washed with flowing EAAS I or II for 90 seconds or a single application of 3 ml of Welpas. Bacteria on the washed hands were collected by the glove juice method, and the number of bacterial colonies formed in agar plates were counted. The activities of EAAS I and EAAS II were compaired with that of Welpas.
    The bacterial reduction rates of EAAS I and Welpas were 65.1% and 58.7%, and those of EAAS II and Welpas were 70.2% and 57.6%, respectively. The logarithmic reduction values of EAAS I and Welpas were 0.60 and 0.74, and those of EAAS II and Welpas were 0.57 and 0.52, respectively. There were no statistically significant difference among the three solutions under the present experimental conditions.
    Thus EAAS I and II may be useful disinfectants for the hands, however it is essential to examine the influence of frequent washing for clinical use. In addition, it is needed to establish water supply and drain systems to use this equipment.
  • 松野 容子, 水野 秀一, 大徳 優子
    1996 年 11 巻 2 号 p. 123-127
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    病院環境における菌の分布やその動態の一端を明らかにする目的で, 病棟エレベーターの押しボタンと手指を対象とする細菌学的検討を行った.使用人数別 (1~8人) および経時間的 (30~120分) に押しボタン上から検出された菌数は, おおむね0から最高150~300colony forming units (CFU) で, そのうちの70%以上が20 CFU未満であった.しかし, 時に1200CFUもの菌が検出されるなど, 一部のヒトの手指の汚染状況に応じて接触後に非常に汚染された状態が生じうることが明らかとなった.無作為な押しボタンの拭き取り調査では最高検出菌数は約300CFUであったが, 平均検出菌数は約100CFUと高く, その一因として皮脂による菌の付着効果が考えられた.また, 押しボタンから手指に付着したcoagulase negative staphylococci (CNS) の経時的なプラスミドプロファイルからは複数の異なる菌株が確認され, 手指を介して菌が刻々と伝播されていく実態が推察された.
  • 坂井 朝子, 丹下 正一, 市川 秀一, 高橋 征子, 原 テツ子, 浜辺 由利子, 石井 美津子, 山中 克美, 小沢 智子, 佐竹 幸子
    1996 年 11 巻 2 号 p. 128-133
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    効果的なMRSA院内感染対策を実施するために, 全入院患者および病棟勤務職員を対象に鼻前庭のMRSAサーベイランス培養を定期的に実施して感染対策の効果を判定した. 職員のMRSA陽性率と交差感染発生率の相関は低かった. また, 患者のMRSA交差感染発生率は, 患者のMRSA陽性率が高い病棟よりも重症患者の多い病棟において高いことが判明した. これらの結果に基づいて, 病棟の特徴に応じて院内感染対策を変更し, MRSA交差感染発生率を減少させることができた.
  • パルスフィールド・ゲル電気泳動法によるRFLP解析を用いて
    田部 陽子, 上杉 文子, 三澤 成毅, 小栗 豊子, 面恵 美子, 猪狩 淳
    1996 年 11 巻 2 号 p. 134-140
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    特別養護老人ホーム内の各種細菌による環境汚染状況および入所者の保菌状況について疫学的調査を行った. 検出頻度の高かったブドウ球菌に注目し, 主に寝たきり老人が保菌者となっていたMethicillin resistant S. aureus (MRSA) について生物学的性状と薬剤感受性パターンによる型別に加えて, パルスフィールド・ゲル電気泳動法 (PFGE) を用いた染色体DNAの制限酵素切断片の多型 (restriction fragmentlength polymorphism: RFLP) 解析によるgenotypingを行い, ホーム内での生息状況に関する詳細な情報収集と実態把握を試みた. その結果, ホーム2階から検出されたMRSAはすべて同一のDNA切断パターンを示し, 入所者間の交叉拡散の可能性が疑われた.3階からは複数パターンのMRSAが検出され, 2階と3階で重複して検出された菌はなかった. MRSAは保菌状態となっている老人によってホーム内に持ち込まれ, 主に介護者や医療従事者等を介してホーム内での拡散が起こっている可能性が示唆された.
  • 感染管理看護婦の活動を中心にして
    遠藤 和郎
    1996 年 11 巻 2 号 p. 141-146
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    専属の感染管理担当者がいない市中病院において, 感染管理看護婦を中心に創感染サーベイランスを行ったので, その方法を中心に報告する. 1995年1月から10月までに当院で行われた総手術 (2696件) のうち, 創感染が機能, 生命予後に重大な影響を与える心臓血管外科手術 (82件) を対象とした.
    特に留意した点として, 1) 創感染の診断は明快で広く使われている米国防疫センターの診断基準を採用.2) 患者の内因性危険因子の標準化と数値化.3) 継続性.4) 手間, 時間そして費用の軽減.5) 診断精度の向上.6) 電算化による集計業務の簡略化.7) 患者の危険因子を考慮した報告様式.
    自製のコンピュータシステムとサーベイランス用紙を用い, 各病棟に配置された感染管理看護婦が連携を取りながらサーベイランスを行った. サーベイランスに費やす時間は一件あたり数分で, 日常業務内での継続が可能であった. また電算化によりデータの集計が簡略化し, 定期的な報告が可能となった. 感染管理看護婦による診断の精度は継続的な教育により向上した.
    サーベイランスを継続的に行い創感染対策に反映させるためには, 外科医, 麻酔科医の協力, コンピュータの導入, 感染管理担当者の教育と熱意が不可欠であった.
  • 黒田 真理子
    1996 年 11 巻 2 号 p. 147-155
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    鉄鋼関連企業の新入社員 (平均年齢18.8歳, 男性39例, 女性22例) にエイズに関する健康教育前後にアンケート調査を行い, 以下の結果を得た.
    講義前アンケート結果では, エイズに関して間違った知識も多く, エイズに対する社会防衛的態度・差別的態度はエイズの感染予防に関する知識と有意の逆相関があった. エイズという病名から連想する言葉を記載する質問では, 感染経路に関する言葉をあげた者が21名, 死・不治に関する言葉をあげた者が37名, 症状, 予防に関する言葉をあげた者は4名であった.
    講義後アンケート結果ではエイズに対する社会防衛的態度尺度・差別的態度尺度は有意に減少し, HIV感染者に対する態度は望ましい方向に変化している.
    この結果から, エイズに関する健康教育は正しい知識を持つことにより, エイズの偏見を少なくする効果があるといえる.
  • 特にその感染源について
    藪内 英子
    1996 年 11 巻 2 号 p. 156-159
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    1996年7月5日までに検索し得た新生児レジオネラ肺炎はアメリカとドイツ各2例, 日本とフランス各1例の計6症例で, 男児5例, 女児1例であり, そのうち男児3例は治癒し他は死亡した.日齢10で死亡した日本の1例以外は何等かの易感染状態にあった.患児から検出された菌はすべてLegionella pneumophilaで血清群 (SG) 1株単独が4例, SG6株単独が1例, SG1と8の合併が1例であった.日本以外の5症例が出生した病院では主として給湯系から患者由来株と同じ菌株が検出されている.自力で行動しない新生児が出生後の退院直前または直後に発症すれば, 単発症例でも病院内感染と考えられる.レジオネラ肺炎の細菌的診断は一般には他の細菌感染症の場合よりも時間がかかる.臨床症状, 一般グラム陰性桿菌肺炎に対する治療剤の無効, 細菌培養陰性などを勘案し, 主治医を始めとする医療関係者がこの疾患を想定するか否かが患者の生死を分けたり, 集団感染の規模を規定することを銘記しなければならない.新生児期以後の人口と新生児数とを比較した時, 新生児レジオネラ肺炎を稀な疾患と言えるだろうか.
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